平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

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植物新種誕生原理植物新種誕生原理

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研究経過

陸上植物における配偶子形成とその進化に関する総説を発表(山岡班)

July 20, 2019 8:34 AM

Category:研究成果

main:山岡班


山岡班は、辻班の肥後あすか博士、グレゴール・メンデル研究所の久永哲也博士とFrederic Berger シニア・グループリーダー、ケンタッキー大学の河島友和助教、奈良先端科学技術大学院大学の中島敬二教授とともに、「陸上植物における配偶子形成とその進化」に関する総説をNature Plants誌に発表しました。

最近の研究成果を中心に、陸上植物における鍵因子の保存性と配偶子形成過程の進化について考察するとともに、ゼニゴケが配偶子形成の研究における優れたモデル植物であることを論じたものです。



<発表論文>

Hisanaga, T.*, Yamaoka, S.*, Kawashima, T.*, Higo, A., Nakajima, K., Araki, T., Kohchi, T., and Berger, F.
Building new insights in plant gametogenesis from an evolutionary perspective.
Nature Plants 5, 663-669 (2019)
(* these authors contributed equally)
https://www.nature.com/articles/s41477-019-0466-0

第19回日本蛋白質科学会年会・第71回日本細胞生物学会合同年次大会で本領域共催のシンポジウムを開催しました(西川班・井川班)

July 5, 2019 10:40 AM

Category:学会での企画

main:井川班, 西川班

 2019年6月26日に、神戸で行われた第19回日本蛋白質科学会年会・第71回日本細胞生物学会合同年次大会で、西川周一(公募班、新潟大学)・井川智子(公募班、千葉大学)両班員がオーガナイズする本領域共催のシンポジウムを開催しました。シンポジウムのタイトルはProteins Controlling Membranes: Morphogenesis, Interaction and Fusion(膜を操るタンパク質:形態形成・相互作用・融合)であり、細胞内外での膜の形態形成や相互作用、融合ではたらくタンパク質に焦点をあてたシンポジウムとなりました。

 

 シンポジウムは、井川班員によるイントロダクションの後、6名の演者による発表が行われました。まず、奈良先端科学技術大学院大学の末次志郎博士によるBARドメインタンパク質に関する講演、東京工業大学の中戸川仁博士によるAtg40というER phagyにおける膜動態にあずかるタンパク質の講演がありました。続く2演題は、本領域からの発表でした。まず西川班員が植物有性生殖過程の核膜融合機構について発表し、その後井川班員が重複受精過程の配偶子認識で機能するタンパク質についての発表を行いました。

 

 最後の2演題は、海外からの招待講演者によるものでした。まず、Benjamin Podbilewicz博士(Technion)が細胞融合タンパク質ファミリーFUSEXINに関する講演を行いました。このタンパク質ファミリーには、シロイヌナズナの配偶子融合ではたらくHAP2/GCS1や、線虫の体細胞融合ではたらくEFF-1が含まれます。Podbilewicz博士の講演は進化的な側面まで含む話であり、とても面白いものでした。最後は、Gavin J. Wright博士(Wellcome Sanger Institute)の講演でした。Wright博士はマウスIzumo1の受容体であるJUNOの発見で有名です。タンパク質科学的アプローチによるJUNOの同定から最新の話題までとてもエキサイティングな発表でした。

 

 本シンポジウムは、懇親会翌日の朝8時45分からであったにも関わらず、植物以外の分野の研究者も多く参加し、アクティブな質疑応答もあり、とてもよいシンポジウムになりました。海外からの演者の招待には本領域のサポートをいただきました。改めてお礼申し上げます。

 

sympo1.jpg

シンポジウム終了後に撮影した集合写真。

左からPodbilewicz博士、中戸川博士、末次博士、東山領域代表、Wright博士、西川班員、井川班員

【プレスリリース】同種と異種の花粉を区別する分子を発見(高山班、瀬々班、土松班)

July 2, 2019 1:15 PM

Category:研究成果

main:土松班, 瀬々班, 高山班

 生物は多様化することで、地球環境の変化に適応してきました。同時に、多様化は種の誕生をもたらしてきましたが、生物が自他の種を積極的に識別する分子メカニズムの存在は未知でした。

 

