東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【最終報告】 持続することの大変さ(会:宮野 はるな)

2025年1月 9日 (木)

こんにちは、宮野はるなです。
いよいよ最終報告となりました。時の流れの速さを感じます。
九月の終わりごろに渡辺教授とオンラインミーティングをすると担任の先生から伝えられ、教授とお話しできるなんてとてもいい機会だと思いながらも突然のことでとても緊張した記憶があります。最初は講義だと思っていたので、野菜栽培をすることに少し戸惑いましたが、いざやってみるととても楽しくてこの講座を受講してよかったなと思っています。
それでは、最終報告のほうに移りたいと思います。

目次


⒈作物栽培を通して大変だったこと、うまくいったこと
⒉他の科目・講義への波及効果 
⒊毎日の観察により身についたこと
⒋文章を書くという点においての講義前後の変化
⒌自然科学的なものの見方という点において、習得できたこと、研鑽を積むことが大事と思うこと
⒍双方向性について、先生方のコメントをどの程度followできたのか、意味があったのか
⒎中間発表で目指した点がどれだけ達成できたか、反省
⒏講義で学んだことをどのようにしてこれからの生活に生かすか、今後の管理について


⒈作物栽培を通して大変だったこと、うまくいったこと


 私が栽培で大変だったことは、二つあります。
 まずは、「日々の観察」です。私はかなり怠惰な性格なので作物の観察をするのでさえも億劫に感じてしまうことがありました。毎日水をあげ、日々の成長を計測するということは一見、楽なことに思われますが、実際は意外と大変であるということを学びました。
 二つ目は、「植物の繊細さ」です。私は栽培をしていく中で虫害や気温差による被害を経験しました。正直、水をあげて十分な光をあたえていれば、植物は元気に育ってくれると思っていました。しかし、栽培というものはそんなに単純ではありませんでした。
 虫害(自分のpart6)についてです。自分ではしっかり水も上げて植物が育ちやすい環境が整っているだろうと思っていたのですが、ある時葉に幼虫の卵のようなものがついていました。それにもかかわらず、大丈夫だろうと思い、そのまま栽培を続けていきました。植物の丈夫さを過信していたのです。そのせいで、一週間後には葉の約3分の一が見事に食べられてしまいました。一週間前除去しとけばと何度も思いました。
 続いて、気温差(自分のpart12についてです。これに関しては、私の怠惰な性格がでてしまい、室内で栽培できれば観察も簡単にでき、また、虫害も予防できるので一石二鳥なのではないかと思い始めました。しかし、栽培は失敗してしまいました。このことからも少しの温度差でも影響されてしまうという作物の繊細さ、栽培はそんなに楽できるものではないということについて学ぶことができました。

 

気温差にやられてしまったミックス20241210_211137.jpg


 今回私は、自家栽培だったので多少葉に穴が開いていたりしても問題なく食べることができましたが、実際に売られている野菜には穴が開いているものはなく形もきれいな状態で並んでいます。ただでさえ作物を育てるということは大変なことであるのにそういった点にも気を配るということがどれだけ大変なのかが実感できました。

 大変だったことが長くなってしまいましたが、続いてはうまくいったことです。
 それはカイワレ大根の生育です。カイワレ大根だけは虫害もなく成長に被害がでることもなく、収穫まで無事終えることができました。カイワレ大根は毎日観察するごとに新たな変化を見ることができるので栽培をしていてとても楽しかったです。

 成長中のかいわれ大根20241203_165819.jpg


 また、収穫が早くできたこともうまく言った点として挙げられると思います。会津は気温が比較的暖かかったこともあり、他の受講生の方よりも早くミックスやハツカダイコンを収穫することができました。

 収穫したハツカダイコン20241116_094411 (1).jpg20241117_203115 (1).jpg


⒉他の科目・講義への波及効果


 この講義の他の科目への波及効果については、二つあります。
 一つ目は、観察力の向上です。「SSH探究活動」の時間にミドリムシを扱っているのですが、やはりミドリムシの実験においてもミドリムシを観察し、そこで得られた疑問を新たに解明していくことが重要となってきます。このことは作物の栽培にも準ずることがあると考えます。植物が少し萎えてきたらそれは何が原因なのかを追及し、その解決法を見出すことが例として挙げられると考えます。
 二つ目は、文章力の向上です。これについても「SSH探究活動」の授業で研究の要旨を書くという課題があったのですが、以前は長い文章を書くことに抵抗を感じていました。しかしこの講座のおかげでそのような抵抗感を無くすことができ、無事要旨を書き上げることができました。


