東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

令和元年度 活動ブログ

令和元年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2020.04.09

科学者の卵としての日々

 みなさん、こんにちは。仙台市立仙台青陵中等教育学校の星野鈴佳です。春から6年生(高3)になります。つい最近高校に入学したばかりのような気分ですが、気づけば残り1年となってしまいました。本当にあっという間だったなと、しみじみ感じています。

 科学者の卵養成講座も、先日から新年度の受講生の募集を開始したみたいですね!ということで今回は、この講座に興味がある新高校1年生、2年生の皆さんにも参考にして頂けるような話も盛り込んでいけたらと思います。どうぞ、最後までお付き合いください。

 今回は卵での学びの総括、第2弾です。前回は研究発展コースでの総括しか書けなかったので、今回は研究基礎コースメインで書いていこうと思います。

 私は高校2年生から、科学者の卵養成講座の受講生になりました。自分の意志で参加を決意したのですが、受講生に選ばれてから最初の講義を受けるまでは、本当に自分はやっていけるのだろうかという不安がありました。講義の内容を理解できるか、レポートをしっかり書くことができるか、周りの高校生についていくことができるか、という気持ちでいっぱいでした。実を言えば、それまで私は科学とは無縁な生活を送っていました。部活も科学部などには所属していませんし、研究や科学の甲子園などでの受賞経験ももちろんありません。ですが、高校に入学して科学(私の場合は特に生物)の面白さに目覚めてからは、科学者の卵を受講したい!という情熱は(情熱だけは)とても強かったと思います。

 今、講義の全てが終わって思うことは、受講前に抱えていた不安は本当に杞憂だったなということです。それは、自分の心配が実際に受講してみると全くなかったという訳ではありません。むしろ、想像していたよりも何倍もハードなものでした。講義の内容も非常に高度なもので、一度聞いただけでは理解できないものばかりでした。ですが自分は、その先のステップがより大事なのではないかと思います。先生方が何年もかけて取り組まれた研究内容を、知識も経験も全くない高校生の自分が、講義の90分間だけで完全に理解するというのは、はなから難しい話だと思います。それよりも、頂いた資料や分かったことを総合して考え、自分で調べる、教授に直接質問するなどのステップを通して、深く考え理解することに努めることが大切なのだと思いましたし、実際自分はこのステップを通して成長することができました。また、レポートもあまり満足のいくものが書けたことがありませんでした。特に毎講義終了後のレポートは、時間もなく、質問もしたいという状況の中で、一筋縄ではいかない質問に答えなければなりませんでした。例えば、「日本の未来を支える科学人材として、どの様な大局観がグローバル化を超えた社会に対して意義のあるものであるか」(そもそも大局観という言葉の意味が分からず動揺しました)、前回の講義での酵素ジュースに対する科学的批判(明らかに胡散臭いですが、いざ言葉にするとなると難しかったです)など、毎回度肝を抜かれるような気持ちでした。レポートを書く時はいつも、自分の知識のなさを恨めしく思いながら、持っているものをすべて出し尽くしてなんとか考えを捻り出していました。自分はこの時間を通して、短時間で、自分の知っている範囲のことを生かして考えをまとめていく力、一定量の文章を論理的に書く力を養うことができたと思います。

 周囲の高校生たちの存在もまた、自分にとって刺激的なものでした。部活動などを通して科学研究に取り組んでいる人はたくさんいて、研究内容を聞くのはとても面白かったです。自分が苦手な物理と、習ったこともない地学が大好きな人もいて、自分のそれぞれの学問に対する見方も変わりました。また、英語交流サロンのときに、前で発表している人の英語が流暢すぎて、留学生かと思っていたら高校生の仲間だったということもありました。科学者の卵養成講座には、本当にスーパーな力を持った高校生が集まっていたと感じますし、そんな仲間と一緒に切磋琢磨しながら受講できて、本当に良かったと思っています。去年までは家で無為に過ごしていた土曜日や、何の代わり映えの無かった平日の放課後が、科学者の卵養成講座に参加してからは毎日が新しい出会いと発見の連続で、人生が変わるほどの刺激を受けましたし、一番「考える」ことをした時間になりました。今まで生きてきた17年間の中で、一番濃密な一年だったと思いますし、今後の人生の中でもこの1年を越える年はなかなかないと思います。
 
