平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

研究経過

清水教授が日経ビジネスの特集で「世界を動かす日本人 50」にピックアップされました!

February 25, 2019 11:09 AM

Category:新聞発表・メディア報道

main:瀬々班

計画研究瀬々班の分担研究者である清水健太郎教授(チューリヒ大学 / 横浜市立大学木原生物学研究所 客員教授)が、日経ビジネス(2019年2月4日号)の特集で、「世界を動かす日本人 50」の一人としてピックアップされました。

他には孫正義氏(ソフトバンク)、大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)等、世界を股にかけて活躍するそうそうたる面々が並ぶ非常に面白い記事になっています。

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00011/

 

通常は有料会員のみ閲覧可能ですが、今なら3月末まで、無料で電子版を購読できるようですので、ぜひご覧になってみてください。

https://info.nikkei.com/nb/campaign/1901_01/index.html?n_cid=nbpnb_goad_1901_001a

新開発ソフトウェアEAGLE-RCとHomeoRoqが、異質倍数体のRNA-seqにおいて既存の2倍体用のソフトウェアよりも高精度であることを示しました(瀬々グループ、清水グループ)

February 25, 2019 10:53 AM

Category:研究成果

main:瀬々班

我々のグループでは、異質倍数体種でRNA-seqやリシークエンシングを高精度で行うために、バイオインフォーマティックな手法の開発を行ってきています。

 

これまでの多くの論文では、2倍体用に開発されたSTAR, KallistoなどのRNA-seq手法をそのまま異質倍数体種に当てはめてられていました。そこで、これらの手法の精度をシロイヌナズナ属異質4倍体ミヤマハタザオと、6倍体パンコムギのRNA-seqデータを用いて定量しました。その結果、Kallistoなど2倍体用の手法は計算速度が短いものの、10%もの頻度で誤ったサブゲノム(親ゲノム)にマッピングしてしまうことが分かりました。

 

一方、我々が開発してきたHomeoRoq、EAGLE-RCなどのサブゲノムに分類する手法では、マッピングの誤りは1%程度と高精度であることが示せました。マッピングの精度の違いは、ホメオログ(相同遺伝子)の発現比率や、発現変化など、下流の生物学的な解析の精度に直接影響を及ぼします。これらの結果は、異質倍数体ではたとえ高精度ゲノムアセンブリが存在していても、RNA-seqなどの解析では2倍体と同様には扱えず、サブゲノムに分類する手法が必須であることを示しています。

 

<発表論文>

Tony C Y Kuo, Masaomi Hatakeyama, Toshiaki Tameshige, Kentaro K Shimizu, Jun Sese; Homeolog expression quantification methods for allopolyploids, Briefings in Bioinformatics, , bby121, https://doi.org/10.1093/bib/bby121

核細胞質置換系統から細胞質提供親を再構成する実験によって、細胞質ゲノムの遺伝的自律性が確認されました

February 20, 2019 1:16 PM

Category:研究成果

main:宅見班

コムギ遺伝学で数々の業績を上げられてきた常脇恒一郎先生(88歳・京都大学名誉教授・日本学士院会員)の集大成となる研究成果が、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に報告されました。本論文に宅見が関わりましたので、その内容を簡単にお伝えしたいと思います。

 

細胞質のミトコンドリアや葉緑体に存在する遺伝情報であるプラズモン(plasmon)は、核ゲノムと絶えず相互作用していますが、一方で遺伝的な自律性を保っていると考えられています。この自律性(autonomy)を実験的に確認するために、常脇先生はコムギ核細胞質置換系統を用いました。本論文で扱った核細胞質置換系統は木原均先生がコムギ2倍体近縁種Aegilops caudataにパンコムギを連続戻し交配を行うことで、核をパンコムギに、細胞質をAe. caudataにした系統です。木原先生による最初の交雑は1949年に行われました。その後1967年から2016年まで常脇先生が戻し交配を続けられ、この63世代の間に少しずつ雌性稔性も向上していましたが、Ae. caudata細胞質はパンコムギ核に対して常に雄性不稔でした。

 

