発展コース「泡で叩いて金属を強くする」では,キャビテーションという泡を使って金属を叩き,叩いた金属をX線などを使って調べる実験をしています。
富士山などの高い山では気圧が低いので,90℃弱で水が沸騰します。
液体を速く流すと,圧力が下がって,室温でも気体になります。このように流速が増大して液体が気体(泡)になる現象をキャビテーションと呼びます。水道の蛇口から時折,シャーという高い音が発生するのは,キャビテーションが生じる音です。
キャビテーションは,金属も凹ますような衝撃力を発生するので,ポンプや船のスクリューを壊してしまう「害悪」ですが,逆転発想的に,金属を叩いて強くすることにも使えます。
今日は,磁石に付かないステンレスを叩くと,結晶の構造が変わり,磁石にくっつくようになることをステンレスのスプーンを使って体験しました。その結晶構造を模型を使って視覚的に学んだ後,高校の物理IIに出てくる「ブラッグの回折条件」を勉強してから,実際にX線で計測してみました。また,ビー玉をパチンコのように転がして「二項分布」になる実験から,X線の分布形状(正規分布)を学びました。
さらにキャビテーションにより金属に圧縮の応力を導入できることや,金属の中のミクロな歪をとることもできることを,X線を使って調べました。また,材料が引張られていると,割れてしまうことを,アク
リル樹脂を使って体験しました。
というわけで,今日は,眼に見えない原子の並び方や間隔をX線を使って調べ,キャビテーションという泡で,金属が変わることを体験してもらいました。