 科学者の卵養成講座に参加して、自分の成し遂げたいビジョンが生まれました。それは、自分の研究を通して、誰かの役に立つということです。この講座に参加するまでは、自分が研究をしている姿はまったくイメージできませんでした。ですが今は、多くの先生方や学生の方々を目にして、自分もあちら側にいきたいと強く思うようになりました。まずは大学生になって、ひよこの皆さんのように自分のテーマを持って、研究に取り組んでいきたいです。そして将来的には、自分の研究が何らかの形で人々の役に立つようなことを成し遂げたいと思っています。

 新高校一年生の皆さん。自分にはまだ早いなんて遠慮してないで、どんどん飛び込んで行って下さい!科学者の卵には、「本当に一つ年下なの...?」と思ってしまうほどパワフルですごい1年生がたくさんいました。皆さんにはまだまだたくさん時間があります。大切なのはここで学びたいという気持ちだと思います。皆さんの気持ちに行動が伴えば、「科学者の卵養成講座」はきっと応えてくれるはずです。

 新高校2年生の皆さん。高校で1年間勉強したのは、大きなアドバンテージになると思います。私自身講義の中で、授業習った内容が出てきて理解しやすかったことが何度もありました。また、進路について真剣に考え始める時期だからこそ、感じられることもたくさんあると思います。確かに、あと1年あれば...と思ったことがない訳ではありません。ですが、2年生のこの1年間で受講できたこともまた、大きな意味のあることだったと感じています。

 高校生活は本当にあっという間だと思います。私は気づいたら3分の2が終わっていました。だからこそ、今しかできないことに、どんどん取り組んでいってほしいと思います。そして、科学者の卵養成講座に興味があって今このブログを読んでいる皆さんは、もう絶対に応募するべきです!迷ったらとにかくやってみる、この気持ちが高校生活を充実させる一つのカギになると思います。

 最後になりますが、今回のブログのタイトルについて少しだけ書かせてください。お気づきの方ももしかしたらいるかもしれませんが、実は今まで投稿してきたブログのタイトルには、初回を除いて全て「日々」という言葉を入れてきました。「日々」という言葉を選んだのには理由があります。科学者の卵養成講座を受講していてからは、自分の日常を「科学者の卵」という眼鏡越しに捉えることができるようになりました。「まちかどサイエンス」もそうですが、日常の中で常にアンテナを高く持ち、疑問に思ったことは納得するまで自分で調べることで、毎日をより学びに溢れたものにできたと思います。そして科学者の卵を卒業したこれからも、その毎日は続いていくのだと思います。これからも、「日々」成長して、体感して、時に迷いながらも、未来に向かって進んでいこうと思っています。

 1年弱という短い時間でしたが、事務局の皆様、先生方、発展コースにてお世話になりました学生の方々、そして何より一緒に成長できた受講生のみなさん、本当にありがとうございました。講座は一区切りということですが、日本は広いですが世間は狭いので、またどこかできっとお会いできると私は信じています。

 だから最後は「さよなら」じゃなくて、

 また会いましょう!

投稿者:事務局 |個別ページ

2020.03.26

サクラサケ

 皆さんこんにちは。家にいる日が多く、体脂肪率の上昇と体力の低下が恐ろしい穂積尚子です。今回は今の私の所感を述べて、まとめとします。というのも、先日、発展コースの提出物が完了したのです。これをもって一旦は終了...早速たまごロス来てます。微分投げ出してこれ書いてるあたり、かなり休校にも参ってます。

 さて、私のこの一年は科学者の卵を中心に回っていました。来年からは、学校の課題研究と、勉強になるのでしょう。このプログラムに参加したことで、進路に対する視野が広がったのは言うまでもありません。去年の四月、運動部を電撃退部し、あの凝り固まった考えのまま突き進んでいたらと思うとぞっとします...。今なら分かります。高校生活は大学へのつなぎなどではない!楽しいことも、ワクワクすることもたくさんある。高校生活での出会いは、卵での出会いはとりわけ一期一会です。英語交流サロンで出会った留学生の方々(そして食堂で突入してしまったフランスからの留学生のお二人)、サロンで同じグループになった受講生の皆さん、そして、発展コースの先生とTAの方々。メールで提出物を提出するたびに、発表会がなくなってしまったことを慮って励ましの言葉をくださった事務局の下山さんをはじめとする事務局の皆さん。感謝でいっぱいです。このプログラムを勧めてくれた母にも...!

