東北大学・飛翔型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

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平成21年度活動ブログ

平成21年度活動ブログ養成講座の活動を記録しています。

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2009.09.16

9/12(土)の「キャリア教育第1弾」を終えて。。。

この科学者の卵養成講座では、科学の面白さを伝え、それをのばすだけでなく、そうした興味をいかに自分のキャリア、つまり、職業にいかすかということも、求められている。そうしたこともあり、キャリア教育を2回企画した。1回目は、渡辺が担当した。

実は、このキャリア教育のもとというか、初めて、こうした講義を行ったのは、2年前の仙台市内の小学校の校長先生からのリクエストでした。生徒さんから返事の手紙ももらい、がんばること、続けることの大切さを、科学者という立場を説明しながら、分かってもらいました。今回は、それをさらに高校生にあわせる形で、大学へ入る過程、入ってからの選択、その後の様々な選択、これからのことなど、話をふくらませて、お話ししました。

受講生からのレポートは、今日時点で、2/3くらいしかまだ目を通しきっていませんが、おおむね、プログラムを企画した実施委員の意図が伝わったような、ポジティブなコメントがほとんどでした。みなさまである程度、共有する方が、みなさまにも実感として考えられるでしょうから、その一部を紹介しておきます。


<<自分の方針が決まっていると感じられる生徒さん>>
(1)大学進学は将来を決定する上で重要な要素だと思える。あまり得意でない英語を得意にしたい。多くの興味を持つようにして選択肢を増やす。
(2)目標や進路の決め方が具体的に分かった気がします。今の自分は両親に言われるまま、とりあえずという感じなので、ちゃんと自分で考えていかなくてはならないと思いました。
(3)今現在の夢に向かえているのは、周りの情報の影響をかなり受けていることに気付きました。「面白い」「挑戦したい」という気持ちを忘れずにいたいです。
(4)勉強するのは大学に入るためではなく、自分らしく生きるためだと思っています
(5)もう高2なので自分の将来についてもっと真剣に考えていかなくてはならないと思った。
(6)学校に進路指導よりずっと興味深く楽しかった。自分の将来にはネガティブなイメージしか持っていなかったので、これを機会に自分の進路について考えたいと思う。
(7)害虫を寄せ付けない野菜や生命力が強い野菜を品種改良で開発したいと、先生の講義を聞いて決心しました。
(8)心のケアも出来る医師になりたい。「夢をたくさん作ることはいいことだよ」と言われたことがありましたが、今、本当にそうだなと感じています。
(9)努力することをたゆまずにすることはすごく難しいと思います。それが私の課題で、生活の一部に「努力」が入るぐらい頑張らないといけないと思います。
(10)たくさんの決断によって自分の人生が作られていくことを実感した
(11)必要なのは自己分析。自分に何が出来るのか、何が人より自信があるのか。
(12)いままで、大学で研究するまで、どのようにして自分の進路を決めてきたのか、具体的な話を聞くことが無かったので、講義を受けて安心する面があったり、参考になる部分があったりして、とても為になったと思う。
(13)人生にはたくさんの分岐点があって、それをそれぞれ一つずつだけ選んで進んでいくわけだから、自分にとって一番良い選択肢を見極める力を付けておきたいと思った。
(14)研究したいことなどで、それからのことが変わることに少し驚きました
(15)小中学生の頃はテニスプレーヤーとか歌手とかの実現性のないことばかり考えていましたが、(中略)自分の行きたい進路が明確になった気がしました。
(16)人との出会いによって自分の道が決まることもあるので、その機会を大切にしていきたいと思います。
(17)私の夢の理由は単純すぎるのではないかと今まで不安に思っていたりもしましたが、今日の講義を聞いてとても勇気付けられました!  私も信念を持って進路を決めていきたいと思います。
(18)人生の中にはいたるところに分岐点があるのだと思った。
(19)子どもたちに科学の素晴らしさを伝えることができる科学者になりたい



こうしたコメントを書いてくれた受講生の皆さんには、おおむね、5, 10, 20年後に何をしたいか、現実的なことを書いていて、将来の自分に向かって進んでほしいと思いました。

