東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

中間発表~知の生産者たれ~(工:内藤晃史)

2019年11月25日 (月)

お久しぶりです。内藤です。提出期限をとっくに切れての中間報告になります。大変申しわけございませんでした。


(1)これまでの栽培を通して一番驚いたこと、野菜に対して変わった意識
これまで約2か月弱、植物を育ててきて1番驚いたのは「種の中に知恵がいっぱい詰まっている」ということです。これまでの観察からだけでも、種には「芽を出す環境にいるかどうか(正しく保管している限りは芽を出さない)」「鉛直方向はどの方向か(根が垂直に曲がっている)」「光に当たるためにはどうすればよいのか(太陽の方角に向かって伸びる子葉と本葉が被らないように生えてくる)」を判断・実行する能力が備わっていることがわかりました。たかが米粒程度の大きさとは言えど、その中には厳しい自然界できちんと生きぬけるように数十万、数百万年かけて進化してきた成果が詰め込められているように私は感じています。

とはいえ、適当に水をやって、土をかぶせてほったらかしておけば育つ、というものでは決してありません。2か月弱という短い期間の中にも、生育環境や育て方、それらに伴って発生してしまった徒長には少なからず悩まされました。植物を育てることがいかに大変であるかを思い知った同時に、それが"ほんの一部"に過ぎないことも感じています。そのため、昔なら八百屋やスーパーに並んでいる野菜を当たり前のように、特に何も思うことなく眺めていましたが、今では「農家さんってすごい」と思うようになったほか、先日の台風によって多くの農家さんが作物被害を受けてしまったニュースに関心がより沸くようになりました。(579字)

(2) 他人の記事を見て参考になったこと

【栽培について】

金さんのカイワレ大根

金さんからは、report5で記した通り「カイワレ大根における下敷きの影響力」の参考にさせていただきました。3度目の正直を成功させるべく、種の下に敷くものをコットンからネットに変えたのは、金さんの実験の結果によるものです。下敷きをネットに変えたことで、種の不安定さが増してしまい少々心配でしたが、(報告がまだですが)見事、きれいに育て、食すことができました。

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また、金さんのようにカイワレ大根の下敷きを変えてどのような影響が出るのかを調べた実験(坂谷さん)や、豆苗を用いて水以外のものを与えて育ててみる実験(春日さん)を行った方もいらっしゃいます。これからは私も見習って「積極的、独創的な実験」をしていきたいと思います。

【記事について】

1.中里さんのスケッチ

この講義のレポートでは、オンライン記事ということもあり、現物を撮った写真を使うことが大変有効です。しかし、それ以外にも「スケッチしたものを載せる」という方法も非常に画期的であると私は思っています。なぜなら、画像加工するよりも比較的気軽に行えるからです。とくに、撮りたい写真がうまく撮れないとき(近接した場合、など)はこの方法が大変有用です。私も、初めの種子の観察葉の観察では、中里先輩のレポートを見て「スケッチしたものも撮る」ことにしました。

2.吉田さんの画像配置

写真をbefore/afterで並べて載せてみたり、成長過程をまとめたものを1枚の写真にしてみたり、と読み手に取って「どのように変化したのか」がわかりやすい写真の載せ方を実践しています。私もこれからはより積極的に「読み手を意識した画像配置」にも気を配っていきたいな、と考えています。

3.松木さんの目次

松木さんのレポートには必ず目次が書いてあります。今回のレポートにはどんなことが書かれているかを始めに記すことで、読み手が内容を軽く把握することができます。また、レポートを参照するとき、どんなことが書いてあるのかを明記することは「自分が知りたい内容があるかどうか」というのをすぐに判別することにもつながります。(もっとも、そのようなことに拘ることなく全部見る、というのがベストだとは思うのですが。)(928字)

 (3) 教授方のコメントで参考になったこと

1.水やりとそれに伴う鉢受けについて

report2にて尾形さんより水やり、及び鉢受けについてご指摘を受けましたが、自分はそれまで「水やりは所詮水を与えるためだけのもの」「鉢受けは見栄えの問題」などとばかり勝手に思っていましたが、水やりには、鉢内の空気の入れ替え、残存栄養物の洗い流し、など、多くの役割を持ち、それをきちんと行えたかどうかを判断するためにあるのが鉢受けだということを学びました。以後、水やりは「数日に1度、ドバっと」を徹底して行うようになりました。

2.徒長のメカニズムについて

植物の成長は温度依存であるということを渡辺教授の記事から学びました。だからこそ、寒くても外に当てておくことで徒長を抑えつつ太陽に当てさせ、根の成長にエネルギーを使わせるために水を与えすぎないことが重要であることを知ることができました。(そういえば、NHKアニメ「はなかっぱ」でも同じようなことを言っていた気が...)

3.対照実験について
金さんの実験に対する尾形さんのコメントの中に「変えたい条件を1つに絞り、その他の条件は一致させる」と、書かれていました。これは、これから栽培を通した実験を行うときのみならず、理系学生として行う実験や、さらには、部活で行う「破壊実験」にも共通する大事なことだというのを思わせられるものでした。

(実は水やりについていろいろ検索しているときに、2017年度のこの講義で尾形さんが栽培の方法の概要を説明しているものを見つけました。これから私の記事を見る誰かの助けになるようにと、載せさせていただきました。)(656字)


 (4) この講義の特徴は、双方向の講義ということです。他の講義とは違って、双方向の講義であってよかった、あるいは、そうではなかったと言うことがあったと思います。その実例を挙げて、また、記事を書いていれば、それらをlinkを入れつつ、説明してください。