 発展コースのこと、あまり触れていませんでしたが...星野さんが細胞培養について触れていたので、私もちょこっとだけ、発展コースについて話します。というよりは、私の手技がいかにおぼつかなかったか...ですが...。ピペットを使って、シャーレの溶液を吸い上げて、吐き出して、というのは正に私が思い描いていた「研究」というものでした。ただ、研究、とはそういうものだろうと私が思っていた以上に失敗が続きました。なんでここだけこんなに色が違うんだ!なんでここもバンドが出てるんだ!なんでこの細胞...いや、生きているんだよね君もね...見えてはいけないものが私にだけ見えているのかな...いやTAの方の目にもばっちり見えている。二人とも心がきれいってことなのかな...と、現実逃避したいくらい何回も何回も失敗しました。やり直しました。レポートをまとめているときも、科学的な書き方が分からなくて、初歩の初歩から聞いたり、直していただいたりしました。お忙しい中、ありがたいと同時に無力感を味わいました。きっとこれも経験です。親が持っている薬学の本をひっくり返して、何か関連していることがないかなと探したりもしました。何が書いてあるのかあまりわかりませんでしたが...。

 研究とは、そういうものなのだ、とは胸を張って言うことはできません。結論がある程度見えている研究もあるでしょう。ですが、高校生のうちに、分からないことに向かう研究に関われて良かったと思います。この経験はそう簡単にできるものではありません。だけど、科学者の卵のように、科学と関わるプロジェクトに、もっともっと多くの人が参加してくれたら、と思います。これから何年か経ったら、進路を達成し、目標に向かって努力し続ける大学生となり、たまごではなくひよことして戻ってくることでしょう。その日まで、道のりは平坦ではないに決まっています。けれどこの一年間で得たたくさんの経験があれば、乗り越えられる。私のゴールはどこにあるのか、まだはっきりとは決まっていませんが、いくつになっても、探究し続ける人間でありたい。学びを忘れない人間でいたいと思います。

 このブログ、ありがたいことに思いのほか多くの人々が読んでくださっていました。拙い文章にマシンガンのように色々書きなぐっていましたが(おかげでタイピングが上達しました。)最後まで読んでくださってありがとうございました。

 I'll be back.

投稿者:事務局 |個別ページ

2020.03.14

日日是好日

 みなさん、こんにちは。仙台市立仙台青陵中等教育学校5年の星野鈴佳です。今日3月14日、実は「一般相対性理論」を提唱したアインシュタインの誕生日なんだそうです。それから、3.14にちなんで、円周率の日でもあるそうです。何だかロマンを感じる一日ですね。

 さて、今日投稿したのは、今までの卵での学びを通して感じたことをお話ししたいと思ったからです。ということで今回は、特に研究発展コースでのことについて書いていこうと思います。

 私は昨年の11月から、医学系研究科病態病理学分野で実習をさせて頂きました。初めのうちは慣れない環境ということもあり、本当に緊張していて、TAの方に「どうしてそんなにオドオドしながら歩いてるの~」と笑われてしまったこともありました(自分ではそんなつもりはなかったのですが...)。そして、失敗の連続で空回りばかりでした。最初のうちに取り組んだ細胞培養も、なかなか手順を覚えることができず、教えて頂いてばかりでした。言われたからやる、自分で考えてできない、そんな自分に嫌気がさして、できることは自分でやろう、次に何があるのか頭で考えていこうと思えるようになったのは中盤になってからでした。実習に2か月以上参加した今でも、全てを自分でできるようになれた訳ではありませんが、「次はこれをしますか」と先回りして聞けるようにはなってきていたかなと思います。

 ここからは、私が研究発展コースで一番印象に残ったことについて書いていきます。それは、「研究」というのは上手くいくことばかりではないということです。まず、実験の中でたくさん失敗してきました。入れる場所を間違えて薬剤を投与してしまう、ピペットの袋を反対側から開けてしまう(ピペットが無駄になってしまいます)、シャーレの底をピペットの先端で引っ掻いて細胞がつかなくなってしまう、というようなことは何度もありました。時には、細胞株がもとのもとからコンタミネーション(細胞以外の細菌、真菌、マイコプラズマなどの微生物によって細胞が汚染されること)していて、今までやってきた実験のデータがほとんど使えなくなってしまうこともありました。さらに、シャーレ内の写真の見た目と裏腹に、測定してグラフにするとおかしな表になってしまうと思っていたら、測定器自体の調子が悪かったということもありました。電気泳動法に取り組んだときにも、腰が痛くなりながら頑張って作業をしても、泳動すると結局上手くバンドが出ないことは何度もありました。また、結果自体はしっかり出ても、結局レポートや論文などで発表することができないものに終わることもたくさんありました。ですが、結局結果として使えなくても、次につながるものもたくさんあったと思います。例えば、抗がん剤耐性を持つ膵がん細胞にも、高濃度であれば細胞の増殖が抑えられているという結果が得られたことがあります。抗がん剤は副作用が強いので「高濃度であれば効く」というのは、実際に患者さんに投与することができないので実用が難しいです。ですが、どうしてそうなるのかについてさらに調べていくことで、また何か新しいことが分かってくるかもしれないとTAの方はおっしゃっていました。その結果自体使えないものであっても、そこから分かった小さなことや、反省を生かして次の結果が生まれて、また新たな結果が生まれて、最後に論文に載せることができたなら、そこまでにあったものは全部、確かに意味があったのだと思います。

