こんにちは、仙台二華高等学校の小林雅望です。かなり遅くなりましたが、振り返っていきます。今回はサイエンスカフェ(「科学、社会、生命倫理」について考える)、進化する航空機と、磁石、隕石と原始惑星円盤の2本の講義でした。
サイエンスカフェでは5~10年後といった近い未来に実用化されそうな技術とその弊害、弊害に対する対処法について考えました。私が考えた技術の一つにインターネット上にある写真やイラストをパソコンの画面等の前に三次元で映し出す技術があります。ネット上の商品などを様々な角度から見たり上からのぞくことで中身が見えるようにしたりすることでネット上の情報のイメージがわきやすくなるという利点がある技術です。この技術の弊害は私は思いつきませんでした。グループのメンバーが、「美術品をスキャンしてインターネット上に投稿する人がいたら、ネット上で実物のように美術品を見られるので美術館や博物館に来る人が大きく減る」と指摘してくれました。来場者が減って展示による収入が減れば作品の保全が続けられなくなる、などの問題が起こります。しかしこの弊害から視覚のみならず聴覚、触覚、嗅覚でも楽しむ芸術が生まれたり、美術館が展示スペースをまわることによって楽しめる企画を編み出したりするかもしれません。弊害=問題意識から生まれたアイデア、発明は多いです。弊害による被害の甚大さにもよりますが、科学技術をむやみに弊害がある、と批判してばかりはいられないとも感じました。人が作り出す意見、文章も受け手によっては他人を傷つける考えのもとになります。新しいものは危なさと表裏一体だと思います。ちなみに、弊害に対する対処法について、私は、スキャンしてほしくないものは可視光線しか通らない素材で囲む(建物の外側からのスキャンを防ぐため)とともに作品などがある部屋に不特定多数の人が入るときは持ち物検査をすることを考えました。個人的には、美術品は何にも囲まれていない状態で見たいですし、美術館に入るために持ち物検査をされることは抵抗があります。ただ、飛行機に乗るときに持ち物検査をされることは当たり前に思う人は私を含め今では多いと思います。嫌だ、と思うのは人間です。新しい科学技術やそれに伴う環境の変化によって人の価値観も変わるのだと思います。今回、科学技術による弊害だけでなくその対処法まで考えるのは初めてでした。上記の例は、弊害のみを意識するか対処法をあらかじめ考えるかで人に対する影響はだいぶ変わります。一度スキャンされネット上に投稿されたら元の状態に戻せないからです。研究者が自分の生み出す技術の弊害を考えるにはきりがあります。技術を悪用する人を消すことはできません。技術を受け入れる社会側が弊害に対する準備をできるだけでもしておくことは、非常に大切だと考えるようになりました。将来新しい技術を生み出したら、社会に弊害と対処法を考えてもらうため、自分の言葉で発見を平易に表現するようにしたいです。
次は飛行機の講座についてです。家でも紙飛行機を飛ばしてみました。よく飛ぶときの角度が東北大学にいた時と違うと思っていたら、冷房で風が吹いているうえに玄関を開けると廊下のドアが閉まってしまうぐらい部屋内部の気圧が低かったです。おもりの位置も少々違ったと思います。わたしからしたら小さな違いでも、紙飛行機からしたら大きな違いのようです。私が講義で一番衝撃を受けたのが動的相似則、レイノルズ数の考え方です。風洞で実験を行うといっても、実物より小さい飛行機模型でするので風速なども変えなければいけないが模型と風速は単位が違うので、どのように実験時の条件を変えているのだろうと不思議に思っていました。調べると模型実験と実際の条件でレイノルズ数が同じなら大きさや速度を自由に変えていいそうです。レイノルズ数には単位がないということで驚いたのですが、計算しやすい値でいいのだと気づきました。粘度には単位があるそうで慣性力と粘性力で単位が同じなら単位が約分で消えました。学校の物理基礎で新しい単位を考えるとき(Nなど)すでに知っている単位(㎏、m/s²など)を式に代入することで新しい単位をあらわすことを行って面白いと思ったのですが、レイノルズ数でも同じようなことができて「単位なし」になったので非常に興味深く感じました。実際に火星飛行機など現地での開発が難しいものを開発するうえで実験に非常に必要な考え方だと思います。レイノルズ数が大きいと乱流場(ごちゃごちゃと流れている)、小さいと層流場(なだらかに流れている)ようです。ネット上ではレイノルズ数で使う「代表の長さ」に管の直径を使っていて、管の中の空気や水の動きをあらわしていたのですが、飛行機の翼等ではどこを代表的長さにしているのか知りたいです。段落初めの話に戻ると私と紙飛行機では大きさも密度もかなり違いますから、紙飛行機のほうが慣性力に対する粘性力の割合が大きくなっています。東北大学と家の中での空気に関する少しの差が、紙飛行機には大きく影響したのかもしれません。
最後は惑星円盤の講義でした。講義後に鉱石を触らせていただきましたが、触感では特別さを感じませんでした。適切に分析されることで宇宙の謎を解くカギになると思うと実験等の重要性を感じます。中村先生の講義は、惑星系の形成に必要な物理の知識を非常にわかりやすく説明していただきよく理解できました。太陽系の形成はまだ疑問な点が多いということではありましたが、太陽系の形成における巨大なスケールとわたしたちの生活のスケールで同じような物理法則が使えるのは面白いです。宇宙の研究は、疑問点を見つけるまでに手間がかかるように感じます。様々な波長で天体を観測し、情報を集めることで様々な発見をしていますが同時に回転する分子雲ジェット形成における難しい問題点も浮かんでいます。私は資料中の写真は似たようなものを見たことがありましたが、浮かぶ疑問については知りませんでした。同様に2015年7月に探査機ニューホライズンズが冥王星についての様々な情報を送ってきましたがハート型の模様などに気を取られている間にブームが去り私は研究者の方々の新事実発見の報告をほとんど知ることなく忘れてしまいました。今回思い出していろいろと知ることができましたが、これからは興味深い情報発見の事実を知ったときはそこからの研究の成果も知ることができるように記録しておきたいと思いました。また、宇宙の疑問を解く手がかりは磁場と磁場を記録する地球の地層や隕石、様々な波長でとった写真など多様でした。それだけ宇宙を解明することが難しいことの証拠だと思いますが、これらの技術を地球上の疑問を解くのにも使えないか気になりました。宇宙と地球はスケールが全く違うので難しいかもしれませんが謎の多い深海などの調査にも使ってみたいと感じました。
次回からは英語を活用する機会にも恵まれます。チャンスをしっかり活かしていきたいです。よろしくおねがいします。
投稿者:宮城県仙台二華高等学校