東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

ギリギリの中間発表(経:富樫泰杜)

2015年11月19日 (木)

 2週間ほど前に中間発表の予告があったにもかかわらず、一か月近くぶりの、しかも中間発表締め切り当日の投稿となってしまいました。本当に申し訳ありません。何事も限界ギリギリまでやろうとしない、昔からの悪癖がここで出てしまいました。この悪癖が改善されることはあるのだろうか......。

 さて、中間発表の件ですが、今更ながらの宣言ではありますが、参加させていただきます。というより、この記事を中間発表として書いています。


 発表に先立って、前回の記事で教授から頂いたコメントへの返答をしたいと思います。

・最初の写真の、大きな種子について

 これは、一向に発芽しなかったトウミョウの種子です。この種子が発芽しない間に、他の種子は成長し、徒長が必要になりました。そのため、ホウレンソウのシャーレの上で(他に適当な容器がなかったため)水に浸して発芽を待っていました。この記事の次の記事でも報告しますが、この種子はついぞ発芽に至りませんでした。

・シャーレの上で幼植物体になった個体について

 コメントにある通り、根が出た時点で土に移さなければならなかったと後悔しています。他の種子の根も出そろったらまとめて土に移そう、などと横着してしまったことを反省しています。残念ながら、この個体はあの大きさ以上に生長することはありませんでした。これについても、次回かその次の記事で述べたいと思います。

・水やりの量について

 解説ありがとうございます。これまでの展開ゼミの記録からは、水遣りの目安がはっきりとつかめずにいたので、今はこの通りにやっています。

 現在のホウレンソウの様子は冒頭の写真の通りです。11月頭に2つ、3日前にまた2つ子葉が土から顔を出しました。ちょっとほっとしています。これについても、次回かその次の記事で詳しく書きます。


 それでは、本題の中間発表に移りたいと思います。先日の中間発表の要項の記事に則って書きたいと思います。

(1)中間発表の記事を投稿するまでに、この展開ゼミを通じて、植物の発芽、生長を観察し、どの様なことが一番驚くべきことであったか。

 展開ゼミを通じ、わたしが最も驚いたことは、「生長速度の激しい個体差」です。

振り返ると、ホウレンソウでは、

・(シャーレ上で発芽させたとき)発芽したかも曖昧な、ゆっくりと生長する個体がある一方、シャーレ上で幼植物体になってしまった生長の早い個体があったこと

・(土に植え替えたあと)同じくらい発芽が進んでいた個体でも、子葉が土から出てくるまでの速度がてんでバラバラだったこと

 ※前回ホウレンソウについて投稿したときは1個体しか使用が確認できていませんでしたが、現在6個体が、少なくとも子葉を土から出しています。冒頭の写真が現況です。

があり、トウミョウでは

・6/7の個体はすぐ発芽したものの、1個体はついぞ発芽に至らなかったこと

・(日光を当て始めたあと)すくすく生長する4個体と生長の遅い2個体とくっきり分かれたこと

といった出来事があり、「栽培方法を間違えたのではないのだろうか、どうしてこんなに生長速度が違うのか」ととかくハラハラしました。

工業製品のように、全く同じ過程を経て、ぴったり同じようなものが出来上がるとはさすがに思ってはいませんでしたが、やはり日ごろから見かける「野菜」というのは、スーパーの店頭に並ぶ完成品、商品であり、その成長過程に目を向けることはほとんどなかったため、不揃いな大きさの生長中の野菜に、とにかく不安を抱いています。

もちろん、それぞれの個体は同じ種で、食用に適するように改良されているであろうと同時に、別個の個体であり、生長速度が異なってくるのは決して不思議ではないと思いますが、これは自然な個体差として扱っていいものか、悶々としています。

 あと、個体差に関連して、トウミョウに珍妙なことが発生したので、ここで軽く触れたいと思います。詳しくは次回述べます。

左側の個体にご注目ください。

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(10月25日 18:52 自宅にて撮影

どうして脇芽が最初に食べる部分より生長したのか......。

(2)良かった記事と、どの様な観察、気が付きがよかったのか

わたしが良いと思った記事は、1010及び1116の山口さんの記事、1010の山田さんの記事、1013及び1118の藤井さんの記事です。これらの記事は、単に栽培して食べるだけでなく、栽培にあたって「比較」を行っていました。山口さんは「トウミョウを発芽させる際に敷くもの」、山田さんは「種子の浮き沈み」、藤井さんは「与える水」によって成長具合がどう異なってくるかを検証していました。また、山口さん、藤井さんは、単に比較するだけでなく、変えた要素がどのように結果に作用したのか、まで考察して記事にしていました。藤井さんの、実際の生育環境や育ち方と与えた水のミネラル濃度を結び付けて生長結果を考察するのは、何というか、深いなあと。知識と現実を結び付けて考えるのはとても興味深いものでした。

また、山口さんの考察も、同じ豆苗を栽培している身としてはとても参考になりました。わたしも、トウミョウを育てる環境と根の関係について色々思うことがあった(次回の記事で詳しく述べたいと思います)ので、次の栽培に生かしていきたいと思います。

こういった、栽培以外のプラスアルファに取り組んでいく姿勢から、この展開ゼミへの彼らの積極性、熱意が感じられたのみならず、わたしもこのような興味深く参考になる記事を作ってみたいと刺激を受けました。

