9月最後の土曜日。というか、明日からは10月。秋らしさが植物にも明確に現れる時期になるのでは。。。そんな土曜日。渡辺の研究室は来年度の4月からの大学院生募集ということで「オープンラボ」。渡辺の研究室にもたまごの修了生のひよこさんががんばってくれていますが、新たに来年度の4月からも1名増えるかも。。うれしい限りです。結果などは、また、渡辺のHPから。。。
HPにも、渡辺が記事を書いたあとにも、いくつかの記事の中に、質問らしきものがありましたので、それについては、この記事の中の後半で。まず、前半は、受講生の聖ウルスラ学院英智高等学校・小松優香さんからのmailでの質問への回答をして、そのあとにHPで気になったことへの回答を。。。今回も、前回同様に、無理をお願いして、同じような疑問を持っている方がいると思って、HPに記してあります。皆さんの参考になれば、幸いです。
1. 私は元々農学に興味がありました。しかし、学校では生物基礎を習っていて選択で物理を選んでいます。大学で農学を学ぶ上で支障はないのでしょうか。
11月開催の第6回の講義の時間に、渡辺がキャリア教育の講義を行う予定です。そこでも話すつもりですが、渡辺は高校時代、1年生の時に、生物Iを履修していました。渡辺のHP、あるいは、たまごのHPのどこかにも書いたと思いますが、高校生物のうちで、遺伝子の本体がDNAであると言うこと、後は、生態学、進化学、分類学など以外の「コア」な部分は生物Iで履修します。2年生になって、物理I、化学Iを履修して、3年次に、物理と生物の選択があり、物理II、化学IIを履修して、農学部の受験には、物理、化学でした。当時の農学部でもこのパターンの学生は多く、生物I履修しないままでという状況でした。今の生物基礎よりは色々なことを学習していましたが、なにぶん、受験に使ってないので、記憶のどこかへ。。。渡辺自身は植物はもちろん好きですが、何より、遺伝学というどちらかと言えば、白黒はっきりしているようなもの。実際には、そんなにきれいに割り切れないところがあって、遺伝学で解析するとき、悩ましいことはたくさんあるのですが。。
また、今の生物学で覚える単語が多すぎて、それを減らす方向に舵を切ろうしています。ですので、物理、化学履修で農学部、問題ありません。渡辺はそんなことをしなかったですが、友達で生物履修の方がいれば、教科書、ノートなどを見せてもらって、何となく、こんなことを知っているのだとか、学ぶのだということを理解して、大学へ進学するのは、よいことかと思います。あくまで、渡辺が今、思っていることですが。。。
2. 野生種のトマトを改良して現在のトマトになりましたが、ミニトマトは野生種ではないのですか。普通のトマトからミニトマトがつくられたのですか。
現在、DIYなどの野菜の苗を売っているお店に行くと、「マイクロトマト」というとても小さな果実をつけるトマトの苗があります。それは、通常の栽培種のSolanum lycopersicum(Lycopersicum esculentum)とは、種が異なる、Solanum pimpinellifoliumというものです。トマトの仲間は、種が異なっても交雑することができ、雑種を作ることができます。Solanum pimpinellifoliumは、病害虫に対する抵抗性を持っているので、耐病性の育種材料に使われています。では、いまのミニトマトはどうやって作られるのか。実際の品種改良の現場は、秘伝中の秘伝なので、正確には分かりませんが、栽培化の過程で、今のミニトマト、あるいは、中玉くらいのものも選抜、育成されたのだと思います。色々な大きさのトマトが栽培化の過程でできて、さらにそれらを交雑することで、さらに、多様な大きさ、色のトマトができてきているのではないかと思います。
科学者に肝要なのは、「積極性」というのがありましたが、何をやっても積極性は大事なことだと思います。日々の生活全般でも。あと、レポートを書くこと、このHPに記事を書くことで、さらに、文章を書く力を養成して下さい。きっとできると思います。続ける事が大事です。自殖弱勢について、悩まれている方も。植物体の大きさを小さくするという遺伝子は、1つではなくて、多数あります。スライドでは、モデル的に1つの遺伝子で話をしただけで、実際には、自殖を重ねれば、たくさんの遺伝子座で劣性ホモになります。そうなることで、数世代をかけて、弱勢になるのだと考えられています。別々の染色体に独立にあるものが偶然、どちらも劣性ホモになる確率を計算するわけで、少し難しいでしょうか。考えて見て下さい。
わたなべしるす
投稿者:事務局