 思い出したのは、先月講義をして頂いた工学研究科の中山亨教授のお話です。2000本近いキイロキンギョソウから、何とか花の色を黄色くする酵素を発現させる遺伝子を抽出できたのにも関わらず、実際に青い花に入れてみても黄色くならない...。一筋縄ではいかない生物相手に、何度も試行錯誤を繰り返したとおっしゃっていました。講義の最後に、最終的に黄色い花を咲かせた株の写真を見せて下さったのですが、そのときは感動して思わずうるっとしました。

 冒頭にも紹介しましたアインシュタインも、こんな名言を残しています。「間違いを犯したことのない人というのは、何も新しいことをしていない人のことだ」 間違いや失敗を恐れずに、少しずつ見方を変えながらも挑戦し続けることの大切さが分かります。

 研究発展コースで実習できたこの2か月と少しの間は、自分のこれまでの人生の中で一番、色々なことを学び、視野が広がり、悔しさや不甲斐なさを感じ、もっと成長したいと思い、何よりこの道を選んでよかった、これからもこの道を進んでいこうと思えた時間でした。本当にやりきれて良かったと思っています。

 さて、今回のブログのタイトルでもあります「日日是好日」という言葉、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。この言葉はもともと禅語で、今の言葉で言えば「毎日いい日が続いてけっこうなことだ」となります。ですが本当は、毎日が良い日となるように努力するべきだという教えの解釈、良いこと悪いことという判断から離れて、今この時を生きることが好日につながるのだという解釈、そして好悪の判断をせずにあるがままを良しとして受け入れるべきなのだという解釈などがあるそうです。私は、この姿勢は研究にも通じているのではないかと感じました。過ぎてしまったことにいつまでもこだわったり、まだ来ぬ明日に期待したりせず、目前の現実が喜びであろうと、悲しみであろうと、ただ今、この一瞬を精一杯に生きる。得られたデータや現状を前向きに受け止め、何とかしようと模索していく姿勢こそが大切なのではないかと思いました。ちなみに、森下典子さんの『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』は一読をおすすめします!

今までで一番長文になってしまいました...。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

投稿者:事務局 |個別ページ

2020.03.13

日本食

 岩手県立水沢高等学校の佐々木遥大です。前回の講義で思ったことを書きます。岩渕先生の講義では、大昔から世界各地に薬の神がいたと分かりました。昔は悪霊が病気の原因だと考えられていたというのには驚きました。汚物薬は、悪霊も嫌だろうという考えから使われていたというのはなるほどと思いました。コペルニクスが医者だったというのは衝撃でした。錬金術が化学の発展に貢献しなかったというのには納得しました。キニーネがアメリカで合成されたことが兵士の戦意を高揚させたというのは確かにそうだと思いました。色素によって病原菌が動きにくくなるのはすごいと思いました。今はエイズで死ぬことはないが、一生薬を飲まなければならないというのは初めて知りました。カレーのクルクミンは加熱調理されているので活性が増強しているということですが、同じくクルクミンを含むたくあんを加熱調理したらどうなるのだろうかと思いました。20200313084613-983c00d263a190724d68f30c6b76a28f585747cd.jpg  中山先生の講義では、代謝マップは生物ごとに道のりが違うというのはなるほどと思いました。タンパク質はアミノ酸が直列につながっているというのは確かにそうだと思いました。口の中は温和な環境だと分かりました。酵素には、反応を10^14倍加速させるものもあるというのには驚きました。体の中の数千~数万の反応のそれぞれに別々の酵素が働くというのはすごいと思いました。人の一生を10^9倍加速させると2.5秒だというのは衝撃でした。酵素が1つでも欠損すると命に関わるというのは初めて知りました。日本酒には酵素の活性が残ってはいけないというのには納得しました。

投稿者:事務局 |個別ページ

2020.03.12

彷徨う日々と...

