東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

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平成29年度 活動ブログ

平成29年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2018.03.30

平成29年度 飛翔型「科学者の卵養成講座」カリフォルニア研修④(3/22〜3/23) by Non Sato

こんにちは。岩手県立一関第一高等学校2年の佐藤暢です。3/17〜3/26のカリフォルニア研修の様子をレポートから抜粋・改変してお伝えします。

6日目 3/22(木)
今日の活動内容と感想

2度目のEngineering Challengesの後に爬虫類に関するお話を聞いて動植物の水彩画を描き、午後はシカモアパークの入口にあるネイチャーセンターを訪れた後に2度目のSTEM Worksがありました。

2度目のEngineering Challengesでは、3人の男子生徒と一緒に作業を進めました。昨日は見本を元に作るということをしましたが、今日一緒に作業した3人の男子生徒にその旨を伝えたところ「昨日作製したものよりも頑丈な構造のものを私たちで作り上げよう」と提案されました。昨日作製したものは底の支える部分が弱く確かに橋としては心許ない様子であったので、今日はより頑丈な橋を作ることを目標に定めました。
他の皆さんは三角形を組み合わせた橋を作ったグループが多いようでしたが、御多分に漏れず私のグループも三角形を組み合わせて作製するということになりました。まず三角形の辺々にはスティックを二重に重ねることで強度を高めました。そして三角形を形作る際には二重にした隙間に三辺を互いに差し込むことでテープで接着せずともスティック同士を繋ぐことができ、強度も増すのだと思いました。
作業を進める中で三角形を次々に並べる様子が寄木細工に似ていると感じ、日本以外にも寄木細工はあるのかと思い調べてみました。
調べたところ、マーケトリー、パーケトリー、タラセアの3つの種類があることが分かりました。基本的に木材を使用しますが、骨、象牙、貝の真珠層、真鍮、銀なども使用するようです。
私のグループを仕切ってくれた男子生徒はこのような工作が好きだと言っており、様々な提案をしてくれました。好きこそ物の上手なれという言葉がありますが、自分の関心があることに対しては積極性が高まり知識の幅も広がるのだと考えます。これからも科学を好きな気持ちを大切にしていきたいと強く思いました。

爬虫類に関するお話では実際にヘビやヤモリに触れました。目の前のケースの中にいる非常に小さなヘビが人間を殺すことが出来るほどの猛毒を持っているということに驚きました。実は幼い頃に苦い思いをした為に、ケースに入っているのを見る分には良いのですが、直接触るのは少し苦手でした。しかし、伊藤先生にヤモリを掌の上に乗せられて触ってみると、意外に怖くありませんでした。また、硬そうに見える鱗は触ってみると柔らかく、腹側も水風船のようにプニプニとした感触でした。ヘビを触ったときにはしっかりとした骨の感触があり、体表面が冷たいと感じました。
これらのことはただ眺めているだけでは決して認識できず、実際に触ってみたからこそ分かったのだと思います。苦手なことにも勇気を出して一歩踏み出してみるという、科学者としても人間としてもあるべき姿を学ぶことが出来ました。伊藤先生、ありがとうございました。

ネイチャーセンターではコヨーテやタカなどの剥製を見学し、館員の方からお話を伺いました。ステップ気候の乾燥地域の動植物の種には偏りがあると思っていたのですが、カリフォルニアには非常に沢山の種類の動植物が共存しているということを知り、意外に思いました。また、街を移動しているときに目にする剥き出しの岩は花崗岩で出来ているということを知り、花崗岩が多い点は日本と同じなのだと思いました。
シカモアパークの中に入ることが出来なかったのは残念でしたが、今後機会があれば行って実際に自分の目で見てみたいと思います。

STEM Worksでは、私のグループは3人でしたが無事にスムーズに進めることが出来ました。
昨日の反省を活かし名前の漢字の候補を考えておいたので、生徒たちを待たせる時間を少なくすることが出来、より効率良く進める事が出来ました。また、今日は漢字の意味まで教える時間があり、意味を伝えるとそれぞれ喜んだり笑ったりしていました。特に女子生徒に「美」や「愛」という名前を付け、その意味が「beauty 」や「love」だと教えると嬉しそうにしていたのが非常に印象的でした。
また「名前の漢字を何種類か考えて欲しい」と男子生徒からリクエストされ、数種類考えてあげました。私たちの授業の中では詳しく説明しませんでしたが、同じ音を持つ漢字があると推測してのことだと思います。科学者として多角的な視点が必要であると学ぶ良い機会となりました。

