東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(農:高畑朱里)

2018年1月19日 (金)

こんにちは。もう最終発表の時期なのですね。時間が過ぎるのはあっという間だなと感じています。最終発表は早めに投稿しようと思っていたのですが、結局ぎりぎりの投稿になってしまいました。写真は現在の植物の様子です。では、早速最終発表をしていきたいと思います。


(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、以外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使ってないような写真があれば、それを掲載してもOKです。

この講義を受講する前に育てたことがあったのは、小学校で育てた朝顔やミニトマトぐらいで、植物を育てた経験はほぼありませんでした。この講義を通し作物の栽培を行って、一番感じていることは、当たり前のことですが、植物というのは、育てるのに手間がかかるものだ、ということです。以前までの私の認識では、植物は水をやって日に当てておけば勝手に育っていくものでした。作物を育てていく上で一番苦労したのは、私の場合害虫対策でした。冬にそんなに虫が出るとは思っていなかったので、驚きもありました。最初に虫食いを発見してから一週間ほどで、食害がかなり進行してしまったので、虫に食われているのを発見したらすぐに対策しなければいけないということを学びました。また、水やりの頻度も難しかったです。上にも書いたように私は朝顔やミニトマトしか育てたことが無く、朝顔もミニトマトも春から夏にかけて育てていたので、毎日水やりをしても問題は無かったのですが、秋から冬にかけての栽培だと、毎日水やりをすると少し水が多くなってしまいました。最初のころは水やりの頻度が高かったのか常に土が湿っている状態で、後半は逆に水やりを控えすぎて萎れさせてしまったりしていました。また、この講義を通して「土寄せ」というものを知りました。私の場合、市販の軽い土を使ってしまったのかうまく根元を隠せず、苦労しました。特に、最初の土寄せをするまで植物を徒長させすぎてしまったので、12月14日の記事のように土寄せの際追加した土の量が多く、鉢からこぼれてしまったりしていました。様子を見つつ、土寄せが必要だなと感じたらすぐに土寄せをしないうまくいかないと感じました。

うまくいったことかどうかは分からないのですが、ハツカダイコンが思っていたより寒さに耐えているのは驚きでした。栽培を始めたころは、冬になったら様子を見つつ家の中に入れなければいけないかと思っていたのですが、この寒さの中でもちゃんと成長してくれたことは予想外でした。ただ、寒い分追肥の頻度を増したり、水やりのタイミングに気を使ったりする必要はあるなと感じています。

(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

私は留学生の人と一緒に日本文化を学ぶという展開ゼミを受講しているのですが、その科目に波及効果がありました。植物を観察して気づくことは、普段から身の回りで起こっているけれども気に留めていないことがほとんどでした。例えば葉が変色すること、寒くなると葉が固くなることです。そして、日本文化も実は身の回りにあるのに、普段は気に留めていないため気づかないことがほとんどでした。植物の観察を通して学んだ、普段何気なく流しているものに気づくことが日本文化を学ぶ展開ゼミでも活きてきて、より深く学ぶことができたのではないかと思っています。

(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

毎日観察を行うというのは、ずぼらな私にとってはとても大変でした。ただ、その観察の中で、小さな変化の大切さを学ぶことができました。植物は日々変化しており、その中にはよく観察してみないと見落としてしまうような小さなことも多くありました。例えば、ハツカダイコンにアブラムシがついていたことです。発見したときはまだ一匹で、すぐに取ったのでそこから増えることは無かったのですが、もし見落としていたらハツカダイコンにアブラムシが増え、ミニハクサイだけでなくハツカダイコンまで虫にやられていたのではないかと思います。逆に、ミニハクサイは虫食いを発見したにも関わらず大丈夫だろうと楽観的に考えて放置してしまったので、ひどく虫に食われる結果になりました。細かい変化に気づくための観察とともにそれをもとに行動を起こすことも大切なのだなと感じています。

(4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

まず、文章で伝えることの難しさを感じました。口頭で行うプレゼンは分かりにくい部分に補足説明を入れたり、図を指し示しながら説明をしたり、ということが比較的容易にでき、さらに相手からの質問をその場で受け付けることができるのですが、このようにホームページに掲載する形だと、完成された文章を作らなければいけないのが大変でした。この展開ゼミが始まった最初の頃は、観察によって得られた客観的な事実のみを書いていたのですが、後半からは、自分が植物に対して行ったことも書くようにしました。また、観察から考えたこともできるだけ書こうとしたのですが、こちらはなかなか難しかったです。このセメスターで受講している自然科学総合実験のレポートには、実験の結果だけではなく実験方法や背景、考察なども書くので、この講義で書く記事もそのように書いたらいいのではないかと思って書いていました。