 東京大学大学院農学生命科学研究科の藤井壮太助教(兼任JSTさきがけ研究者)と高山誠司教授らの研究グループは、横浜市立大学木原生物学研究所の清水健太郎客員教授(瀬々班)、千葉大学大学院理学研究院の土松 隆志准教授(土松班)ならびに奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科らとの共同研究により、モデル植物のシロイヌナズナから異種の花粉を積極的に排除する雌しべ因子をコードする遺伝子Stigmatic Privacy 1 SPRI1)を発見し、その機能を解析しました。その結果、SPRI1遺伝子を欠損した変異株では、通常排除されるはずの異種の花粉が侵入するようになりました。SPRI1タンパク質は雌しべの先端で花粉を受け取る部分である柱頭の細胞膜に局在して異種と自種の花粉を識別し、異種のみを排除するメカニズムに関わることを明らかにしました。SPRI1遺伝子を欠損した株では異種の花粉の侵入により正常な受精が阻害されることから、SPRI1タンパク質は異種の花粉が混在する野外環境下での種間のせめぎあいにおいて重要な役割を果たすと考えられます。種の壁を司るSPRI1タンパク質を人為的に制御することで種間交雑が容易になり、より広範な地球環境に適応する作物の開発が可能になると期待されます。

 

本研究成果は植物生物学分野で最も権威が高い学術雑誌の一つであるNature Plants誌に掲載されました。

 

図1.png

図1 a) 植物では一般的に異種の花粉が排除され、同種の花粉のみが受け入れられる。b) 本研究で用いたM. littoreaA. thalianaの花器官の外観。スケールバー:2 mm。c) 雌しべ中の花粉管を細胞壁染色試薬アニリンブルーで染色し共焦点レーザー顕微鏡で観察した。野生型(Col-0)の雌しべではM. littoreaの花粉管の侵入が見られない。一方spri1の変異体では多数の花粉管侵入が観察された。スケールバー:200 µm。d) SPRI1遺伝子の発現部位の観察。SPRI1プロモーターに蛍光タンパク質(Venus)遺伝子を連結しシロイヌナズナに導入したところ、花粉を受け取る部分である雌しべ先端の柱頭でのみ蛍光が観察された。スケールバー:200 µm

 

 

<発表論文>

Identification of a stigmatic gene functions in inter-species incompatibility in the Brassicaceae

Sota Fujii*, Takashi Tsuchimatsu, Yuka Kimura, Shota Ishida, Surachat Tangpranomkorn, Hiroko Shimosato-Asano, Megumi Iwano, Shoko Furukawa, Wakana Itoyama, Yuko Wada, Kentaro K. Shimizu, Seiji Takayama*

https://doi.org/10.1038/s41477-019-0444-6

 

<詳細はこちら>

JSTプレスリリース

ドイツ、ハンブルク大学にて国際共同研究を開始しました(野々村班)

July 2, 2019 11:08 AM

main:野々村班

野々村班の博士研究員、小野聖二郎は、2019年6月1日から、ドイツのハンブルク大学、 Arp Schnittger教授の研究室に留学しました。

現地では、植物の減数分裂組み換え制御に関する共同研究を推進します。

 

渡航にあたり、本領域の国際支援班よりサポートをいただきました。厚くお礼申し上げます。

また今後、私共の研究が関連領域の科学的発展に、より一層貢献できるよう精進してまいります。

 

小野聖二郎

(前所属)国立遺伝学研究所 植物細胞遺伝研究室(野々村研究室)

(現所属)Prof. Dr. Arp Schnittger's group, Department of Developmental Biology, University of Hamburg

 

<写真>

1: 研究所に併設の植物園(Loki Schmidt Botanischer Garten)。25ヘクタールの広大な土地で10000種以上の植物が維持されると共に、市民に開放され憩いの場にもなっている。

photo1.png

 

2: Arp Schnittger教授(中央奥)およびラボメンバーと。

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修士1年の吉田綾さんが、3月に千葉大学で開催された日本育種学会第135回講演会で優秀発表賞を受賞されました

July 1, 2019 11:40 AM

Category:受賞関連, 研究成果

main:辻班

sub:辻班

修士1年の吉田綾さんが、3月に千葉大学で開催された日本育種学会第135回講演会で優秀発表賞を受賞されました。綾さんおめでとうございます!

綾さんのがんばった研究がとてもよく評価され、良かったと思います。【横浜市立大学ウェブサイトのインタビューのリンク】

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