⒊毎日の観察により身についたこと


 毎日の観察で身についたことは、観察力です。植物を栽培するにあたり、大切なことは土の乾き具合、葉の色、茎の太さ、葉の元気さなどをよく観察することであると思います。実際に、土の乾き具合や葉の色、茎の太さや葉の元気さなどを細かく観察し、少しでも葉が萎えていたら水を多めに与えるなど(自分のpart3して対策をしながら栽培をしていました。私の独断で大丈夫だろうと思ってほっといてしまうとそれは植物にとってはとても重要な変化であるものが多々ありました。その小さな変化に気づくためには鋭い観察力が必要であり、栽培を通して、それを身につけることができたと感じています。
 その他に、物事を継続する力を身につけることができました。私は、先ほども述べたように怠惰な性格なので基本的にものごとを継続する、ということが苦手でした。しかし、今回の栽培では週に一回記事を書かないといけないということもあり、毎日観察することを習慣化することを決意しました。その結果、これまで修学旅行の週を除いたほぼ毎日継続して植物の観察をすることができました。このことは、今まで継続しても1か月程度だった私を大きく成長させることができたと感じております。


⒋文章を書くという点においての講義前後の変化


 私はこの講義を受講して、文章を書くということの苦手意識を無くすことができたように感じます。以前はよく講義などを聞いた後にある「200字で感想を書きなさい」などといったアンケートでさえも苦痛に思ってしまうことが恥ずかしながらありました。しかし、この講義で週に一回文章を書くことを習慣化し、たくさん文章に触れたことで、たった200文字くらい楽勝だと思えるようになりました。
 また、講義を受講する前は文章を書くということに苦痛と感じていたために、読む相手に気を配った文章を書くということができなかったのですが、今回はそのような点についても意識しながらかくことができました。特に意識していた点として、日付・気温・時間などの栽培の条件は緑色で書くこと、大事なところは赤色で書くこと、何かを比較する場合は箇条書きにすることです。まだまだ改善するべき点はたくさんあると思いますが自分なりに見やすい文章を作ることができたと思っています。
 今後の課題、展望としては、面白い文章を書けるようになりたいと思っています。漫画や小説などは面白いから見続けると思うのですが、やはりこのようなブログも同じで面白さがないと見続けてくれる人は少ないと考えます。昨年の清田さんの文章ですが毎回のブログが面白くて楽しみながら読んでいました。私もそのような面白い、見る人がずっと見続けたいと思えるような文章を書きたいと思いました。


⒌自然科学的なものの見方という点において、習得できたこと、研鑽を積むことが大事と思うこと


 私が自然科学的なものの見方という点において習得することができたこととしては、植物の成長速度を数値化し、客観的に示すということだと思います。最初のころはただ単に定規で葉の長さや茎の長さを測って、自分の感覚だけで成長したか成長していないかを判断していました。しかし、中間発表を作成するにあたりたくさんの記事を見た際、植物の成長率をグラフにしたり、面積を出していたりする方がいて、データを客観的にすることの重要性について気づくことができました。中間発表後はカイワレ大根の成長率をグラフ化してみたり、ミックスの葉の面積を出してみたりしました。今まで感覚的、主観的にしか植物の成長率を見ることができませんでしたが、データを客観的に捉えることができるようになったことは習得したこととして挙げられると考えます。
 研鑽を積むことが大切だと思うことは、起こっているイレギュラーな事象についてその理由を探究しそれに対しての具体的かつ正確な解決策を見つけるということです。私は、二回目のミックスの栽培で成長に悩んだときに「なんとなく」光の当たり具合が原因だろうと思い、光の当たるところに置きました。しかし、原因を光と決めつけるのではなく、きちんと何が足りていないのかを調べたうえで行動に移すべきであったと感じております。金濱さんの「その3 成長と徒長(カブ・ハツカダイコン)」の投稿では日光の照量を調べています。私もそのように、日光の照量を調べ、本当に日光が足りないのか、日光ではない他の原因はないのか、ということを考えその事象について深く理由を探究することが必要であったと感じています。


