秋田県立能代高等学校の佐々木円花です。修学旅行や家庭の事情で大変遅くなってしまいましたが、第5回講座の感想を書きたいと思います。
Ⅰ. イングリッシュサロン(第2回)
今回は中国からの留学生の方とお話しさせていただきました。トークテーマは「自分の自慢について」。留学生の方は言語を習得することが得意で、母語を含め6か国語を話せるそうです。何でも、お父さんが英語の先生で、2歳の頃から英語を教えてもらっていたのだとか。日本語については、漢字を用いる点で似ているため、すぐに覚えられたといいます。といっても、日本語と中国語で漢字の意味にはやはり差があるそうで、いろいろ面白いお話をうかがいました。
また、トークテーマに戻りますが、私はというと自分の住む地域について紹介をしましたが、ほとんどの人は自分自身のことについて話していたように思います。私自身も留学生の方に"How about yourself ?" と聞かれたとき、とっさに浮かんだのが習い事のことだけでした。自分自身についてのことなのにこれほど答えられないとは...。自慢できることについて考えた経験がなかった、というのは言い訳になりません。今の社会で、国際化が進むにつれ自分をアピールする必要性が高まっている中で、それについていけるような人材にならなければいけないのだと痛感しました。
伝えるためには知らなければなりません。知っているつもりの自分についてでも、「知る」努力が必要なのだと思ったイングリッシュサロンでした。
前回、アドバイスをいただいた、「特定のトピックだけに興味をもつのではなく、いろいろ聞いてみるといい」ということについては、今回は改善できたのではないか、と思います。
Ⅱ. 「自然を正しく理解する~やってみてもわからない~」 川添良幸先生
私たちが普段、勉強するとき最も頼りにし、そこに書いてあることは真理であると信じて疑わない教科書、世の中の多くの人に当然のことと認識されている常識。今回の川添先生の講義では、一見正しく見えるそれらをうのみにし、信じ込んでしまうことの危うさについて学びました。
中でも私が最も興味を持ったのは、月は地球の衛星ではない、という事実です。今までずっと月は地球の周りを回っていると教えられてきましたが、確かに計算してみると太陽と月の間の引力のほうが、地球と月の間の引力よりも大きくなっており、本当に驚きました。と同時に、物理でこの公式を知っていたのに確かめてみることすらしなかった自分は情けないと心から思いました。公式を使えることが大事なのではなく、公式を「理解する」ことが大事なのだと、そして自分はそれができていなかったのだと思い知りました。
与えられたことをそのまま受け取るのでは、科学を学んでいる意味がありません。信じる前に、少し立ち止まって考えてみる。疑問を持つことを忘れない。科学者として目指すべきはそこなのではないかと自分なりに考えるに至りました。
川添先生、新しいものの見方、発想の転換を教えてくださって、ありがとうございました。
Ⅲ. 「がん」を知り、診断し、治療する~病に立ち向かう病理学の世界~ 堀井明先生
私は医学に興味があり、この講義を以前から大変楽しみにしていました。がんについて興味はあるものの、実際のところ転移のしくみなどについて自分がよく理解していなかったことがはっきりしたとともに、転移にも様々な種類があり、複雑に要因がからんでいることがわかりました。
がん転移のしくみについて、堀井先生のお話を聞いた際、興味を持った膵臓がんに関して調べてみました。
膵臓がんの死亡率が高いのは、がんが小さいうちから周囲に広がったり転移したりしやすいからであるそうです。膵臓がんの転移しやすい部位として、リンパ節、肝臓、腹膜、胃、十二指腸、骨などがあり、
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リンパ行性転移...リンパ節
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血行性転移
(ⅰ)anatomical theory ... 肝臓、胃、十二指腸
(ⅱ) seed and soil theory ... 骨
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播種性転移 ... 腹膜
②の(ⅱ)、seed and soil theory についてですが、がん細胞が自分の増殖の土壌(転移しやすい、居心地の良い場所)をつくるために他の細胞を目標の臓器に先に転移させる、というのは本当に驚きでした。まるでがん細胞が自らの意志を持って行動しているようで興味深いと思います。
ここで、レポートに書ききれなかった質問をさせていただきたいと思います。他の細胞に対してがん細胞が指令を出すということでしたが、例えばその他の細胞が転移することができなければseed and soil theory による血行性転移は起こらなくなると思うのですが、がん細胞からの指令が伝わらないようにすることは可能でしょうか。
また、私が今回の講義の中でもう一つ興味を持ったのが、がん細胞が耐性を持つということです。EMTが起こった細胞では抗がん剤や放射線治療に対する耐性を獲得するだけでなく、アポトーシスに対しても抵抗性を持つようになるとは、本当に「強力な」がん細胞だと思います。細胞死にはアポトーシス、ネクローシス、オートファジーがあるとうかがって、アポトーシスができないならばネクローシスではだめなのかと考えました(オートファジーは自食なのでがん細胞が自分を「再利用」しても堂々巡りだろうと考え省きました)。しかし調べてみるとネクローシスによる細胞死は他の細胞にも被害を与えるそうなので、がん細胞のように無制限に増殖してしまった細胞にネクローシスが起こった場合、その被害は多大なものになるとわかりました。やはり、がんに対処するというのは非常に難しいのだなと思います。しかし、「相手を知ることが、相手と関わる第一歩」。がんという病気についても、それが言えると思います。「知る」ということにおいて、病理学が果たしている役割は、そのままがんに対処していくという医療の分野の中においても大きな役割をになっているのだと改めて感じました。
私に現時点でできることといえば予防として生活習慣を改善することぐらいですが、将来そういった研究に携わることができれば、と心から思います。
病理学について、知識と興味がより深まりました。堀井先生、ありがとうございました。
投稿者:秋田県立能代高等学校