平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

研究経過

【国際シンポジウム 招待講演】International Symposium on Rice Functional Genomics

September 6, 2018 11:48 AM

Category:招待講演

main:辻班

sub:辻班

9月5日-7日に東京農業大学で開催される国際シンポジウム "International Symposium on Rice Functional Genomics"では、6日のプレナリーセッションで辻がお話しします。

マカロニコムギとAegilops umbellulataの合成6倍体コムギの穀粒硬度(宅見班)

September 3, 2018 4:03 PM

Category:研究成果

main:宅見班

宅見班では、マカロニコムギ(AABB genome)と近縁2倍体Aegilops umbellulata (UU genome)の雑種から得た異質合成6倍体の穀粒形質についての研究成果をJournal of Cereal Scienceの9月号に報告しました。

ほとんどの2倍体コムギの種子は軟質で、胚乳のマトリックスタンパク質からデンプン粒がポロポロとこぼれます。これは機能的な2種類のpuroindolineタンパク質を胚乳で発現していることによります。一方、マカロニコムギではA, B両ゲノム上のpuroindolineが機能しておらず、そのために胚乳のマトリックスにデンプン粒がしっかりと抱え込まれた硬質の種子をつけます。一般に薄力粉用のパンコムギ品種は軟質コムギで、強力粉用のパンコムギ品種は硬質コムギになっていますが、パンコムギ(AABBDD genome)成立後にタルホコムギに由来するDゲノム上のpuroindoline遺伝子のいずれかに変異が生じて硬質コムギ品種ができたと考えられています。Aegilops umbellulataは、コムギ野生種の中では珍しく、調べたどの系統でもpuroindoline遺伝子の少なくともどちらか一方が発現しておらず、配列にも非同義置換が蓄積していました。そのため硬質の種子をつけており、この性質は新規に作出したマカロニコムギとの異質合成6倍体へと伝達しました。タルホコムギが軟質コムギの穀粒硬度に変異をもたらす遺伝資源とされているのに対し、Aegilops umbellulataは硬質コムギの穀粒硬度に多様性を与えてくれるのではないかと期待されます。

発表論文:M. Okada, T.M. Ikeda, K. Yoshida and S. Takumi (2018) Effect of the U genome on grain hardness in nascent synthetic hexaploids derived from interspecific hybrids between durum wheat andAegilops umbellulata. Journal of Cereal Science 83: 153-161.

(リンク先:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0733521018302303

ライフサイエンス領域融合レビュー

August 30, 2018 2:19 PM

Category:研究成果

main:高山班

ライフサイエンス領域融合レビューに和文総説「被子植物における自他の花粉の識別システムおよびその進化の動態」を執筆しました.

植物はどうして自分以外の花粉を求めるのか?そのしくみは集団の中でどのようにして保たれ、進化の過程でどのようにリニューアルされるのか?さらに他種の花粉を排除するメカニズムと自己/非自己の識別のかかわりについて最新の研究を紹介しました.

学部生、院生や専門外の方への導入になるように、植物の進化、生殖そして分子生物学について基礎的な部分からの解説を心がけました.

180830_ライフサイエンス領域融合レビュー.jpg

[アウトリーチ活動]高校生物教員の研修会を行いました(西川班、丸山班)

August 21, 2018 2:37 PM

Category:アウトリーチ活動

main:丸山班, 西川班

sub:丸山班

2018年8月18日に、新潟大学理学部において開催された教材生物研究会第27回研修会において、西川(公募班)と須崎大地氏(横浜市立大学、丸山班)がトレニアを用いた植物生殖に関する実験の研修を行いました。

この研修会には、新潟県内の高校生物教員19名と栃木県高校生物教員1名(西川研卒業生)が参加しました。

 

実験の研修は午前と午後の2部構成で行いました。午前の部ではトレニアの花の解剖方法を説明後、雌性配偶体の観察と花粉管伸長実験を、午後の部では東山領域代表が構築したトレニアの花粉管ガイダンス実験の体験実習を行いました。

1.jpg

【プレスリリース】ジベレリン受容体の進化の全貌を解明ー酵素を起源とする誕生から双子葉植物における多様化までー(上口班)

July 31, 2018 4:00 AM

Category:研究成果

main:上口班

名古屋大学生物機能開発利用研究センターの上口(田中)美弥子准教授らの共同研究グループは、植物の成長ホルモンであるジベレリン受容体GID1の誕生から多様化までの進化の全貌を明らかにしました。

植物の成長ホルモンであるジベレリンの受容体GID1が、様々な植物(コケ、シダ、裸子、単子葉、双子葉植物)の中でどのように変化していったかについて調べました。植物の進化過程で、GID1は原始シダ植物が出現する際に誕生し、誕生以降もジベレリンとの結合する能力を獲得し続けました。そのことが、不活化ジベレリンと新しい親水性のジベレリンの誕生のきっかけとなったことをin planta、in vitroの実験を通して明らかにしました。また、裸子や単子葉植物は、概ね1個のGID1受容体なのに対して、双子葉植物はA、B型の2種類に大別される複数のGID1を利用していました。A型は、主に地上部で、B型は地下部で働くとともに、B型の一部はジベレリンに感受性がより高いことを見出しました。そのため、感受性の高いB型GID1を持つ双子葉植物において、冬などの悪環境では、低濃度のジベレリンを合成して地上部の成長を抑制しつつ地下では根の成長を続けるといった環境適応性を身につけたと考えられました。

名古屋大学プレスリリース

<発表論文>

Evolution and diversification of the plant gibberellin receptor GID1.

Yoshida H, Tanimoto E, Hirai T, Miyanoiri Y, Mitani R, Kawamura M, Takeda M, Takehara S, Hirano K, Kainosho M, Akagi T, Matsuoka M, Ueguchi-Tanaka M.

Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Aug 1. doi: 10.1073/pnas.1806040115.

研究経過Top ≪ Prev 15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25