⒍双方向性について、先生方のコメントをどの程度followできたのか、意味があったのか


 私は、双方向性ついて、先生方のコメントをfollowできたほうであると思っております。今回の栽培はコメントがなかったらやっていけてないといっても過言ではないほど助けられていたと思います。最初のほうでは鉢受けの大切さや間引きのタイミングなどを教えていただきました。栽培の基本がわからなかった私にとってコメントはとても大きかったです。また、農薬についてのコメントはとても参考になりました。過去の受講生で虫害を経験した方がいなかったためネットで農薬について調べていたのですが、かなり情報が錯誤していて悩まされました。しかし、ラボスタッフさんのコメントは私の栽培の状況にあった的確なアドバイスをしてくださったのでとても役に立ちました。

使用した農薬
DSC_4540.JPG
 

 また、私がこのブログを毎週続けることができた理由はコメントがあったからであると考えます。今回はどんなコメントが返ってくるかなと楽しみながらブログを書いていた記憶があります。農業に関する様々な豆知識がかいてあったり、私の冒頭の雑談に関する話であったり、かわいい猫の写真であったりをとても楽しみにしていました。毎回コメントありがとうございます。


⒎中間発表で目指した点がどれだけ達成できたか、反省


 私は中間発表の際、五つの目標を掲げました。一つ目が、毎週日曜日にブログをあげること、二つ目がハツカダイコンの収穫、三つ目がスプラウトを育てること、四つ目が新たにミックスとハツカダイコンを育て、室内と屋外の植物の成長の差を比較すること、五つ目が成長率を数値化することでした。
 一つ目については、毎週「日曜日」にあげるということは模試があったり、用事があったりして達成することができませんでした。しかし、毎週一回あげるという点では達成することができたと思います。
 二つ目については、葉は虫害を受けていましたが、無事収穫することができました。虫害を受けていたため、味も落ちているのではないかと心配でしたが、とてもおいしく食べることができました。野菜栽培は大変なこともあるけれど最後自分が頑張った野菜を食べられるということの幸せを実感できました。(自分のpart8)
 三つ目のスプラウトを育てることについてですが、見事に成功することができました。カイワレ大根を育てたことがなかったので最初は光を当てなくても育つことに驚きました。しかし、それ以上に驚いたことはカイワレ大根の成長速度です。日に日に姿が変わるカイワレ大根の成長を楽しみながら育てていました。また、ミックス一期生やハツカダイコンの栽培初期は、過去の受講生の方々のブログをあまり見ずに進めてしまっていたので、今回はしっかり見ることを心がけました。種まきにおいては、柳澤さんの「ほうれん草とカイワレ大根を作ろう その10」を参考にしました。
 四つ目の新たにミックスとハツカダイコンを育てるということについてですが、ハツカダイコンは種がなかったためできませんでしたがミックスを新たに育てるという点については達成することができました。あまりにも収穫が早く完了してしまったことと、虫害にやられて悔しいという理由から始めた栽培でありましたが、この栽培からも学んだことがたくさんありました。一番は温度管理の重要さです。気温はある程度暖かければいいのかと思っていましたが、そうではなく、昼のほうが夜よりも温かい環境を作ることが栽培において大切だと学びました。(自分のpart12)
 五つ目の成長率を数値化することについても達成できたように感じます。カイワレ大根の成長率をグラフ化したり、ふたつのミックスの比較として葉の面積や単位面積当たりの発芽率という観点から検証しました。(自分のpart10)グラフにしてみると成長の度合いがより明確になったのでより良く変化を観察できると感じました。反省点としてはハツカダイコンやミックス一期生を育てていた時から取り入れていればよかったと感じています。


