平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

研究経過

<参加レポート>EMBO Workshop "Functional Live Imaging of Plants"@名古屋大学(戸田絵梨香、岡本班)

June 12, 2019 3:34 PM

main:岡本班

5月21日〜30日に名古屋大学のITbMで開催されましたEMBO Practical Course "Functional live imaging of plants"に参加しました(30日は岡崎カンファレンスセンターでの国際若手の会に参加しました)。実験系のEMBO Practical Courseとしては初の日本開催で、植物のライブイメージングに関わるトップサイエンティストの方々の講演や実習を受けることができる非常に貴重な機会でした。

 

講演や実習、ポスター発表を通じて、参加者間だけでなく、講演者やインストラクター、オーガナイザーの方々とも盛んな交流が行われ、新たなアイデアやつながりが生み出された会となりました。ぜひとも、今後の研究の発展につなげていきたいです。

 

岡本班

戸田絵梨香

首都大学東京

 

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【プレスリリース】植物は幹細胞の頑強な増殖を止めるために多段階スイッチを使っていた(伊藤班)

June 5, 2019 2:35 PM

Category:新聞発表・メディア報道, 研究成果

main:伊藤班

 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科の伊藤寿朗教授らのグループは、中国南京大学のSun Bo(ソン・ボ)博士らと米国ペンシルバニア大との共同研究により、つぼみの中心部にある花の幹細胞が一定の数まで増殖したあと、使ってきた栄養を貯蔵するために増殖を止めるという重要な働きについて、その詳細な仕組みを世界に先駆けて明らかにしました。

 
 花がおしべやめしべをつくり、次世代の種を残すためには、花の元となる幹細胞が十分に増殖した後に、それ以上の増殖を止めて、栄養を貯蔵する形に振り向ける必要があります。私たちはこれまでに幹細胞の増殖を助ける遺伝子の発現スイッチをオフにする複数の転写因子の解析をおこなってきました。
 転写因子のひとつである「KNUCKLESタンパク質」は、幹細胞の増殖因子の発現をオフにすることはわかっていましたが、「どのような順序や方法でクロマチンに働きかけ、その構造と遺伝子の発現を変化させていくのか?」について詳しい仕組みは謎でした。

 伊藤教授らの共同研究グループは、モデル植物のシロイヌナズナを使って実験を重ねた結果、最初の段階でKNUCKLES転写因子が、クロマチンの構造を開いた状態に維持するのに必要な因子(クロマチンリモデリング因子)の結合を阻害し、幹細胞の増殖因子の発現抑制に働くことを見いだしました。

 さらに、このKNUCKLES転写因子は、ポリコム因子複合体という遺伝子発現の抑制に関わる因子と直接結合して幹細胞増殖因子の遺伝子座に導入することで、クロマチン構造をコンパクトに閉じた状態にしていました。つまり、1つの転写因子が多段階スイッチとして働いていることがわかり、その順序や仕組みを突き止めることができました。

 

 ポリコム因子がKNUCKLESと同じDNA結合領域を持つ転写因子により導入されるという報告はこれまでに動物でもなされています。しかし、幹細胞の増殖抑制を多段階に行う仕組みはこれまで動物において報告されておらず、植物の非常に強い幹細胞の活性を押さえ込むために必要であると考えられます。本研究は、植物の進化や生き残り戦略を知る上でも重要です。

 

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図3. WUS遺伝子の多段階的発現抑制機構

WUS遺伝子のクロマチンはSYDクロマチンリモデリング因子により緩んだ構造が維持されている。一旦KNU転写因子が誘導されるとSYDを追い払い、WUS遺伝子の転写抑制が始まる。次にKNUタンパク質がポリコム因子(PcG)を導入することによって抑制的なヒストン修飾(H3K27me3)が付加されることにより、発現の抑制状態が維持される。

 

本研究の成果は2019年5月13日に米国の学会誌「The Plant Cell」に掲載されました。

 

<発表論文>

Sun, B. , Zhoua, Y., Caia, J., Shanga, E., Yamaguchi, N., Xiao, J., Looi, L-S., Wee,W-Y., Gao, X., Wagner D., and Ito, T. (2019) Integration of transcriptional repression and Polycomb-mediated silencing of WUSCHEL in floral meristems. Plant Cell, doi.org/10.1105/tpc.18.00450

 

<プレスリリースの詳細はこちら> 

奈良先端科学技術大学院大学のHPへ

 

<追記>

6/9付の日本経済新聞にも掲載されました!

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO4582405007062019MY1000/

<参加レポート2>International Meeting for Young Researchers "Frontiers in Imaging Probes and Technologies"@岡崎(海老根班)

June 5, 2019 2:04 PM

main:海老根班

5月30日に愛知県の岡崎カンファレンスセンターで開催されました国際若手の会"Frontiers in Imaging Probes and Technologies"に参加しました.本会議は新学術領域「レゾナンスバイオ」,EMBO Practical Course "Functional live imaging of plants",新学術領域「植物新種誕生の原理」の共催で行われています.

 

ポスター発表やワークショップなどの取り組みによって参加者間の盛んな交流が行われ,開催地の伝統的な食べ物である「八丁味噌」のように,新たなアイデアの醸成がなされた実りある会でした.また,ポスター賞が各グループから1名ずつ選ばれ,「植物新種誕生の原理」からは名古屋大の中島さんが選ばれました.

我々も,自身とバックグラウンドが異なる参加者と交流ができ,今後の研究の励みになりました.

 

海老根班
文責:南野 尚紀、撮影:海老根 一生
基礎生物学研究所

 

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<参加レポート>International Meeting for Young Researchers "Frontiers in Imaging Probes and Technologies"@岡崎(池田班、高崎)

June 3, 2019 4:38 PM

main:池田班

2019年529日~30日にかけて岡崎にて開催された「International Meeting for Young Researchers "Frontiers in Imaging Probes and Technologies"」に参加してきました。

 

29日に行われた基礎生物学研究所、生理学研究所、分子科学研究所の見学ツアーでは、それぞれ亀井先生、村田先生、林先生に共同利用施設の丁寧な説明を頂きました。
30日に行われたミーティングでは、招待講演、ラウンドテーブルディスカッション、ポスターセッションのすべてにおいて活発な議論が交わされました。

両日の参加を通して、将来の新しい共同研究の芽になる期待を感じました。

 

池田班 高崎寛則

埼玉大学大学院理工学研究科

 

会場の様子は以下をご覧ください。

 

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2019年日本育種学会(第135回講演会)で優秀発表賞を受賞しました(吉田綾さん、辻グループ)

May 28, 2019 2:00 PM

Category:受賞関連

main:辻班

吉田綾さん(生命ナノシステム科学研究科1年)が2019年日本育種学会(第135回講演会)で優秀発表賞を受賞しました。

おめでとうございます!
 

<受賞課題>

第何葉のフロリゲンが花成を起こすのか?
☆吉田 綾, 吉田 明希子, 辻 寛之(横浜市立大学 木原生物学研究所)

 

日本育種学会ウェブサイトはこちら

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