常脇先生は、この細胞質置換系統に4倍性近縁種Aegilops cylindricaを橋渡し役として、Ae. caudata細胞質はそのままで核をAe. cylindricaにした核細胞質置換雑種を作出、その後にさらに核を木原先生が最初の交雑に用いたAe. caudataに戻すことをなされました。つまり、隔離されていた細胞質ゲノムと核ゲノムが半世紀の時を経てもう一度出会ったことになります。この交配に15年ほどかかっておられます。できたAe. caudataは元の系統と全く同じ形質、細胞質ゲノムDNAを示しました。この間の詳細なデータも本論文に示してあります。

 

コムギ・エギロプス属は、様々な倍数種が知られていますが、その全ての細胞質提供親がわかっています。核ゲノムは倍数種となってから祖先種から改変されることも多いのですが、細胞質ゲノムはほとんど変わっていません。本研究によって、この細胞質ゲノムの遺伝的自律性が実験的にも示されたことになりますが、実際にどのようにこのautonomyが担保されているのかは、まだわかっていません。常脇先生はDiscussionの最後で、プラズモンの自律性には"germ cell"を想定しないといけないのではないかと考えを巡らせておられます。

 

発表論文:K. Tsunewaki, N. Mori and S. Takumi (2019) Experimental evolutionary studies on the genetic autonomy of the cytoplasmic genome "plasmon" in the Triticum(wheat)-Aegilops complex.

(リンク先:https://www.pnas.org/content/116/8/3082

RNA-seq解析によるパンコムギBゲノム染色体の起源(宅見班)

February 2, 2019 10:50 AM

Category:研究成果

main:宅見班

宅見班では、パンコムギが持つ3種類のゲノムのうち、議論が続いていたBゲノムの染色体の起源について、RNA-seqデータから得たゲノム網羅的多型情報に基づいた研究成果をDNA Researchに報告しました。

高等植物では近縁種間でのゲノムの違いは、雑種での減数分裂時に二価染色体がどの程度形成されるのかに基づいて判断されます。パンコムギ(AABBDD genome)とマカロニコムギ(AABB genome)のBゲノムと同じゲノム記号を持つ2倍体種は存在しません。倍数種にBゲノムを提供したのはSゲノムを持つSitopsis節の5種のどれか、あるいはSitopsisの複数種が関わった、など、様々な議論がなされてきました。

異質倍数性進化に伴って、核ゲノムの遺伝子間領域には様々な反復配列が蓄積して複雑な構造となっているため、今回、エキソン配列のみに注目してBゲノムの起源について解析を試みました。そして、Sitopsis節5種の幼苗葉のRNA-seq解析を行い、パンコムギやマカロニコムギのBゲノムとの間で一塩基多型等のゲノム網羅的な多型情報を得ました。

その結果、Bゲノム染色体の全領域について、クサビコムギ(Aegilopsspeltoides)が起源となっていることを明らかにしました。染色体末端の3領域では例外的な系統関係を示したのですが、コムギの染色体末端では組換え頻度が高くなることがゲノム分化の速度の差となって現れていると考えられました。今後は近縁ゲノム間で異なる蓄積を示す反復配列がどのように二価染色体の形成に影響を及ぼしているのかが、種分化の観点からも明らかにすべきことになると考えられます。

発表論文:Y. Miki, K. Yoshida, N. Mizuno, S. Nasuda, K. Sato and S. Takumi (2019) Origin of whet B-genome chromosomes inferred from RNA sequencing analysis of leaf transcripts from section Sitopsis species of Aegilops.

(リンク先:https://academic.oup.com/dnaresearch/advance-article/doi/10.1093/dnares/dsy047/5304673?searchresult=1

西村班の論文が『Communications Biology』創刊一周年記念Editor's picksとして選ばれました!

February 1, 2019 12:03 PM

Category:研究成果

main:西村班

Nature Researchが提供するオープンアクセス・ジャーナル『Communications Biology』の創刊一周年で発表されたEditor's picksに、海老根班に続き西村班の論文も選ばれました!

ぜひご覧ください!!

 

Communications Biology first year anniversary collection

https://www.nature.com/collections/ejjbjdddff/content/editors'-picks

 

<発表論文>

Kamimura Y, Tanaka H, Kobayashi Y, Shikanai T, Nishimura Y. Chloroplast
nucleoids as a transformable network revealed by live imaging with a microfluidic
device. Commun Biol. 2018 May 17;1:47. doi: 10.1038/s42003-018-0055-1.

研究経過Top ≪ Prev 11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21