朝夕少し秋らしくなってきた9月下旬。アブラナの栽培が遅れるとどうなるのか、秋も気温が高めに推移するということで、開花まで至るのではないかと。
9/27(木):今治市立伯方小学校・ふるさと出前授業「花の不思議な世界」
9月最後の出前講義は「ふるさと出前授業」。初めての伯方島、今治市立伯方小学校へ。2019年以来の現地での「ふるさと出前授業」。開花から結実までをリンゴをモデルとしての授業。伯方島の自然をしっかり観察したり、学習していることから、受粉から受精、結実のことをこちらから質問しても、しっかり答えてくれていたのが印象的でした。リンゴをモデルにしたので、昨今の黄色いリンゴ品種が増えている原因についても考えてもらいました。赤い系のリンゴで色むらがあっても「真っ赤な」リンゴを選ぶことなく、食することができるように約束してくれたのはさすがでした。 後半は受粉時の自家不和合性、果実のどこに花があったのか、果実の中で種子がどのように配置されているのか、いつもとは違うきり方で果実を観察したり。自家不和合性がある原因もよく考えていました。最後は質問の時間。こちらがどう答えたらよいのか困るような鋭い質問も。とても楽しい2hrでした。ありがとうございました。講義が終わったあと、今年度から「ふるさと出前授業」を統括頂いている木山校長先生と今年度、次年度に向けての方向性も議論できました。ありがとうございました。
10/2(月):今治市立桜井小学校・ふるさと出前授業「花の不思議な世界」
先週は「ふるさと出前授業」を統括されている木山校長先生がおられる伯方小学校へ。打合せもあることから、まずは現地へ。今週はリモートでの問題点というか、改善点も含めて何ができるかということで、母校の今治市立桜井小学校。いまでも学年のトップが班長さんをして集団登校をしているだろうと。そんな地域の話から。講義の内容は先週と同じ「花の不思議な世界」で開花、受粉、受精、結実。リモートからは難しいと思ったのですが、受粉のあと、花粉管が伸びて、受精する。動物も植物も受精を経て、次の世代である子孫ができるというのは、理解してもらえたようでした。さすが、我が後輩たち。 後半は自家不和合性という性質が何故あるのだろうか。遺伝子を混ぜて生じる多様性の重要性を認識してもらえたのではないかと。また、リンゴの果実のどこに花があり、普段置いている姿でよいのか、改めて考えてもらえたのではないでしょうか。身の回りにはたくさんの不思議がありますので、しっかり観察してみてください。最後に「努力する事、頑張ること、続けること」の大切さを伝えて、あっという間の2hrでした。ありがとうございました。
PS. 講義の初めに、学校の支援員さんとお話しする時間が。どこかで聞いたことがある声にはびっくりでした。色々なところで活躍されているのだろうと改めて実感。こんなことからも対面でということの大事さを再認識でした。ありがとうございました。
10/3(火):仙台市片平丁小学校・理科特別授業「花の不思議な世界」
先週から3つの小学校で続けての出前講義。お題はいずれも「花の不思議な世界」。片平キャンパスから一番近い、小学校である仙台市立片平丁小学校へ。HPにもあるとおり、創立150周年の記念行事が最近あったとか。
小学校での「受精」のまなびは「動物」が対象。では、植物は受精をしないのか。そんなことはないわけです。遺伝的に多様な子孫を作るという意味で大事なわけです。このレベルまで来ると、高校生物なのかもしれないですが、そこはあえてチャレンジ。この日の片平丁小学校の5年生は、受粉、給水、花粉管伸長、受精、種子形成という一連の過程の理解に深く考え、答えていたのが印象的でした。何より、どんな質問にも積極的に答えてくれたことは、これからの様々な学びでも同じようなチャレンジをして下さい。 もちろん、本題のリンゴに纏わる事象(バラ科、八重咲、自家不和合性)についても講義をしてきちんと理解できていたと思います。八重咲になる原因、バラ科の多様性、自家不和合性を持っていることの大切さ、リンゴ果実のどこに花があったのかなど、学んだことを秋、冬の果実を食べながら、また、考えて見て下さい。
10/4(水):今治市立吉海小学校・ふるさと出前授業「自分の将来を考えて、どんな職業でがんばるか考えて見よう!」