ただ、1つだけ、落ち込みやすい問題点というか、気になることを記しておきます。渡辺も高校時代に、ロケットを打ち上げるということに興味を持ち、でもそのあと、農学部へ進みました。では、ロケットを打ち上げるという夢を持ち続けたら、今、種子島でロケットを打ち上げることをしていたでしょうか。それは、少し夢を壊すようなことかもしれないですが、かなり難しいと思います。

渡辺の同級生でも、理学部の物理に進み、宇宙物理をやりたいというか違いましたが、いざ、大学へ進学すると、自分の能力の限界というか、自分よりさらに上がいる、その上には、どんな努力でも勝てない。もちろん、100%ではないのでしょうかが。そんなこともあり、その友人は、「生物物理学」という、物理と生物の境界領域を研究し、筋肉の収縮と言うことで、大きな成果を上げられ、今はとある大学で教授をされています。

というように、誰もが興味を持つことだけど、ある種の努力だけではカバーできないような壁というか、そのようなものがあるのも、事実です。決して夢を壊すわけではなく、ある程度、現実とは、向き合ってほしいと言うことで、この様なことを書いています。その意味で、このプログラムの趣旨でもある「様々な領域をカバーできるような」研究者を目指して、現時点では、特定の科目に集中しすぎないように、先鋭化しすぎないようにしています。これは、将来、何かで行き詰まったときに、それまで関係ないと思っていた領域も、役に立ったりします。逆に、若いときに、あんなことも勉強しておけば良かったと言うこともあります。渡辺で言えば、大学で、有機化学はもちろん、単位としてとりましたが、何というか、化学全般を広く学習していません。ので、たとえば、アミノ酸配列を見て、どこが酸性、塩基性、疎水性、親水性など、何となくしか分かりません。それでも、遺伝子とか、タンパク質のことは、考えているわけですが。。ある程度、年をとってから、苦労しながら。

少し長くなったかもしれないですが、決して夢を失うなと言うことではなく、その夢の先にあるものをきちんと見すえて、チャレンジしてほしいと言うことです。



<<まだ、方針が決まっていなく、これからという感じの生徒さん>>
(1)とりあえず大学生に
(2)私は今まで将来が全く思い浮かばず、最近少しずつ進路を考えられるようになってきた
(3)将来なりたいものがたくさんあって、そのどれもがなろうと思えばなれるような時、どうやって進路を選べば良いでしょうか。一番を決められないほどどれにも興味があるのですが・・・。そうなると、やはりお給料とかでしょうか・・・?
(4)ふと「本当にやりたいのか?」と思うときがあります
(5)まだ働くってことに現実味を持てません。今を生きることで精一杯なのかも。
(6)大学に入ってからも選択肢はまだまだあるのだと思った。
(7)研究者になりたいと思っているが、いろいろなところへ興味があって絞れません。
(8)何か明確に「やりたい」と思えることを見つけるところから始めなくてはいけないと改めて実感した。
(9)「これが好き!!」ときっぱり言えるものが、考えるほど分からなくなるのですが、これはどうずれば良いのですか?


ここの生徒さんたちは、どちらかというと、現在の進路に悩んでいる。講義を聴いて少しは考えることができるようになった。という方々と思います。ただ、気になったことがひとつありました。それは、「将来にわたって、まだまだ選択肢はたくさんあるので、いますぐに決断することはない。大学の先生とか、いろいろなヒトが、何かを見せてくれるかもしれない。」という、どちらかというと、受け身的なものがありました。渡辺の講義を聴いたときに、この様にもとることができるのだなと思いました。講義をした方の趣旨としては、受け身でいたから、今があると言うことではなく、自分から積極的に、トライをして、今があると言うことです。なので、皆さんにお伝えした、「毎日、努力する、続ける」ということは、決して受け身ではなく、積極的な姿勢から生まれるものだと思います。

他にもまた気になったことがあれば、皆さんで共有して、受講生の皆さんがよりよい方向に進んでいただければと思います。もし、感想などありましたら、渡辺まで、mailでお寄せください。お待ちしております。


わたなべしるす


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