 みなさん、こんにちは。仙台市立仙台青陵中等教育学校5年の星野鈴佳です。先日仙台ではまとまった雨が降り、春が近づいてきているのだな...と感じるこの頃です。私は研究発展コースに参加しているのですが、高校の休校に伴い、研究室での実習も終わってしまいました...。今は、研究レポートの作成など、今まで取り組んできた研究をまとめる作業に取り組んでいます。これがとても大変で、毎日自分の知識と語彙力をフル活用しながらパソコンとにらめっこしています。

 今日ブログを投稿したのは、自分が研究発展コースに参加して一番考えさせられた「進路」のことをぜひお伝えしたいと思ったからです。あくまでも私個人の意見なので、そこは違うだろと思う方もいるとは思いますが、この文章を読んでくださる少しでも多くの方にとって、進路や将来について考えるきっかけになれば嬉しいです。

 私は高校1年生のときに、生物という学問を純粋に面白いと感じ、大学では生物を深く学びたいと思うようになりました。科学者の卵養成講座に参加しようと思ったきっかけもここにあります。ですが、一口に生物といっても、この研究がしたい!と強く思えるような分野は見つかっていませんでした。そのこともあり、この講座を通して自分のやりたいことを見つけられたらという思いもありました。ただ、一つだけ言えるのは、医学部を目指したことはなかったということです。おそらく自分が、医師という責任が非常に重く、また優秀でないとなれないような職業につくことに具体的なイメージがわかなかったこと、医学とは何を学び研究する学問なのかあまり知らなかったからだと思います。そのため自分が医学系研究科の研究室への配属が決まった時は、正直とても驚きましたし、本当にやっていけるのかという不安もありました。

 ですが、実習を通して教授やTAの方のお話を伺ったり、実際に自分が医学系の研究に取り組んだりしていく中で、自分の中にあった医学に対する先入観が打ち壊されました。まず、私は医学部といえば誰もが医師を目指し、人間の体のしくみや医療に関することばかりを学ぶものだと思っていました。ですが、TAの方の中には獣医を目指して他の大学で勉強された後、今は東北大学の医学系研究科で研究をされている方もいますし、今私が取り組んでいる研究は膵がんと抗がん剤に関することなので、薬の性質や代謝経路などについても考える必要があります。このことから、医学部(医学系研究科)は医学を学ぶ志のある人全てに開かれた学問であり、行う研究も幅広いことを実感しました。また、医学は様々な方々の協力の上に成り立っており、命の尊さを痛感しながら向き合っていかなければならないということを感じました。私は研究のために膵がん細胞株を扱いましたが、その細胞は実際の膵がんの患者の方から頂いたものなのだそうです。医学の発展は命の上に成り立っており、だからこそそこで得られたものによって命を救っていかなければならないのだと強く感じました。

 実習を通してそれまでの自分の先入観がなくなり、自分の中に医学という新しい選択肢が生まれました。ですが私は今高校2年生で、これまで考えていなかった道へと舵を切ることに対して、不安にも似た気持ちを持っています。先日このことを、以前講義もして頂いた堀井明名誉教授にお話ししたところ、「どうして医学部を選ぶことに抵抗があるのか分からない」とばっさり斬られてしまいました。堀井先生は、物事を決めるのに遅いことはないし、自分がやりたいことができる方に進むのが一番だ、だからしっかり考えなさいと助言してくださいました。

 研究発展コースでの実習を通して、これまで自分が知らなかった、そしてこのような機会がなければ知ることもできなかった新たな選択肢や視野が生まれました。ですが、自分のやりたいことを見つけたいという思いもあり挑戦した科学者の卵養成講座でしたが、どの道を選んでいけばいいかむしろ腹を決められずにいるのが現状です。ただ、一つ言えることは、何も知らずに決めるのと、広い世界を見てそれでもやっぱりここにすると思って決めるのは、全然違うのだろうということです。今私と同じように進路で悩んでいる方も、決めつけないで一度飛び込んでみて、自分で体感してみることが大切なのだと思います。飛び込むチャンスは、きっと科学者の卵だけでなく、例えば今まで全然興味がなかった分野の本を読んでみるとか、ボランティアなど新しい活動に挑戦してみるとか、いつもと違う道で帰ってみるとか、そういうところにもあるのだと思います。きっと新たな考えや視点が得られるはずです。

 人生は一度きりで、高校卒業後の進路は人生を左右するといっても過言ではないと思います。だからこそ将来後悔しないために、さまよいながらも、自分が進む道を自分の力で選び取っていきたいです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

投稿者:事務局 |個別ページ

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