今年度4校目の「ふるさと出前授業」は今治市立吉海小学校。ほぼ、毎年のように授業を行っています。昨年度は現在統括をされている伯方小学校の木山校長先生が教頭先生として「キャベツとブロッコリー」を講義したのですが、今年度はいわゆる「キャリア教育」。小学校の頃から将来はこんなことをしたいなど、「夢」があるわけです。では、その夢をどんな風に実現するのか、揺れ動く夢でよいのかなど、渡辺を実例に、小学校、中学校、高校、大学、現在に至るまでを示して、いろんな場面でみんなはどう考えるのか、発表してもらいました。小学校5年生という年齢でしゃべるのが恥ずかしいなどあったかもしれないですが、ほとんどの方がいずれかの質問に答えてくれて、とてもよかったです。 小学校、中学校までは大島の中ですごし、そのあとは島の外での生活になるかと思います。そんなことを通じて経験値も上がると思います。一方で悩ましいこともでてくることでしょう。そんな時、今日の講義のことを思い出して、頑張ってください。こちらからの質問にしっかり答えてくれたみんなであれば、きっとできると思いますので。
10/5(木):仙台市新田小学校・理科特別授業「環境問題を多角的に考える」
今週は4日連続の出前講義。その最後が仙台市立新田小学校。初めて伺う宮城野区の小学校ですが、校長先生は、片平丁小学校、館小学校などでお世話になっていた大友校長先生。コロナ禍でお目にかかれなかった時期もあり、久しぶりでした。で、講義は「環境問題を多角的に考える」。理科で環境問題を学習しているので、イントロで環境とは時いてみると、地球温暖化など、しっかりとした答え。でも、もっと身の回りの環境問題である「教室内での自分の席の周りにどんな友達が座っているのか」。学習する上で「適切な環境」といえるのか。ちょうど、今日から席替えがあったところのクラスもあり、この重要なことについて考えると、環境問題はとても身近なことを理解してもらえました。とてもよいタイミングの「席替え」でした。 このあとは、地球温暖化、遺伝子汚染、絶滅危惧種、外来種など、環境を考える上で考える大事なことを深く掘り下げ、その問題点、解決方法など、みんなで考え、発表できたのはとてもよかったと思います。理科だけのまなびではなかったかもしれないですが、環境ということが複合的な要因で起きていて「理科」だけでは解決できないことを理解できたのではないでしょうか。明日からといわず、今日から身の回りの「環境」がよくなるように今日のまなびを活かして下さい。
PS. 講義が終わったあと、大友校長先生、学年主任、理科専科の先生方と、教育の現状、どのような経験が子供たちを成長させるかなどdeepな議論ができたのはとても楽しい時間でした。ありがとうございました。
わたなべしるす
【アウトリーチ活動】今治市立伯方小学校・ふるさと出前授業、今治市立桜井小学校・ふるさと出前授業、仙台市片平丁小学校・理科特別授業、今治市立吉海小学校・ふるさと出前授業、仙台市新田小学校・理科特別授業(9/27, 10/2, 3, 4, 5追記)
2023年9月30日 (土)
【来客・学会発表】タイ国Chulalongkorn大・Chaumpluk准教授来仙、及び第144回日本育種学会ワークショップ(9/16, 20)
2023年9月21日 (木)
この記事を書いているのが、9/21(木)。前日の18:00頃には25oCくらいの気温に。そのまま気温が下がり続けて、日中は21oCくらい。もう少し雨が降ればと思いつつ。これで本当に夏が終わるのか、気になるところですが、天気予報を見る限りは、ほぼ30oCになることもなさそう。最低気温も10oC台に。秋の作付けが困難だったので、週明けにはできるかと。問題は従来のように生育してくれるか。気温が下がるので、微妙なところかと、そちらも気になる9月下旬。 前日の9/20(木)には、タイ国Chulalongkorn大・Chaumpluk准教授が来仙。渡辺が助手になってすぐくらいにマレーシアから10ヶ月のサバティカルで研究に来られていた方がいたのですが、それ以来の東南アジア諸国から訪問のような。積極的に質問する2名の学生さんと、今回の来仙などを設定された元・岩手生物工学研究センターの山村博士も。山村様に会うのは10年以上前のような。懐かしい時間でした。ありがとうございました。コロナ禍も収まる方向なので、時間を見つけて、こちらからも訪問できればと。