⒏講義で学んだことをどのようにしてこれからの生活に生かすか、今後の管理について

 
 毎週ブログを更新するということから、私は持続力を身につけることができました。「持続力」というのは勉強においても大切なことであると思っています。私はもうすぐ高校三年生なのでこれから受験勉強を本格的にしていきます。時にはやめたいと思うことがあるかもしれません。しかし、絶対にやり遂げてみせるといった持続力があれば乗り越えられると考えます。今後、この講座で得た「持続力」を駆使して受験勉強を頑張っていきたいと思います。
 また、農業の楽しさを実感することができました。私はもともと酵素などの生命科学の農学の分野に興味がありました。しかし、いざ植物を栽培してみると楽しくて毎日植物を観察するのが日に日に楽しみになりました。今後は、以前の記事でも述べましたが、枝豆を育ててみたいです。
 今後の管理についてですが、今育てていた野菜の収穫は終わったので以前育てていたハツカダイコンとミックス一期生の成長率について葉の面積という観点から注目して求めてみたいと考えています。また、ミックス一期生の葉の面積の成長率とミックス二期生の葉の面積の成長率を比較しグラフ化をしたいと考えています。これからも一生懸命記事作成に努めていきたいと思います。よろしくお願いします。

以上で最終報告を終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

(5178字)

コメント

会津学鳳高 宮野さん

 最終報告の投稿可能日でのupload、初めてのことであり、これまで継続的に投稿できたからこそ、これまでの講義を振り返り、何が大事であったかをしっかりと理解できていると思います。最初に書かれてあったとおり、オリエンテーションに仙台に来て頂くことは難しいと判断して、zoomでのmeetingとしました。緊張されているのはこちらから見ても分かりました。オリエンテーションから少し時間があっての最初の投稿だったので、大丈夫かと思っていましたが、ほぼ毎週の投稿をきちんとできたことは高く評価ができると思います。
 
 害虫による食害はかなりひどいものがありましたね。農薬を施用することはこれまでなかったのですが、こちらからももう少し早めにコメントできればよかったです。逆を言えば、いわゆる、チョウ、ガの仲間である「鱗翅目(チョウ目)」では数回の脱皮を繰り返して成長することもあり、小さいときに撲滅できればよいのですが、そうでないと、こうした被害になるということを、実感したことはよい経験になったのではないでしょうか。失敗をしたからこそ、次はこうしたらよいという成功体験につなげることができるのではないでしょうか。また、植物の栽培も水やりをしていれば、枯れないだろうと思いがちですが、発芽から経験すると意外と大変ということを理解できたのも経験値を上げることにつながったのではないでしょうか。こうした栽培の大変さと市販されている野菜がきれいに管理されたものであることを結びつけているのもよいですね。
  DSCN0286.JPG SSH探究活動をされているのですね。研究結果をまとめる時、今回の経験が活きているのは何よりです。その時、この講義での学びである「変化に気がつく」ことにつながっているのではないでしょうか。その時、さらに考えて「なぜ、そうなるのだろうか」「その原因は何なのだろうか」ということにつなげることができると、SSH探究活動もより深まると思います。また、文章力について書かれていましたが、SSH探究活動はもちろんですが、その先の大学での学びでも文章力はとても大事になります。4月から3年生ということで受験勉強も本格化すると思います。そうした中でも、継続的に文章力を高く維持することを気にかけてください。また、読み手を意識することも心配りしていますが、さらに意識を高め、場面にあった文章、つまり、おもしろい文章、きっちりとした硬い文章など、場面を意識して、書くことをもこれから学んでください。
 
 SSH探究活動でも現象を記述するだけでなく、それをわかりやすい数値化、図表化することはとても大事です。今年の受講生の多くはいくつかのグラフ化にチャレンジしたと思います。これからも継続してください。また、中間発表の時に目標を立てて、それを実現できたように、SSH探究活動でもしっかりと目標を立て、ここまでやると言うことを実現してください。農学分野の植物・作物の分野にも興味を持つことができたのはこれからの進路選択によい意味で幅ができたのではないでしょうか。これから先は、色々なこととの出会いが大事になります。渡辺が植物の遺伝育種学に興味を持ったのは高校3年生の時のドキュメント番組でした。今回の講義が宮野さんの今後の進路、発展につながればよいと思います。そのためにも、残りの講義の期間も継続的に記事を投稿してください。ラボスタッフのオガタくんがコメントしますので。講義枠が終わっても、次の年度のこの講義、つまり、9月いっぱいは記事を書くことができますので。投稿を楽しみにしております。
  DSCN0334.JPG
 わたなべしるす