研究経過
WebデータベースTOMATOMICS: 更新のお知らせ
May 23, 2018 12:16 PM
Category:研究成果
main:矢野班
データベースTOMATOMICSは、トマトの各種オミックス情報を統合し提供しております。今回、提供データと検索・表示機能を更新し、マイクロトムcDNAクローン情報のアクセスが容易となりました。機能アノテーションやクローンIDを用いた検索や、検索結果表示からのクローン注文フォームまでの作業を円滑にサポートします。(検索結果が出るまで10秒ほどお待ちいただくことがあります。)ここで、多数のクローン検索などには、アノテーション情報の一括ダウンロード機能も有用です。アノテーション情報には、学術文献に対する自然言語処理とマニュアル・キュレーションより整備した遺伝子機能の知識情報も含まれ、遺伝子の詳細情報ページから情報元となる論文へのリンクも利用できます。この知識情報は、当研究室が運営するWebデータベース'PODC'でも提供しており、PODCでは横断的な種間比較解析を可能とします。これらの知識情報は毎月更新をしています。
[引用文献] 論文などでは以下を引用ください。
TOMATOMICS:Plant Cell Physiol. 2017 Jan;58(1):e8.
PODC:Plant Cell Physiol. 2015 Jan;56(1):e9.
[問い合わせ窓口] データベース利用において、お気づきの点やリクエストがございましたら、kyano-bioinfo-db@ml.meiji.ac.jpまでお知らせください。
WebデータベースPODCをメジャー・アップデートしました
May 23, 2018 12:13 PM
Category:研究成果
main:矢野班
データベースPODCは、有用植物種の横断的比較解析と遺伝子機能・発現機構の理解を容易とするために、以下の情報・機能・特徴を持ちます。
・11種のモデル植物・農作物種のオミックス情報(2018/04/04現在)
・網羅的な種間オーソログ(パラログを含む)情報
・個々の植物種の遺伝子発現ネットワーク(GEN)のオーソログ情報による結合・種横断的比較解析機能
・NCBI SRAに登録されているRNA-Seqデータの実験条件に基づく網羅的な分類情報(マニュアル・キュレーション)
・マニュアル・キュレーションによる遺伝子名(Gene Symbol)と遺伝子IDの統合化(紐付け)
・自然言語処理とマニュアル・キュレーションを通して整備した網羅的な遺伝子機能の知識情報(学術文献情報を含む)
今回、新たに、以下の情報を統合し提供しました。
1.マニュアルキュレーションにより集積した約3万件の転写因子・シス因子情報
2.自然言語処理のみによる遺伝子機能情報(マニュアル・キュレーションを通していないドラフト情報)
以下、これらの簡単なご紹介です。
1. 転写因子・シス因子情報(Transcription factor and cis-element)
これまでに集積した転写因子・シス因子情報をPODCに統合しました。タンパク質と遺伝子の結合関係、または結合部位に存在するシス因子配列などの情報を、情報の根拠(実験手法)、引用元(学術論文)の情報と共に提供しています。2018年3月現在、154報の論文から収集した約3万件のレコードを公開しています。
2. 自然言語処理による遺伝子機能情報(Unreviewed automatic NLP curation)
PODCが提供している遺伝子機能の知識情報(高信頼度な遺伝子機能情報)は、自然言語処理(テキストマイニング)からドラフト情報を得た後に、ドラフト情報に対するマニュアルキュレーションを通して構築しています。テキストマイニングは、短時間で多数の情報が得られる一方で、情報に誤りも多く含まれます。また、マニュアルキュレーションは、信頼度の高い情報が得られる一方で、情報の集積に長い時間と労力を要します。これまで、PODCの運営では、マニュアルキュレーションが終了した情報のみを提供してきましたが、信頼度の低い膨大なドラフト情報も遺伝子探索に資することから、公開することといたしました。PODCでは、マニュアルキュレーションより得た知識情報(Knowledge-based functional description)と明確に区別するために、新たに加えたドラフト情報を"Unreviewed automatic NLP curation"として区分・提供しています。知識情報、ドラフト情報ともに毎月更新しており、閲覧だけでなく、ダウンロードも可能です。
