研究経過

本領域のメンバーが令和7年度 日本育種学会【奨励賞】を受賞しました(津田班)

December 4, 2024 10:00 AM

Category:受賞

main:津田班

公募研究班(津田班)の 津田 勝利 助教(国立遺伝学研究所)が令和7年度 日本育種学会「奨励賞」を受賞しました。

おめでとうございます!

 

【受賞題目】

「イネ科植物における茎形成機構の研究」

 

■ 詳しくはこちらをご覧ください。

なお、授賞式は令和7年(2025年)春に開催されます。

本領域メンバーが2025年度 日本植物生理学会奨励賞を受賞しました(藤井班・津田班)

December 3, 2024 9:57 AM

Category:受賞

main:津田班, 藤井班

本領域メンバー2名が「2025年度日本植物生理学会奨励賞」を受賞しました!

おめでとうございます!

 

【日本植物生理学会奨励賞】

藤井 壮太 (藤井班・東京大学 大学院農学生命科学研究科)
「植物の受精前障壁に関する分子機構の研究」

  

津田 勝利 (津田班・国⽴遺伝学研究所)
「茎の初期発⽣機構の研究」

 

■ 詳しくはこちらをご覧ください。

なお授賞式と受賞講演は、2025年3月15日の金沢年会にて行われます。

植物の遺伝子制御を「目で見える」形に:~新しい実験手法で植物研究の効率化に貢献~(元村班)

November 19, 2024 10:39 AM

Category:論文発表

main:元村班

公募研究班の立命館大学・元村一基研究グループは、植物の重要な遺伝子制御メカニズムである「RNAサイレンシング」を、簡単に評価できる実験手法を考案しました。この成果は2024519日、国際学術誌「Plant Molecular Biology」に掲載されました。

 

研究のポイント

・植物の遺伝子制御の活性を「赤紫色素」で可視化・評価する手法を考案

・高価な実験機器を必要とせず、短時間で結果を確認可能

・生殖研究など、幅広い分野での活用に期待

 

研究の概要

RNAサイレンシングは、小さなRNAsmall RNA)が特定の遺伝子の働きを抑制する仕組みで、植物生殖組織の発生や、両性花における生殖隔離現象など、様々な現象に関わっています。従来、この仕組みを調べるには、蛍光タンパク質(GFP)などを使用する必要があり、高価な顕微鏡や複雑な実験手順が必要でした。

元村らは、食品着色料としても使用される赤紫色の天然色素「ベタレイン」を作り出す遺伝子カセット"RUBY"を活用。これを使うことで、RNAサイレンシングの働きを「目で見える形」で簡単に評価できる手法の開発に成功しました。本手法は、肉眼で遺伝子抑制活性の程度が観察可能であり、蛍光顕微鏡などの機器が不要です。更に短時間での定量評価が低コストで実施可能であるという、多くのメリットを備えています。この新しい実験手法により、生殖メカニズムを含む植物の遺伝子制御研究がより効率的に進められることが期待されます。

本研究は国際的にも高く評価され、遺伝子研究ツールの提供プラットフォームAddgene20周年記念の一環として、科学誌「Nature」でも紹介されました。

https://www.nature.com/articles/d41586-024-03152-4

 

論文情報

タイトル:Straightforward and affordable agroinfiltration with RUBY accelerates RNA silencing research

著者:Tabara M, Matsumoto A, Kibayashi Y, Takeda A, Motomura K.

掲載誌:Plant Molecular Biology2024519日付)

DOI: 10.1007/s11103-024-01463-8

 

プレス用figure.jpg

. 本研究の概要

A) RUBYを用いた定量系の模式図。ベタレイン色素が溜まったエリアを破砕して吸光度を測ることでRUBY遺伝子カセットの発現量が定量できる。

B) RUBY遺伝子カセットと、invertet-repeat (IR)というRUBYの発現を抑制するDNAを同時に打ち込んだタバコ葉。

C) RUBY遺伝子を抑制しないIR-GFPに比べ、RUBY遺伝子を抑制するIR-GTIR-CYPを同時に打ち込んだときは、ベタレイン色素由来の吸光度が大きく減少した。この吸光度はRUBY遺伝子発現量と強く相関した。

