研究経過

東京大学𝕏かずさDNA研究所 in イオンモール木更津「アサガオの色と形の変化を調べてみよう!」

July 12, 2024 12:38 PM

Category:アウトリーチ活動

main:白澤班, 藤井班

8月17日(土)にイオンモール木更津で「アサガオの色と形の変化を調べてみよう!」を開催します。

日程:令和6年8月17日(土)
時間:11:00~12:00、14:00~15:00
各回定員36名*要予約
場所:イオンモール木更津 1階サウスアトリウム
内容:アサガオの研究紹介とアサガオを使った色水実験
・植物ゲノム・遺伝学研究室の白澤室長による「変化アサガオ」の研究紹介
・東京大学の藤井准教授による研究紹介+アサガオの花粉管が伸びる様子を演示実験
・アサガオで色水実験

★展示(変化アサガオ・実験器具・研究紹介パネル)⇒10:00~16:00

お申込みはこちらから

かずさDNA研究所からのお知らせ
イオンモール木更津からのお知らせ

イオンモールHP用_アサガオ-01.jpg

【共催ワークショップ】イネ遺伝学・分子生物学ワークショップ2024 が開催されました!

July 9, 2024 2:00 PM

Category:レポート, 学会での企画

main:井澤班, 津田班

2024年74()5日(金)、東京大学弥生講堂にて領域共催ワークショップ「イネ遺伝学・分子生物学ワークショップ2024」が開催されました。

オーガナイザーは計画研究班の井澤毅教授と伊藤純一准教授(東京大学大学院農学生命科学研究科)です。本領域からはオーガナイザーの井澤先生や公募研究班の津田先生(遺伝研)も登壇し、最新の研究成果についてご講演されました。

ゲノム情報を活用したイネ育種に関するご講演や、学生、若手研究者からも興味深い研究成果が発表され、活発な議論が交わされました。優秀な発表を行った学生及び若手研究者の方々には優秀発表賞も授与されました。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

★当日のプログラムはこちら→ イネ遺伝学分子生物学WS24プログラムfinal.pdf

ワークショップ写真1.jpg

イチジクの雄株・雌株を決める遺伝子の探索 ~食用となる雌株選抜の効率化~

July 4, 2024 9:09 PM

Category:論文発表

main:白澤班

イチジクは、一つの木に雌花しかつかないか、雄花と雌花の両方がつく特徴を持っています(雌性両性異株)。「無花果」と書くように、見た目には花が咲かずに果実ができているように見えますが、私たちが普段食用にしている部分は、小さな花がたくさん集まった花嚢(かのう)と呼ばれる部分が膨らんでできた果実で、すべて雌花をつける株からとれたものです。雌花をつける株でなければ食用にできないので、育種の過程では雌株を選抜する必要があり、花の性別を決定する遺伝子の特定が求められています。

かずさDNA研究所は、福岡県農林業総合試験場、農研機構、遺伝学研究所、セルイノベータ株式会社、九州大学と共同で、性決定に関連する遺伝子座を特定するために、雌系統「蓬莱柿」と雄系統「カプリフィグ6085」のゲノム配列を解読しました。雌系統と雄系統の間で異なる遺伝子型を比較し、遺伝子型と株の性別の違いに関連する表現型が一致する遺伝子の場所を調査した結果、FcRAN1遺伝子とFcAG遺伝子が性決定に関与している可能性が示されました。今後、雌株の選抜が効率化され新しい品種の開発につながることが期待されます。

イチジク写真.jpg

研究成果は、2024年7月3日に国際学術雑誌「Scientia Horticulturae」にオンライン公開されました。

本研究の成果は、JSPS科研費(26850025、16H04878、16H06279 [PAGS]、19H02952、 22H05181)および(公財)かずさDNA研究所の研究助成を受けたものです。

論文タイトル:Genome-wide association studies using chromosome-scale genomes of male and female lines redefines two sex-linked loci in linkage disequilibrium in Ficus carica L.
著者:Hidetoshi Ikegami, Kenta Shirasawa, Hiroshi Yakushiji, Atsushi Toyoda, Takeshi Hayashi, Shiori Yabe, Kazuki Mori, Chiharu Hirata, Hitoshi Nogata, Kosuke Tashiro
掲載誌:Scientia Horticulturae
DOI:10.1016/j.scienta.2024.113424

詳しくは、かずさDNA研究所のニュースをご覧ください。

植物の異常成長を引き起こすウイロイド病の発症リスクを予測するアルゴリズムを開発(清水班)

