飛翔型「科学者の卵養成講座」事務局です。
10月14日に講義をご担当いただいた川添先生が、辻一志さん(仙台市立仙台青陵中等教育学校)がブログに書き込んだ質問に答えてくださいました。
辻さん:------------------------------復習------------------------------
まず、太陽と月の見かけの大きさがほぼ同じであることを定量的に示す課題。
見かけの大きさは実際の大きさに比例し、地球からの距離に反比例する、と考えました。
川添先生:「と考えました」、というのは良くないです。主観的表現になります。
科学の話なので、「見かけの大きさは地球からの距離に反比例する」が良いです。
確かに「見かけの大きさ」という定義が、水平線近くの時は大きく見える、という様な「脳の認識」を含むことが多いため、誤解が生じますよね!
「地上で観測される大きさ」とかの表現の方が良いです。
辻さん:そうしたところ、目から50cmのところに物差し(川添先生:5円玉の穴がちょうど良い)を置くと、そこでの太陽の見かけの大きさ(半径)は7.0×10^5/1.5×10^8x0.5=2.3mm、月の見かけの大きさは1.7×10^3/3.8×10^5x0.5m=2.3mmとなり、奇跡的とも言える程にほぼ等しい値となりました。
川添先生:正しいです。
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以下は重力
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辻さん:しかし、出た値は単位がなくなっていることや(ここで示せなかった比例定数に単位が含まれているのでしょうか)、 長さ(半径)の2乗に比例させる求めたい値が出ないことに納得がいきませんが。
川添先生:重力は力の単位になります。万有引力乗数を掛けて下さい。
辻さん:次にもう1つの問い、月が地球の衛星でないことを示すためには地球月間の重力>太陽月間の重力にならないことを示せばよいでしょう。
さて、重力の計算ですが、重力は質量差に比例し距離に反比例するだとか、質量比に比例するなどと 考えていたのですが、どの計算も良い結果が得られず...。泣く泣く辞書を引いて重力(万有引力)を調べたところ、
川添先生:泣く泣くではなく、適当に「考えても駄目です」。ちゃんと調べましょう。
辻さん:実際には質量の積に比例し、距離の2乗に反比例するそうです。
川添先生:講義中に話した様に、影響は一様に伝わる(広がって)なら、距離Rのところの球面の面積=4πR^2ですから、力は1/R^2で減ることになります。
辻さん:惜しかったように惜しくなかったような...。
川添先生:何故、この式が出るのかを理解して下さい。距離との二乗関係は3次元の幾何学で決まります。質量は力と加速度の間の関係を表す比例定数です。
(慣性の法則、運動量保存則は、並進対称性が成り立つ世界を表現しています。)
地球と月の間の重力3.0×10^36に比べ、太陽と月の間の重力6.5×10^36が極めて小さい(摂動で表せる)なら、月は地球の周りを回れます。
相対値ではなく絶対値、単位まで入れると万有引力定数G=6.7x10^-11m^3・s^-2・kg^-1を使い、万有引力F=GMm/r^2を計算すると、以下の数値が得られます。
地球と月の間の重力2.0x10^20Nに比べ、太陽と月の間の重力4.4×10^20Nが極めて小さい(摂動で表せる)なら、月は地球の周りを回れます。
月は太陽との間の重力が地球との間の重力の2倍近くもあるので、まるでこの定義に反している。それで衛星と呼んではいけません。(連星と呼んでください)
投稿者:事務局