その前の週の土曜日が日本育種学会の年会。玉川大・肥塚教授と石川県大・高木准教授が企画された「アブラナ科作物の遺伝・育種学の未来像を描く」と題したワークショップのトップバッターとして、「アブラナ科作物研究の過去から学ぶ」という演題で20min弱の講演。若手の方も多くいらしたので、少しは昔のことに目を向けるきっかけになったのでは。と思っています。ありがとうございました。
わたなべしるす
【アウトリーチ活動】仙台市立秋保小学校・特別講義、仙台市立将監中央小学校・特別講義、仙台市立遠見塚小学校・特別講義、福島市立三河台小学校・スーパーサイエンス講座(8/30, 9/5, 9/7, 11追記)
2023年9月 8日 (金)
夏休みの宿題。小学校から高等学校まで3学期制だったので、この時期というか、8月末はパンク状態。改善を試みましたが、容易ではなかった記憶が。。。その習慣は少しはカイゼンされたものの、やっぱり「宿題」には頭を抱えるこの時期。一方で、今年度も仙台市教育センターからのリクエストで「仙台市理科特別授業」を7件、承りました。うれしい限りです。
8/30(水):仙台市立秋保小学校・特別講義「花を解剖して、花の構造を理解しよう!」
今回のスタートは、仙台市立秋保小学校から。秋保温泉街があるところからさらに先へ。平年よりも3oCくらい高温だった今年の夏。その影響か、稲穂はすでに黄色くなりつつあり、収穫も近いのではと。当日も30oCを超える状態で、稲穂が首を垂れた状態の写真を撮ることもできず。。。5年生2名に講義を。花を自由に解剖して、観察してもらうのですが、2名でしたので、学校の畑の花の観察から。アサガオ、ヘチマなども観察用にサンプリング。この人数だからできる双方向での質疑のやりとりも。これからも秋保の自然をしっかり観察してください。
9/5(火):仙台市立将監中央小学校・特別講義「花の不思議な世界」
以前、七北田小学校、黒松小学校での出前講義でもお世話になった椎名先生が将監中央小へ異動。早速、講義のリクエストをいただき、季節には少し速いですが、リンゴをモデルに、受粉から受精にかけて。小学校で受粉は教えるのですが、受精は「メダカ」のみ。動物は受精するけど、植物は受粉だけで完了と思うのではないかと、心配になるわけです。もちろん、植物も受精をしますが、簡単には見えないので。そんな動画があれば、小学生も「なるほど!!、植物すごい!!」となるのでは。そんなことを思いながら、講義を。
後半は自分の花粉で受精しない「自家不和合性」の話も。植物にはまだまだたくさんの不思議がありますので。植物を解剖して観察してみてください。
9/7(木):仙台市立遠見塚小学校・特別講義「花を解剖して、花の構造を理解しよう!」
国道4号線バイパス沿いに前方後円墳の「遠見塚古墳」があります。道路沿いから見ることはあるのですが、公園になっていて、上からも見ることができるはずなので、いつかはと思いつつ。そんな「遠見塚古墳」の隣にあるのが、遠見塚小学校。2010年に出前講義に伺っているので、13年ぶり2回目。今回は秋保小学校で行った「花の解剖」。体育館に机、顕微鏡、花を準備頂き、各自が用意した花も一緒に解剖。渡辺が子供の頃が学校の帰り道に花、稲穂等をばらばらにしたのですが、いまはそんなことがままならない状況。ということで、こんな講義枠を作ってみたわけです。
自宅からおおきな「ユリ」の花を用意してくれた方がいて、受粉をすると、めしべの先端に花粉が着くのを実際に観察。大きな花を見つけたら、受粉をしてみると、楽しいですからやってみてください。講義の中では一生懸命に解剖、スケッチなど。45min授業を連続して90min集中してできていたのが印象的でした。
9/11(月):福島市立三河台小学校・スーパーサイエンス講座「花の不思議な世界」
先週前半の豪雨で気温が一端下がったものの、週の後半で熱帯低気圧から変わった温帯低気圧の影響で週末から30oC越え。いつになったら秋らしくなるのか。植物を栽培する側としては問題が大きい今年の9月。考えると1/3は終わっていることに気がつき、かなり問題なわけですが。。。 そんな中、SSH運営指導員つながりで、福島県教育委員会から福島市立三河台小学校での「スーパーサイエンス講座」。体験講座を通じて、職業・産業への興味・関心を醸成、さらに将来に対する夢・希望を膨らませるという言葉があり、とてもよい企画だなということで伺うことに。福島市立三河台小学校では長きに亘り、理科教育に注力されたというのを山本校長先生から伺い、講義に。最初の数枚のスライドで話をしたところで、とても積極的で、活発な発言があり、それがまた、的を射る発言でいきなり感動でした。講義の内容はいつもの「花から結実、つまり、受粉から受精まで」のところですが、小学校ではこれはしゃべらないだろうということをたくさん議論したり、説明したり。講義の合間もホワイトボードに記したことをメモする児童も。本当に感動でした。