図はCC BY-NC-ND 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/) に基づき引用した

【書籍】Rice: Methods and Protocolsが出版されました(川勝班、津田班)

November 18, 2024 1:03 PM

main:川勝班, 津田班

公募研究・川勝泰二上級研究員(農研機構)が編集した"Rice: Methods and Protocols"Methods in Molecular Biologyシリーズ)が出版されました。

 

本書はSpringer Nature社のMethods in Molecular Biologyシリーズとして刊行され、タイトルに関連した実験における各ステップの手順が詳細に記述されたプロトコール論文集として構成されています。各ステップのコツがまとめられていることも本書の特徴です。本領域からは、公募研究・川勝らが「磁気ビーズを用いたRNA抽出法」、「CUT&RUNに用いるpAG-MNaseの簡易調製法」、「試験管内で転写因子が結合する領域を同定するDAP-seqライブラリー調製法」について、公募研究・津田勝利助教(遺伝研)が「クロマチン免疫沈降法」について執筆しています。イネを材料としたプロトコールとして記述されていますが、ほとんどのプロトコールは様々な植物種に適用できるため、イネ研究者だけでなく、多くの植物研究者の方に利用していただけると幸いです。

 

<書誌情報>

Taiji Kawakatsu (Eds)

Rice: Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology, volume 2869)

Humana Press

eBook ISBN: 978-1-0716-4204-7

DOI: https://doi.org/10.1007/978-1-0716-4204-7

 

<本領域参画者が執筆したプロトコール論文>

Yoshino K and Kawakatsu T (2025) Total RNA extraction from rice vegetative tissues using magnetic beads. Methods in Molecular Biology 2869:7-13

Kawakatsu T (2025) Expression and purification of pAG-MNase for CUT&RUN. Methods in Molecular Biology 2869:147-155

Tsuda K (2025) Chromatin immunoprecipitation from shoot apices and young panicles of rice. Molecular Biology 2869:157-168

Kawakatsu T (2025) In vitro genome-wide identification of transcription factor binding sites. Molecular Biology 2869:169-182

Rice.jpg

【プレスリリース】生物多様性の力で虫害を防ぐ 〜混ぜて植えるべき植物の遺伝子型ペアをゲノム情報から予測〜(清水班)

October 16, 2024 1:19 PM

Category:プレスリリース, 論文発表

main:清水班

横浜市立大学木原生物学研究所 清水健太郎客員教授(チューリッヒ大学 研究所長・教授兼任)および北海道大学大学院地球環境科学研究院 佐藤安弘助教、龍谷大学農学部 永野惇教授(慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任教授)らの研究グループは、磁石の相互作用の物理理論をDNA配列解析に適用する新手法Neighbor GWASを開発し、それを用いて異なる遺伝子型の植物を混ぜて植えることによって、昆虫による虫害を減らすことに成功しました(図1)。本研究を農業に応用することで、環境保全や生物多様性保全などのSDGsや、農林水産省「みどりの食糧システム戦略」の推進に貢献していくことが期待されます。
 本研究で扱った虫害に対する連合抵抗性は、おそらく植物間のコミュニケーションの氷山の一角です。生殖や資源をめぐる競争などの観点からも、植物個体間の相互作用の重要性が今後ますます明らかにされていくと期待されます。

本研究成果は、国際科学誌「Nature Communications」に掲載されました(日本時間2024年10月7日18時)。

 

20241007shimizu-03.jpg

 図1:本研究で確立した方法。ランダムに配置された多くの遺伝子型から隣同士の相互作用をゲノム情報と機械学習で予測して(左)、混ぜて植えるペアを効率良く選ぶ(右)。

 

◆詳細はこちらをご覧ください>横浜市立大学HPへ

 

<論文情報>

タイトル: Reducing herbivory in mixed planting by genomic prediction of neighbor effects in the field
著者: Yasuhiro Sato, Rie Shimizu-Inatsugi, Kazuya Takeda, Bernhard Schmid, Atsushi J. Nagano, Kentaro K. Shimizu
掲載雑誌: Nature Communications
DOI: 10.1038/s41467-024-52374-7

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