(3)参考になったコメント、どのように参考になったか

参考になった(というか、考えさせられた)コメントを2種紹介します。

1、117日齋藤さんの記事109日の山田さんの記事へのコメント

 この2つのコメントでは、栽培する植物への愛情が言及されています。結局は食べてしまう植物に愛情を抱くとはこれいかに、という問いはしばしば見かけるように思われます。素人2号さんは、このことは矛盾しないと答えておりましたが、わたしとしてはそもそもこの問いはナンセンスではないかと考えています。結局なくなってしまうものに愛情をかけることが奇妙なら、どうせ壊れるのに何か製品を作ったり、どうせ死ぬのに親が子を育てたりするのもまたおかしいことになるのでは、と考えるからです。単純に言い切ってしまうのも問題かとは思いますが......。

 なんにせよ、わたしとしては、育てる植物には愛情をもって接していきたいと思っています。この表現は大げさかもしれませんが、わたしは今、トウミョウとホウレンソウの生殺与奪権を握っている状態だと考えます。本来植物は、人間の手などなくても自然に育って、指針を残して、次世代が育って、を繰り返すもののはずです。しかし、今回のゼミでわたしが頂いた種子は自然界から切り離され、人間の助けなしには育ちえない、ある意味では歪められた存在ではないでしょうか。そんな悲運な存在であるからこそ、せめて愛情くらいは注いであげたいと思っています。わたしが基礎ゼミ「動物の家畜化について考える」を履修して以来、そんなことを思っています。

2、10111015の山田さんの記事へのコメント

 この2つでは、種子の浮き沈みについて言及されています。イネあたりでこの手法が使われているのをテレビで時々見かけ、沈む=重い=中身、養分がたくさんある、だから沈む種子はよく育つくらいに思っていましたが、どうもそのようです。これを受けて、トウミョウでもこのことが当てはまるのかインターネットで調べてみましたが、情報は見つかりませんでした。なので、これから栽培するトウミョウでは、この点比較してみようかと考えています。もっとも、種子が7つしかないので、実験として成立するのかは怪しいところですが......。種子の購入を検討すべきかもしれません。

(4)どの様なことに注意して、また、何を目標として、この展開ゼミの講義を受講し、記事にしたいか。

大きく2つあるので、それぞれ整理して述べます。

1、毎日記録を欠かさない

 いきなり初歩的な目標で申し訳ありません。ホウレンソウについては、毎朝ベランダに鉢を出しつつ観察し、夕方室内に取り込む生活を続けてきました。ただトウミョウについては、途中日光に当てて生長させる過程から観察がおろそかになってしまいました。また、どちらの植物についても、観察はしたもののそれを記録する、あるいは写真を撮ること頻度が少なかったため、今振り返ると、どんな変化がいつ起こったのか判然としないのが実情です。これからは、ホウレンソウは毎朝ベランダに出すときと夕方取り込むとき、トウミョウもその流れで観察し、かつ必ず写真を撮ることをルールにしようと考えています。「毎日がゼミ」の言葉を改めて肝に銘じます。

2、これまでのトウミョウ栽培で起きたミスを防ぎ、できそうなら対照実験をする

 実はトウミョウはもう収穫して食べてしまいました。顛末は次回の記事に回しますが、栽培にあたっては、冒頭のような不思議な事態のほかに、徒長の際に完全に日光を遮断しきれなかった(日光に当て始めた段階で他の方より私のトウミョウは緑色が濃かった)など、いくつかミスがありました。植物栽培は本当に久しぶりということで、とにかく育て切るという控えめな目標を設定していましたが、予期せぬことが色々あり、それに毎回焦っていました。次回の記事でこれまでのトウミョウ栽培を総括したのち、また育て始めるので、そのときに生かしていきたいと考えています。

 そして、(3)でも書いた通り、できるなら実験も取り入れていきたいです。なんにせよ、まずはしっかり反省をしたいと思います。


以上でわたしからの中間発表は終わりです。文字ばかりで殺風景な中間報告になってしまいました。今後は、ホウレンソウの栽培と並行してこれまでのホウレンソウの生長、そしてトウミョウ栽培を総括し、また栽培を始めるつもりです。では、だいぶ長くなってしまったので、これで閉めようと思います。

最後に改めて、記事の更新が遅く、また中間発表がギリギリになってしまい、本当に申し訳ありません。

追記 中間発表にあたる部分の文字数は、Wordで3111字でした。

コメント

経済学部・富樫さん

遺伝の渡辺でございます。ぎりぎりの投稿になること。皆さん、そうかも知れないですが、それを言われたときに、もとの記事を書いておく。そして、〆切が始まったら、すぐに投稿する準備を整える。というようにしてみてはどうでしょうか。

原稿の〆切と同じというと失礼かも知れないですが、何をやる順番なのか、つまり、発芽をしているものを見つけたら、それを鉢に移動する。タイミングは何をやっても大事だと思いますよ。豆苗はたぶん、F1雑種種子ではないので、ばらつきは大きいと思います。ただ、ホウレンソウは、F1種子だと思います。なので、あまりばらつきがあると言うのは。。。管理がしっかりしていますか。という疑問が出てきてしますが。どうでしょうか。あと、違いがあることを文章にすることも大事ですが、その記録となる「写真」として残し、uploadすること、大事ではないでしょうか。

文系、理系関係なく、比較、つまり、対象区をどう設定するか、これはとても大事なことですね。ある結果が経済現象から見えてきたとき、その原因が起きなかったら、どうなるか、つまり、比較対象区がないと、。。ということだと思います。

そうですね。愛情は大事で。豆苗とホウレンソウがどうなるかを決める権利を持っている。確かに、この表現はとても素晴らしいと思います。その通りです。だからこそ、自転車と同じくらい植物に愛情を注いであげて下さい。それが、毎日が展開ゼミを実現することになると思います。そうそう、文章はしっかり書けています。あとは、それを示す写真を入れることですね。文字数を数えていること、これもniceなアピールだと思います。

わたなべしるす

旧展開ゼミ