[URL] Webデータベース'Plant Omics Data Center (PODC)' http://plantomics.mind.meiji.ac.jp/podc/index.html
[引用文献] 論文などでは以下を引用ください
Plant Cell Physiol. 2015 56(1):e9
[問い合わせ窓口] データベース利用において、お気づきの点やリクエスト(追加希望の植物種、遺伝子ファミリーなど)がございましたら、kyano-bioinfo-db@ml.meiji.ac.jpまでお知らせください。
辻班 研究成果が高等学校の生物教科書に掲載
May 12, 2018 11:49 AM
Category:アウトリーチ活動, 新聞発表・メディア報道, 研究成果
main:辻班
sub:辻班
文部科学省検定済教科書の高等学校 生物にて、私たちのフロリゲンの研究成果が掲載されました。卒業生の松本彩奈さんの修士論文のデータ、フロリゲンの分布を示した共焦点レーザー顕微鏡写真つきでフロリゲンの働きが説明されています (Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2015)112; 3140-3145. )。
【プレスリリース】植物の遺伝子発現スイッチの初発イベントを解明(木下班)
May 4, 2018 1:53 PM
Category:研究成果
main:木下班
横浜市立大学木原生物学研究所 木下 哲教授らの研究グループは、カリフォルニア大学(米国)、ソウル国立大学(韓国)、ジョンイネスセンター(英国)との共同研究により、遺伝子発現をオンにするための分子機構の一つであるDNA脱メチル化に、FACTヒストンシャペロンによるクロマチンリモデリングと呼ばれる過程が必要であることを明らかにしました。
多くの生物では、DNAメチル化は遺伝子発現をオフにするエピジェネティックな印として働いています。こうした遺伝子の発現のスイッチを入れるには、DNAメチル化を外す必要があります。モデル植物のシロイヌナズナでは、この過程において、DNA脱メチル化酵素とFACTヒストンシャペロンが必要であることが明らかとなっていましたが(Ikeda Y. et al., 2011 Dev. Cell)、その作用機序は不明でした。今回、エピゲノミクス解析により両者の作用機序を明らかにしました。
◆プレスリリース詳細はこちら
<発表論文>
FACT complex is required for DNA demethylation at heterochromatin during reproduction in Arabidopsis
Jennifer M. Frost, M. Yvonne Kim, Guen Tae Park, Ping-Hung Hsieh, Miyuki Nakamura, Samuel J. H. Lin, Hyunjin Yoo, Jaemyung Choi, Yoko Ikeda, Tetsu Kinoshita, Yeonhee Choi, Daniel Zilberman and Robert L. Fischer
PNAS April 30, 2018. 201713333; https://doi.org/10.1073/pnas.1713333115
※本研究は、米国科学雑誌『Proceedings of the National Academy of Sciences』に掲載されました。(米国4月30日付オンライン)
キウイフルーツの性別決定遺伝子を発見 -植物が「性別」を獲得した進化過程の解明へ-(木下班:赤木グループ)
April 20, 2018 6:44 PM
Category:研究成果
main:木下班
木下班の赤木剛士 助教(京都大学)のグループでは、キウイフルーツなどマタタビ属に分類される植物群の性別決定遺伝子を特定し、植物の性別獲得におけるゲノム進化の特異性を明らかにしました。
本研究成果は、2018年4月6日付け(米国時間)の科学雑誌「The Plant Cell」に発表されました。
◆詳しくはこちらをご覧ください:
<発表論文>
Takashi Akagi, Isabelle Marie Henry, Haruka Ohtani, Takuya Morimoto, Kenji Beppu, Ikuo Kataoka, Ryutaro Tao (2018). A Y-encoded suppressor of feminization arose via lineage-specific duplication of a cytokinin response regulator in kiwifruit. The Plant Cell.