July 4, 2024 10:48 AM

Category:論文発表

main:清水班

農業・食品産業技術総合研究機構の孫建強主任研究員らが、植物の異常成長を引き起こすウイロイド病の発症リスクを予測するアルゴリズムを開発しました。従来、ウイロイドの発病リスクを評価するには、数ヶ月にわたる栽培実験を必要でした。これに対し、本研究で開発した手法を利用すると、コンピュータ計算だけでウイロイドの発病リスクを評価できるようになります。

ウイロイドに感染した植物は、無症状から致死症状まで、幅広い症状を示します。また、ウイロイドに感染した植物に対し有効な薬剤はなく、一度感染すると、感染植物を全て廃棄処分しなければならず、莫大な経済的損失に繋がります。

効果的なウイロイドの防除は、ウイロイドの発病リスクや無症状感染による潜伏リスクを事前に把握できるかどうかにかかっています。従来、このようなリスク評価を行うには、隔離施設においてウイロイドを宿主植物に接種し、数ヶ月間の栽培を経て、発病の有無などの外観を観察して評価する必要がありました。また、ウイロイドが宿主植物によって現れる症状が異なるため、リスク評価を行うには多くのウイロイドと宿所植物の組み合わせで接種実験を行わなければなりません。要する時間および場所について膨大なコストを要します。

これに対して、本研究では、核酸データベースで公開されているウイロイドと宿主植物のゲノム情報を利用し、コンピュータ計算のみで、ウイロイドの病原性を予測するできるようになります。この予測結果を利用すれば、接種実験なしで、あるいは少数回の接種実験だけで、多くのウイロイドの病原性を一度に評価できるようになります。今後のウイロイドの発病リスクの予測や感染時の被害予測などウイロイドの被害低減に貢献することが期待されます。

本研究成果は、国際科学雑誌 Molecular Plant Pathology に掲載されました(2024年7月2日)。

◾️ 論文情報
タイトル:Predicting symptom severity in PSTVd-infected tomato plants using the PSTVd genome sequence
著者:Jianqiang Sun, Yosuke Matsushita
掲載雑誌: Molecular Plant Pathology
DOI: https://doi.org/10.1111/mpp.13469

茎の節と節間が生じるしくみを解明 ~植物科学の未踏の地「茎の発生学」に挑む~

June 14, 2024 2:13 AM

Category:プレスリリース, メディア報道, 論文発表

main:津田班

「節」と「節間」の繰り返しからなる茎は植物の主要器官の一つです。節は葉や根系を繋いで養水分の交換をおこないます。一方、節間は光獲得や花粉や種子の散布のため、葉や花を押し上げます。また節間は作物の背丈を決定し収穫効率を左右します。このように、植物学・育種学の両面から重要な茎ですが、茎の発生メカニズムは主要器官の中で唯一研究が進んできませんでした。これは、多くの種で節と節間の区別が不明瞭で、形態的特徴に乏しいことが理由として挙げられます。

公募研究班の津田勝利助教らの研究グループは、節と節間の区別が明瞭なイネの茎に着目し、茎の基本パターンが損なわれた矮性変異体を解析することで、茎の発生メカニズムの解明に挑みました。その結果、

  1. 節は、葉の発生プログラムが茎に介入することで生まれること、
  2. この葉の発生プログラムの介入を茎頂の発生プログラムが適度に制限することで節間が生まれること、
  3. これらのメカニズムは、3次元的な軸構造しか持っていなかった種子植物の祖先が葉を獲得する過程で生じた可能性が高いこと、

を見出しました(図)。

本研究は、植物発生学における最後の砦とも言える茎の基本発生プログラムとその進化過程を明らかにしました。本成果によって、茎の発生学がさらに展開し、農作物の茎形質の改良につながることが期待されます。本研究成果は、国際科学雑誌「Science」に 2024 年 6 月 14 日(日本時間)に掲載されました。

図.png

詳しくは、国立遺伝学研究所のプレスリリースをご覧ください。

https://www.nig.ac.jp/nig/ja/2024/06/research-highlights_ja/pr20240614.html

【論文タイトル】

YABBY and diverged KNOX1 genes shape nodes and internodes in the stem.

【著者】

Katsutoshi Tsuda*, Akiteru Maeno, Ayako Otake, Kae Kato, Wakana Tanaka, Ken-Ichiro Hibara, and Ken-Ichi Nonomura

【掲載誌】

Science

DOI:10.1126/science.adn6748

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