(5) 理系・文系を問わず、この講義を受講できるようになっています。植物を栽培して、観察するということは、客観的に物事を捉えて、自然科学的なものの見方を学ぶということでもあります。そうした点について、自分自身が習得できたと思う点、他の受講生と比較して、さらに、研鑽を積むことが大事と思う点を、考察して下さい。

今までは、学ぶというのは教科書など本から知識を得たり、講義を聴いたりという形が多かったのですが、この講義を通して自分から学ぶということが少しできるようになったかなと思います。例えば、1月12日の記事に書いたミニハクサイの葉が赤くなった原因についてです。記事には、温度ストレスや無機養分の欠乏が考えられると書きましたが、あの赤い色はアントシアニンによるものであり、太陽光エネルギーの一部によって葉の光合成装置が破壊されることを防ぐため、太陽光のフィルターとしてアントシアニンを出しているようです。(参考)つまり、私が育てているミニハクサイは環境ストレスにさらされているということで良いことではないのですが...ただ、観察されたことの原因を探し、考える、という経験が積めました。また、このように得た知識は講義形式で与えられる知識よりも身になるなと感じました。

他の受講生と比較して、見習わなければいけないと感じたのは、観察で得られたデータをより客観的に見られるように工夫して示すことです。菅原さん榊原さんの記事のように、グラフを用いるなどして成長の様子を表すことも必要だなと感じました。また、平澤さん榊原さんの記事を見ていて気が付いたのですが、外で育てるのであれば天候のデータは必須だったと思います。天候のデータを残しておけば、日照などによって成長がどう変わってくるのかもわかるはずです。この講義を通して自分に足りない点を他の受講生から学ぶことができたのは、とても意味のあることだと感じています。

(6) 以上の(1)~(5)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

この展開ゼミで学んだのは、小さな変化を見逃さないことの大切さと自分で興味を持って学ぶことです。今は専門的な科目が少なく、講義を聴くという形で学ぶことが多いのですが、その中でも自分が少しでも興味を持ったものは調べてみる、実際に体験してみる、といった能動的な姿勢が大切になってくると思います。そのようにして学んだことは身になります。特に、実際に自分が体験したこと、自分で観察したことに関連する知識は忘れないなと思いました。また、学年が上がるにつれて実験や実習など講義形式ではない授業が増えてくると思うのですが、それらの授業で、この展開ゼミを通して学んだことが活きてくると思います。

まだ収穫していない作物についてですが、ハツカダイコンは収穫までもっていきたいです。なかなか根元が膨らんできてくれないのですが...阿部さんが無事ハツカダイコンを収穫されたようなので、参考にしながら育てていきたいです。肥料は週に一回与えていた、ということだったので参考にしてみようと思います。ミニハクサイはもう一度種から育ててみようと思っています。今度は最初から防虫ネットをかけて栽培したいです。また、ミニハクサイは土寄せ後少し元気になった株があったので、それを中心に様子を見ていきたいです。


最後に、中間発表で立てた目標についてです。私が中間発表で立てた目標は、

・観察を通して感じたこと、考えたことも一緒に記すこと

・冬に植物を育てる利点、大変さを学ぶこと

でした。

まず一つ目の目標についてですが、中間発表以降は、植物の成長だけでなくそれ以外の部分も観察し、疑問に思ったことを調べようと思って記事を書いていました。ただ、自分が書いた記事を見返してみるとまだまだ足りないなと感じています。また、疑問に思ったことを調べるというのは、意外と難しいということも分かりました。観察されたことが調べたどの事例に当てはまるのかが分からなかったり、それらしい記事を発見できなかったりしました。そこで必要になってくるのが、自分で考えるということなのだろうなと思いました。

次に、二つ目の目標についてです。冬に植物を育てることの利点はあまり分かりませんでした。冬に育てれば虫が付きにくいのではないかと思っていたのですが、私が育てているミニハクサイの場合そんなこともなかったので...逆に成長がゆっくりであることや霜が降りてしまったことが大変でした。成長がゆっくりになる分追肥の頻度も増しますし、霜が降りていたため水やりをしたら土に水がしみこまず、鉢植えが田んぼみたいになった時もありました。寒い時期の栽培は、工夫を重ねることが必須だということを学びました。