私は双方向の講義であってよかった、と思っています。

今までの講義(・授業)の大半は教授から学生に何か教える、といういわば"一方通行"でしかありません。しかし、この講義では自分から何か発信しない限り何も得ることができません。レポートを提出すれば、他の講義では考えられないほど自分に沿った教授方々からのコメントをもらえる。(提出したレポート1つ1つに丁寧にもコメントをしてくださるのだから。)逆にレポートを出さなければ直接催促されないどころか何も返ってこない、何も得られないという事態に陥ります。

また、この講義では学生と教授間だけではなく、学生間の双方向性も重要です。他人のレポートをじっくりとみられる講義なんてそうそうありません。ならば他人のいいところを盗んで次のレポートに生かす、ということもできます。また、他の受講生がいかに定期的にレポートを出しているか、どんなことをしているか、自分のやっていることはそれらに劣っていないか、といったことも知ることができます。もちろん逆に周りから自分のレポートがみられている、という責任感も生まれます。決して競うことが目的とは言いませんが、それでも個人的には多少なりとも競争心は大切だと思っています。同じ講義を受けている者同士、もちろん過去にこの講義を受講した人も含め、協力しあい、切磋琢磨しあっていくことは双方向の講義ならではの特徴です。

約1週間に1度、という頻度でレポートを書くことはとても大変だということは約2か月この講義を受講するだけでも十分身にしみました。ですが、これから社会に出ていく上で必要とされるであろう「自分から発信し行動していかなければ何も得られない」、ということをこの講義の"双方向性"で直に学べているのは自分の中でとても大きなことだと思っています。(744字)


 (5) 最後に、以上の(1)~(4)を踏まえて、残りの展開ゼミの講義を続けるに当たり、どの様なことに注意して、また、何を目標として、この展開ゼミの講義から何を学び、記事にしたいかを記して下さい。

今までの自分の記事を振り返ってみると、更新頻度に関しては前半はとてもよかったのですが、ここ最近に関してはかなり大変なことになっています。(そして、今回の中間レポートも...)また、内容に関しても、読み手にわかりやすいものを作るうえで改善の余地はまだまだ残されています。(写真の載せ方などなど)
意地ではありますが、未だ記事には「忙しかったから...」という言葉を一度も書いたことはありません。ならば、その意地を貫き行動で示そうではないか。より良い記事の書き方だって、増子さんの記事もあれば過去の受講者の記事も、何よりともに受講している人たちの記事だってあるじゃないか。参考せずにいられるだろうか、いや、いられない。
今一度、この中間レポートを機に気を新たにし、当初の目標である
この講義をきちんとやり遂げること(忙しいから、を言い訳にしない)
聞き手に伝わるレポートを作成すること
を肝に銘じていきたいと思います。
また、後半戦に向けた新たな目標として

・積極的に独創的な実験を行っていくこと
・講義期間内に計15本の記事を書き上げるような頻度で記事を書き上げること
を新たに目標としていきたいと思います。

余談ではありますが、工学部の新入生オリエンテーションでこんなことを言われました。
「君たちはこれから"知の消費者"ではなく"知の生産者"となるのだ」
自分が書く記事1つ1つが将来この講義を受講する人たちの"知"となりうること。(もちろん、提出頻度に関しても。)このことを念頭に、栽培・観察・記事作成を行っていきたいなと思います。(654字)
【計】3561字


以下、謝罪文
この度は提出期限を3日も無断で過ぎてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
最終的にはレポート下にこのような形で謝罪文を掲載しているのは、自分自身に対する戒めの意としてのものです。
以後の記事、殊に最終報告においては、心に余裕をもった計画的な準備をすることを心掛け、人様に迷惑をかけぬようにしていきたいと思います。

 内藤晃史

コメント

工学部・内藤さん

 育種の渡辺でございます。提出期限を遅れていることを自覚し、そのことを次に活かすことを決意していることを見て、ほっとしております。農学部・竹本さんなどにも書いたように、自分を律することが大変なことをこの講義で学んでもらうことができていれば、開講してよかったと思っています。栽培の様子はまだ、小さいところまでしか書かれてないですが、こちらから見ると、比較的順調だと思いますが、農家の大変さの一端を理解したことが今後の工学部での講義、実験に反映されることを期待しています。

 種子の中の神秘を「知恵」という言葉で表記されているのは、長年の展開ゼミでもはじめてだと思います。工学における色々な「からくり」も人間の叡智の賜物です。そこには、植物に学んでいることもあると思いますので。これからも身の回りの自然を観察することを大切にして下さい。自然を観察するとき、写真を載せるのは、加工をしなければ、簡単です。でも、スケッチをすると、自分がここを強調するというところに力点をおいて書くことができます。なので、後半戦で、是非チャレンジしてみて下さい。

 双方向で、公開しているところの利点をしっかり理解して、他の受講生のよいところを習得するという姿勢、大事にして下さい。この後、卒論、修論などで、研究室で学ぶようになるとき、先輩方の手技など教えてもらうこともあるかも知れないですが、そうでなくて、見て盗むと言うことも大切ですので。双方向は、研究室に配属後の学びではより大事になりますから。残りの時間でこちらと議論するようなこともやってみて下さい。

 よい記事を書くために大事なことは、よい記事をたくさん読むことです。それで、こんなやり方、あんなやり方、こんな書き方、あんな書き方などを理解して、その上で、自分の文章を作ると言うことです。言語を学ぶとき、小さな子供は周りでしゃべっている言葉を聞いてそれを覚えるはずですから。それを基礎基盤として、自分の文章をこの講義で確立して下さい。


 わたなべしるす

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