平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

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植物新種誕生原理植物新種誕生原理

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研究経過

雌性配偶体を用いた遺伝子発現誘導実験系を開発(西川班)

March 23, 2020 3:47 PM

Category:研究成果

main:西川班

西川班では、基礎生物学研究所の亀井保博特任准教授、岐阜聖徳学園大学の浦和博子准教授との共同研究で、シロイヌナズナの雌性配偶体特異的な遺伝子発現誘導実験系を開発しました。

 

この実験系は、熱ショックによるCre/loxP部位徳的組換えの誘導と、雌性配偶体特異的プロモーターを組み合わせたもので、雌性配偶体や花序の短時間の熱処理(35℃で5分間程度)によって、効率良く遺伝子発現の誘導を行うことができます。この実験系を用いて、雌性配偶体形成過程の極核融合に核内膜のSunタンパク質の機能が必要であることを明らかにしました。この実験系は、雌性配偶体における様々な遺伝子の機能解析に応用できると期待されます。

 

本研究成果は、Plant and Cell Physiology誌に掲載されました。

 

nishikawa.png

図:本研究で作成した遺伝子発現誘導実験系

pES2とH2B-GFPはそれぞれ、ES2プロモーター(雌性配偶体特異的遺伝子発現調節領域)とHistone H2B-GFP遺伝子を示す。作製したシロイヌナズナの雌性配偶体ではES2プロモーターによってHistone H2B-GFPが発現する。この植物の花芽を短時間熱処理すると、Cre-loxP部位特異的組換えによってHistone H2B-GFP遺伝子が除去され、標的遺伝子が発現するようになる。

(出展:新潟大学プレスリリースより)

 

<発表論文>

Hwang, D.*, Wada, S.*, Takahashi, A.*, Urawa, H., Kamei, Y., and Nishikawa, S. (2019) Development of a Heat-inducible Gene Expression System using Female Gametophytes of Arabidopsis thaliana. Plant Cell Physiol. 60: 2564-2572. doi: 10.1093/pcp/pcz148

(* these authors contributed equally)

https://academic.oup.com/pcp/article/60/11/2564/5540315

 

プレスリリース: https://www.niigata-u.ac.jp/news/2019/59352/

大学院修士1年の吉田綾さんが日本育種学会の優秀発表賞を受賞しました!

March 17, 2020 11:29 AM

Category:受賞関連, 研究成果

main:辻班

sub:辻班

辻班M1の吉田綾さんが、2019年度の日本育種学会 石原(志方)守一 奨学金を受賞されました!奨学金とついていますがその年度のBest of 優秀発表賞を表彰するものです。綾さんおめでとうございます!

【横浜市立大学ウェブサイト:木原生物学研究所 吉田 綾さん (生命ナノシステム科学研究科 博士前期課程1年)が、日本育種学会の石原(志方)守一奨学金を受賞!】

【日本育種学会】

DNAの逆位反復配列が自家不和合性を抑制する現象を解明

March 17, 2020 9:55 AM

Category:研究成果

main:高山班

メンデルの顕性(優性)の法則は、多くの生き物に見られる普遍的な遺伝原理です。一方、このような関係がどのようにして出来上がるのかについて、分子的なメカニズムはあまりわかっていません。東京大学大学院農学生命科学研究科の高山誠司教授らの研究グループは、植物の自家不和合性と呼ばれる現象の研究から、顕性形質が進化する新しい分子メカニズムを見出しました。アブラナ科植物では雌しべの細胞膜にあるSRKと呼ばれる受容体が、自己の花粉表面をコーティングするタンパク質SP11を認識することで自己花粉拒絶反応が起きます。グループではモデル植物であるシロイヌナズナがどのようにして自家和合性を獲得したのかについて研究を行いました。研究の結果、多くのシロイヌナズナは逆位反復配列SRKIRと呼ばれる特殊なDNA回文構造を持ち、その構造によって顕性的にSRKの遺伝子発現を抑えていることが明らかになりました。逆位反復配列は顕性が進化する上でこれまで知られていなかった分子実態であり、その発見はさまざまな遺伝現象の説明へとつながると期待されます。本研究成果はオンライン誌Nature Communicationsに掲載されます。

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東京大学のプレスリリース

【プレスリリース】「柿」の全ゲノム解読 ~ 植物における「性の進化」のヒント(赤木班)

March 2, 2020 1:09 PM

Category:研究成果

main:赤木班

岡山大学大学院環境生命科学研究科の赤木剛士准教授は、このたび、カリフォルニア大学デービス校、かずさDNA研究所、京都大学の共同研究者とともに柿の野生種の一つであるマメガキの全ゲノム配列を解読しました。

 

さらに、赤木准教授らの研究によって既に見つかっていたカキ属の性決定遺伝子「OGI」や「MeGI」が、カキ属の進化に特異な「全ゲノム倍化」から生まれたものであり、本来は性に関与していなかった遺伝子が新しく性決定遺伝子に変化する進化のメカニズムを明らかにしました。これは、本来は両性花を着花する植物が、どのように性別を手に入れたのかを紐解く手掛かりになるものです。また、本研究で解読された柿の全ゲノム情報によって、「甘柿と渋柿の違い」や「干し柿・生食柿の適性」といった、私たちにも身近な柿の性質にもゲノム情報からアプローチできるようになると期待されます。

 

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図:カキノキ科/カキ属特異的なゲノム・遺伝子倍化による性決定遺伝子の成立
本来は性決定に関与しない遺伝子が、Dd-αによる倍化によって分岐し、片方が適応進化として積極的にメス化の機能を有するMeGIになった。さらに、その後の遺伝子倍化によって分岐が起こり、片方がオス化機能を獲得してOGIとなった。(出展:岡山大学HPより)

 

本研究成果は、日本時間2月29日(土)午前7時、米国の科学雑誌「PLOS Genetics」に掲載されました。

 

詳しい研究内容についてはこちら>

岡山大学のHPへ

 

<論文情報>

Akagi T, Shirasawa K, Nagasaki H, Hirakawa H, Tao R, Comai L, et al. (2020) The persimmon genome reveals clues to the evolution of a lineage-specific sex determination system in plants. PLoS Genet 16(2): e1008566.

DOI:10.1371/journal.pgen.1008566

本領域の研究成果が「アグリバイオ」3月号に掲載されました(野々村班)

February 28, 2020 11:55 AM

Category:研究成果

main:野々村班

本領域の研究成果が、アグリビジネスに焦点を当てた雑誌「アグリバイオ」3月号に掲載されました。イネの減数分裂期の葯で特異的に発現するsmall RNAの生合成経路と減数分裂進行における機能に関する仮説について平易に解説しています。是非ご覧ください。
 
http://hokuryukan-ns.co.jp/cms/books/アグリバイオ%E3%80%802020年3月号/
 
野々村賢一
小分子RNAを介した植物の減数分裂制御機構の研究
アグリバイオ4 (3): 200-203 (2020)

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