この展開ゼミを振り返ってみると、反省点が多く浮かんできました。しかし、植物はまだ成長途中なのでこの反省をもとに育てていこうと思います。最終発表はここまでにしたいと思いますが、植物の観察や記事の更新はこれからも続けていきたいです。

コメント

農学部・高畑さん

 こんにちは、遺伝の渡辺でございます。金曜日に投稿してもらっているので、早めにコメントと思いながら、土日は別の出張が入り。。。さすがに、13, 14日の土日の休みも海外でしたので、3週間続けては、きつくなってきました。だんだん、年は隠せなくなりますが。。。ギリギリの投稿。このあたりは、これから、改善の余地がありますね。大学、大学院の間でも〆切が絶対というのは、論文の提出など、事務的なものですね。これは、1minでも過ぎたら、outです。社会人になると、たくさんのことで、〆切は厳しくなります。誰かのコメントにも書いたように、〆切を言われた日を〆切と思うくらいで、物事を片付けること。そんなことを心がけて下さい。栽培面では、食害のある害虫にやれましたね。たぶん、コナガだと思いますが、。。虫も生き物です。周りの環境と適応しているというか、コナガの場合、食害を与えるのは、多くは、アブラナ科だったと思います。比較的、太陽光が当たるようなところで、栽培していたので、本当なら、越冬する卵が、孵化したのかも知れないですね。正確ではないかも知れないですが。それから、冬でも栽培できる。これは、秋冬野菜というか、野菜の旬をイメージしてみて下さい。ハクサイは今頃が旬です。つまり、この時期でもしっかり栽培できるということです。今週には、この冬一番の寒さが来るとか。寒さに耐えるために、もちろん、部屋の中という戦略もありですが、雪の下も意外と暖かいのです。凍らない限り。しっかり積もれば。もちろん、そのあと、できるだけ、速やかに雪を除く必要がありますが。雪が解けて、今度は、湿害が起きることになりかねないので。。。アブラナ科植物は概ね、地中海沿岸から、その東側のトルコであったり、もう少し東側の乾燥した地域が起源ですので。湿害には弱いです。

 普段当たり前だと思っていることが、実は当たり前でないことに気がついたのは、よいことです。書かれてあるように、異分野交流というか、自国の文化をどの様に語るのか。これは、難しいです。特に、海外の研究者と研究の話はできるのですが、自国の文化をどう考えるとか、そんなことになると、まずもって、単語が出てこなかったり。何で、そんなことを不思議に思うのとか。是非、この展開ゼミをきっかけに、身の回りの自然を当たり前と思わないで観察することを大事にして下さい。農学部という生き物を学ぶという意味では、大事なことですので。誰かの最終発表とそのコメントにも書きましたが、植物というか、生き物にとっては、何かをしてもらえるというか、こちらからするというか、それは当たり前のこと。それがあるから、病気を防げたり、お腹がすかなかったり。ところが、植物はそれをあまり分かるような形で意思表示しない。なので、それを感じる心として、身の回りの自然を観察することを覚えて下さい。

 口頭発表とこうした文章でのプレゼン、言われるとおりですね。よいポイントに気がついています。また、事実だけを書いても、読み手に感動を与えることができるかというと、結構難しいこと。なので、他の受講生の方々も色々と工夫をして、自分の考えを記述しており、そのことに気がついたのも、よいことです。是非、これからの数多くの実験などで、活かして下さい。あと、植物は基本、太陽光、紫外線を含めた光を浴びるのが通常です。なので、ハクサイも紫外線はよくないかも知れないですが、それでも耐える力を持っています。耐えることができない、つまり、紫外線で遺伝子修復をできないような場合は、植物は枯死します。栽培しているハクサイはそんなことはないので。今週は厳しいですが、来週にはもう少し太陽も出ると思います。しっかり太陽光を当てて、適度に土を乾燥させて、栽培することの大切さを改めて、実感してみて下さい。

 高畑さんの自宅がある周りの環境が分かりませんが、少し郊外でると、仙台なら、今の時期は、畑での作物栽培が行われています。また、夏は、水田でしょうか。そんな環境を見たとき、水をやる時期、つまり、霜が降りた「凍っている朝」に、水をやる景色を見たことがあるでしょうかということです。これも経験値かも知れないですが、そんなことを見ることができるような環境であれば、是非、農学部生として、観察してみて下さい。寒くて冷たい水をやるようなことは、まずしてないはずです。身の回りの自然というか、普通の風景の中に、学ぶことがたくさんあると思います。それを活かして、これからの農学部での専門の学習をがんばって下さい。もちろん、収穫と食レポも楽しみにしております。


 わたなべしるす