明日は研究発表があります。渡辺先生にアドバイス頂いたことを元に、大きな声で自信を持って発表したいと思います。
7日目 3月23日(金)
今日の活動内容と感想

今日はUCRキャンパスツアー、山中先生ご夫妻のご講義の後、午後はSTEMでの研究発表、Farewell Partyがありました。

UCRキャンパスツアーでは、キャンパス内にある2つの図書館をはじめとして様々な施設を見学しました。図書館には多くのパソコンがあり、本を読む学生だけでなくパソコンを使ってレポートを書いたり、勉強したりしている学生が沢山いました。以前、アメリカの大学生は非常によく勉強するという話を聞いたことがあります。学習意欲の高さも勿論必要ですが、素晴らしい学習環境が整っているということもその理由の一つなのだと感じました。
特に印象に残っていることは、キャンパス内にオレンジの木が植えられていることです。東北大学も構内に緑が多いと感じますが、果物は実っているのでしょうか。少なくとも私の知る限り、青葉山キャンパスと星陵キャンパスには見つけられませんでした。どなたかご存知の方がいらっしゃるなら、是非私に教えて下さい。

山中先生ご夫妻のご講義では、初めて耳にした昆虫学という新しい世界が広がりました。未知のことについて知ることが非常に楽しく、今回の研修で最も多くのメモを取りました。
まず、昆虫学には大きく分けて2つの研究分野があります。1つ目は害虫駆除、2つ目は益虫保全です。益虫は農業を陰で支えているため、農学とも相関があるということを知り、昆虫学が身近に感じられました。
昆虫は現在はゲノム配列によって分類されていますが一昔前は脚の形などの視覚的な要素で分類されていたこと、また、アリやハチなどの社会的昆虫の社会は人間社会に似ていると考えられていることが衝撃的で面白いと感じました。以前、働きバチの中に怠惰なハチがいるのは、よく働くハチが疲弊したときに代わりに怠惰なハチが働いてバランスを取るためだという話を聞いたことがあります。怠惰なハチは実は全体を俯瞰しているという点では私たちも見習うべきですね。
幼虫から蛹になる過程、蛹から成虫になる過程ではそれぞれエクジソンというステロイドホルモンが盛んに分泌されるというお話がありました。エクジソン以外に成長過程において現在注目されているホルモンはあるのかと尋ねたところ、幼若ホルモン (ようじゃくホルモン、Juvenile hormone : JHと略す)との答えが返ってきました。JHは昆虫のホルモンの一種であり、変態を抑制しながら幼虫の成長を促進します。脳の後ろにあるアラタ体から分泌され、エクジソンとともに昆虫の成長および変態を調節する中心的ホルモンです。JH産生が低下・消失するのに伴いエクジソン産生が出現・上昇するため、2つのホルモンの相関を調べることが研究課題の一つであると仰っていました。
山中先生が仰っていた「研究室を選ぶきっかけは何でもいい、やってみなければ面白さは分からない」という言葉が強く印象に残っています。私は様々な分野についての理解を深めることが自分の研究を発展させることに繋がると考えるので、山中先生ご夫妻の講義を通して女性科学者としてのビジョンがより明確になりました。

STEMでの研究発表では、渡辺先生からご指導頂いた大きな声で読むということを意識し、達成出来ました。ウェスタンブロットについて説明する前に聴衆にウェスタンブロットを知っているかどうか尋ねたことで、彼らの興味を今一度こちらに向かせると共に、どの程度の説明が必要なのかということを把握することが出来ました。スライドをただ説明するのではなく、聴衆の反応を確認しながら発表を進めることも大切なのだと改めて思いました。将来、学会などで発表する際にはこのことを念頭に置きたいと思います。また、ご同行頂いた川村さんにも心より感謝致します。

Farewell PartyではSTEMの生徒とメッセージを書き合ったのですが、STEM Worksで作製した御朱印帳への書き込みをお願いする生徒や、習字クラスで覚えた平仮名で名前を書いてくれる生徒がいました。私たちの文化を理解し、評価してくれていることが伝わり大変嬉しく思います。
将来、日本に留学したいと考えている生徒には私たちの文化を理解しようとする気持ちを持ち続けて欲しいと思うと共に、特に東北大学への留学を考えている生徒には是非、来年度以降の科学者の卵養成講座の英語サロンでの会話のきっかけにして欲しいと思います。

明日はいよいよ最終日です。渡辺先生が仰るように、ロサンゼルスに移動した後は特に安全に留意したいと思います。

投稿者:岩手県立一関第一高等学校

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