後半は自家不和合性の話へ。自家不和合性が必要とされている原因を考えるところは少し悩ましかったようですが、それでもしっかりクリア。最後はリンゴの果実の観察から果実、種子がどのような意味を持つものかを考えるところもしっかりできていました。終わりのところは、いつもちょっとずつ頑張ろうというスライド。今回の講義の種子にあっているのではと。質問のところもとてもよかったです。楽しい講座でした。次は福島高校のイベント「ふくしまサイエンスフェスティバル」でお目にかかるのを楽しみにしています。 PS. 9/11(月) 18:00。三河台小学校のHPに今日の記事を見つけました。ありがとうございました。
わたなべしるす
【来客・学会発表】韓国順天大・Park教授来仙、及び第2回アブラナ科ゲノム育種研究会(8/27,28)
2023年9月 4日 (月)
この記事を書いているのが、9/4(月)。ずいぶん久しぶりの降雨。8/12(土)以来とか。熱帯低気圧による降雨の関係か、かなり湿度が高く、気温も思ったほど下がらず。9月上旬も最高気温が30oCを超える状況は頭を抱えるわけで。
この夏一番の暑さだった、8/27(月)に研究室の客員教授でもある、韓国順天大・Park教授が来仙。前日に東京で開催された第2回アブラナ科ゲノム育種研究会での発表があり、仙台での打合せに。これまで、これからの共同研究をどのように展開するかについて。deepな議論ができました。考えて見ると、コロナ禍を受けて、3年以上対面での議論などができなかったので、ありがたい限りでした。大学院生2名には研究室の様子がどのように映ったのか。師匠のPark教授のように日本の研究室で学ぶのもよいことですから。 で、第2回アブラナ科ゲノム育種研究会では、渡辺も久しぶりの「今後のアブラナ科作物研究に向けて」と題した口頭発表。発表の中身についてはまた、どこかで。
わたなべしるす
【アウトリーチ活動】科学者の卵養成講座・特別講義、岩手県立盛岡第三高等学校・SRH課題研究中間発表会(7/29, 8/23追記)
2023年8月28日 (月)
諸事が重なり、この記事を書いているのは8/28(月)。台風10号の接近で風が吹くというよりも「フェーン現象」だろうか。12:51の仙台の気温が36.5oC。ほぼ体温に近い状態。朝から3回ほど、植物に散水するけど、その場しのぎ。根本的な原因は何なのか。それもそうだが、あちこちで夕立というか、1hrに10mm以上の雨が東北地方で降っているにもかかわらず、仙台が避けられている状態。。。これも何とかしてほしい。できれば、2日に1回、夕方には10mm程度の夕立があれば、もう少し凌ぎよいのだが。。。これでは秋の作付けもままならない。困ったものだ。そんな中、7月末から8月末のアウトリーチ活動のご紹介を。
7/29(土):科学者の卵養成講座・特別講義「進化論を唱えたダーウィンも注目した高等植物の自家不和合性」
科学者の卵養成講座も今年で15年目。続けて見ると、いろいろあるもので。講義内容も最初は植物の不思議を考えてもらうようにしていたのが、もう少し突っ込んで、自殖、他殖の意義、植物が動けないことによる工夫など、少しずつ講義も進化しているつもりなのだが。。講義については現地、リモートに限らず、楽しめたように感じている講義レポートであった。11月にはキャリア形成の講義を計画中。また、その折りに。
8/23(水):岩手県立盛岡第三高等学校・SRH課題研究中間発表会
8月下旬は久しぶりの盛岡三高のSRH発表会へ。コロナ禍、他事案との競合があり、なかなか現地に伺えず。ほぼ、2年ぶりの現地のような。。SSH実施校を1期で下りて、自己財源で同様のプログラムを継承。何より学校全体での取り組み。頭が下がります。
物理、化学、生物、地学、数学の5つの分野での発表。発表のコツではないですが、どうやってストーリー性のある発表にするのか、自然をしっかり観察することなどを講評して、最後は運営指導委員会。冬の発表を楽しみにしています。
わたなべしるす