研究経過
木下教授の解説記事がNature Plants誌に掲載されました(木下班)
June 4, 2018 10:06 AM
Category:研究成果
main:木下班
「植物の種の障壁と父性インプリント遺伝子の関係 」について "News and Views" に掲載
本紹介記事では、胚乳における生殖隔離(種の障壁)への父性インプリント遺伝子、トランスポゾンやDNAメチル化の関与に関して、タネツケバナ属の3種の種間交雑とゲノムワイド解析を用いて得られた研究成果や、研究の歴史的な経緯、これからの展望を解説しています。
【プレスリリース】器官分化の境目で作用する新たな仕組みを解明(伊藤班)
May 28, 2018 2:56 PM
Category:研究成果
main:伊藤班
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科バイオサイエンス領域 花発生分子遺伝学研究室の伊藤寿朗教授らは、植物の花が形作られるときに、雄しべにも雌しべにも分化し得る境界領域ではたらく「境界遺伝子」が、植物ホルモンのオーキシンを制御することで、雄しべの数を決定するとともに、花に分化する幹細胞の増殖を抑制するという新たなメカニズムを発見しました。この遺伝子は、境界領域でオーキシンの合成量を抑えるため、雄しべの数が一定に保たれ、花の幹細胞の旺盛な増殖力も低下していることがわかりました。
Xu Yifeng博士研究員、伊藤教授らは、これまでに解析を進めてきた雄しべの数が増える特徴を持つ花の「superman」突然変異体について、その原因遺伝子である「SUPERMAN(SUP)遺伝子」が雄しべの数を決定する仕組みを調べました。その結果、SUP遺伝子が作り出すタンパク質は、雄しべと雌しべの境界領域においてオーキシンの合成酵素である「YUCCA1/4」というタンパク質の遺伝子に対して発現を抑制しており、オーキシンの合成量が低下する原因になっていました。これで、オーキシンが花の雄しべと雌しべの間の境界領域に働いて、雄しべなど花の器官の数の制御や、幹細胞の増殖の停止に必要なことが証明されました。さらにオーキシンの働きを促したり、抑えたりする実験によって、このホルモンが花発生の初期に、雄しべと雌しべの境界領域で、花の幹細胞の増殖を抑える作用があることを裏付けました。
本研究の成果は、植物ホルモンオーキシンのはたらきを調節することよって、雄しべなどの花器官の数を変える可能性を示しています。
この研究成果は平成30年5月15日付けでThe EMBO Journalで掲載されました。
◆プレスリリース詳細はこちら
<発表論文>
Title : SUPERMAN regulates floral whorl boundaries through control of auxin biosynthesis
DOI : http://dx.doi.org/10.15252/embj.201797499
書誌情報 :Yifeng Xu, Nathanaël Prunet, Eng‐Seng Gan, Yanbin Wang, Darragh Stewart, Frank Wellmer, Jiangbo Huang, Nobutoshi Yamaguchi, Yoshitaka Tatsumi, Mikiko Kojima, Takatoshi Kiba, Hitoshi Sakakibara, Thomas P Jack, Elliot M Meyerowitz, Toshiro Ito; The EMBO Journal, (2018) e97499, 15 May 2018.