皆さん、こんにちは。秋田県立能代高等学校の佐々木円花です。遅くなりましたが、第三回科学者の卵養成講座について書きたいと思います。
Ⅰ.進化する航空機~ライト兄弟から火星飛行機まで~
午後の一つ目の講義は、浅井先生の、航空機の歴史に関する講義でした。ライト兄弟についてのお話がその中にありましたが、あれほどの偉大な発明の裏には、情報を鵜呑みにせず自ら確かめ、一つ一つの段階を慎重にクリアする、という大変な努力があったのだと知って、立派な科学者や発明家はそれに見合う、いやそれ以上の努力をしているということを再認識しました。また、彼らが飛行機の部品の一つずつについて改良を重ね最終的に飛行を成功させたように、「難しく思えることは、要素に分けて考えていけばいい」ということを学び、そういう科学者を目指したいと思いました。浅井先生、ありがとうございました。
Ⅱ.磁石、隕石と原子惑星系円盤
二つ目の講義は中村先生の「磁石、隕石と原子惑星系円盤」という講義でした。宇宙誕生の謎について詳しく解説してくださって、今まで漠然としかつかめていなかった太陽系誕生の過程を知ることができました。地球を含む周囲の惑星が形成されるには角運動量の消失やジェットなど、様々な問題を解決する条件が重ならなければならず、非常に複雑な仕組みで成り立っているのだなと感じました。宇宙に対して、より興味が深まりました。中村先生ありがとうございました。
Ⅲ.サイエンスカフェ
順番が逆転してしまいましたが、今回の養成講座で最も印象に残った午前のサイエンスカフェについて書きたいと思います。ここでは科学・社会・生命倫理について、自分たちの考えを出し合い、話し合うという活動を行いました。内容は5年から10年後に初めて実用化されそうな技術を考え、それをできるだけ悪用する方法、またその悪用を防ぐ手立てもあわせて提案するというものでした。私は、
1.パソコンのタッチパネルが空間に投影されて、空中で操作ができる、という技術
2.飛行ができる小型(過程所有できるくらいのサイズ)の乗り物
3.動物の頭部に装着し、脳波から動物の考えていることを読み取る技術
4.宇宙空間にある生命体のエネルギーを感じ取り、交信する技術
を考えました。これに対して出た悪用例は以下の通りです。
1.タッチパネルが空中に表示されるので、ロック解除する時にパスワードが見られてしまい、所有者以外も自由に使える
2.空中で事故が起こってしまった場合、空中での被害に加え、地上に落下し、大惨事に。また、上空であれば不法侵入に問われないからと他人の家の上を通って生活をのぞいたり、爆弾や薬品などの危険物を投下したりすることができてしまう
4.地球の言葉が知られてしまい、情報の流出や地球侵略につながる
なお、3については私たちのグループで悪用方法は出ませんでしたが、他グループで「スパイ活動にペットを使うことができる」という意見が出ていて、そういう悪用方法もありうるのだなとはっとしました。
上記の悪用例に対して私が考えた改善策は以下の通りです。
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パネルそのものを所有者のみが見られるよう、特殊な眼鏡やゴーグルのようなものを作る。または、パスワード入力の部分だけを画面上でなく本体で、指紋認証などで代替して行う。
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空中についても、地上の車両と同じく交通法を設ける。一部の自動車に搭載されているように他の車両に対する衝突防止センサーを付ける。
4.地球外生命体との会話専用の言語を作り、交信は他の音が入らない物のない場所で顔 を隠して行う。
私がここで考えた改善策には、他の人が見て笑ってしまうようなものもあることでしょう。自分の考えた技術を悪用しようと思えば方法はいくらでもあるのに、それを防ごうと思うと良い方法がなかなか浮かびません。自分の想像力の貧弱さを痛感しました。しかし実際、将来研究者を目指すのであれば、自分の開発する技術の一つ一つにこういった悪用を防ぐ責任が伴います。自分が生み出したものである以上、必然的に責任は自分にあるのです。例えば、病気を発症していない人にとっては劇薬ですが、今まで治療法の見つかっていなかった病気を治す薬を発明したとします。きちんと管理がなされていれば安全ですが、何かの手違いで他の菌と混ざってしまった、または、管理を任せていた人が故意に混ぜてはならないものを混入させたとします。この時、もし中に入ったものが感染性の高い菌で、それと薬が混ざって新しい菌が誕生したとしたらどうでしょうか。もしそれが、人体にとって、または他の生物や地球環境にとって非常に有害な物質や菌であったとしたなら?地球上ではパンデミックで人々や動物が死に絶え、環境は激変するかもしれません。今大きな問題となっている地球温暖化より、ひょっとしたら大きな影響を及ぼしてしまう、などということもなきにしもあらず、です。自分はそんなこと想定していない、そう使って欲しかったのではない、と言っても言い訳にもならないのです。自分が将来やりたいと思っていることに大きな責任が伴うということを改めて認識し、気を引き締めました。そうは言っても、新しい発明や発見は人類の夢です。今回のサイエンスカフェでも、これが実現したらどんなによいだろう、と思うような素敵なアイディアが、他の卵の皆さんたちからたくさん出されていました。科学技術は使い方を誤らなければ人を幸せにしてくれます。私は今回のサイエンスカフェで、研究者になりたい、という思いをより一層強めました。と同時に、無責任に夢を見てはいけないということも気付かされました。長神先生、ありがとうございました。
夢を見ましょう。大きな夢を。それに負けないくらい大きな責任感を持って。私もいつか、自分の発明や発見で人を幸せにできる研究者になりたいです。
投稿者:秋田県立能代高等学校