研究経過

【レポート】学会参加報告(The Plant & Animal Genome Conference:Pag30)とUC Davisへの訪問2

March 9, 2023 11:58 AM

Category:レポート

main:赤木班

2023110日から18日にかけてカリフォルニア大学デービス校への訪問および、サンディエゴで開催されたThe Plant & Animal Genome Conferenceへ参加しました。

The Plant & Animal Genome Conferenceでは六倍体カキ品種群における集団遺伝学的解析についてポスター発表を行い、六倍体栽培ガキの果実形状多様性の系統特異的な進化について、参加者と議論を行いました。また、本大会のプログラムを通して、様々な講演やポスター発表、ワークショップに参加し、最先端の研究に触れることが出来ました。特に果樹作物や倍数体ゲノム解析のワークショップでは自分と近い分野の研究動向について知ることができ、とても勉強になりました。国際学会への参加は今回が初めてだったため、非常に貴重な経験をすることが出来ました。この経験を今後の研究活動に活かしていきたいと思っています。

出張および学会参加に関する費用は学術変革領域研究(A)の総括班からサポートしていただきました。誠にありがとうございました。

 

堀内 綾乃

岡山大学大学院 環境生命科学研究科(赤木班)

 

PAGでのポスター発表_堀内綾乃.JPG

【プレスリリース】キウイフルーツのゲノム解読が「性染色体進化の定説」を覆す(赤木班、白澤班)

March 7, 2023 9:00 AM

Category:プレスリリース, 論文発表

main:白澤班, 赤木班

このたび岡山大学学術研究院環境生命科学学域(農)の赤木剛士 研究教授、ならびにかずさDNA研究所の白澤健太 主任研究員らの研究グループは、様々なキウイフルーツの全ゲノム配列を解読し、進化の過程でキウイフルーツが何度も新しいY染色体を重複して生み出しており、これには従来の定説を覆す新しい進化メカニズムが関与している可能性があることを提唱しました。

「性別」は性染色体によって決定しており、例えば私たちヒトを含む哺乳類ではY染色体を持つものがオスになります。Y染色体は対となるX染色体と全く異なる構造をしており、これは「オスらしさ」を作り出すようY染色体が進化するためであるというのが従来の定説でした。一方、植物も哺乳類と同様にXY型の性別を持つ種が多く、100年前に植物で初めてのY染色体が発見されましたが、その進化過程は長年謎に包まれていました。

キウイフルーツのオスは花が多い・花が早く咲くといった「オスらしさ(オスに有利な特徴)」を有していますが、本研究では、この特徴が従来の説のようにY染色体が作られる過程で生み出されたものではなく、性別決定遺伝子そのものが本来持つ機能であることを明らかにしました。これは、植物における性染色体の進化過程やその役割を世界で初めて明らかにしたものであると同時に、作物の性表現に関わる重要な知見として、食物の安定的生産や新しい育種を可能にする技術に発展していくと期待できます。

本研究成果は、英国の科学雑誌「Nature Plants」に掲載されました。

*本研究は、香川大学農学部、ニュージーランドPlant & Food Research研究所、カリフォルニア大学デービス校、エディンバラ大学との共同研究として行われました。

図1.png

1:キウイフルーツ(マタタビ属)は新しいY染色体の成立進化を繰り返す

 

 

◆詳細はこちら(岡山大学プレスリリース)

https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1056.html

 

<発表論文>

Recurrent neo-sex chromosome evolution in kiwifruit., Takashi Akagi*, Erika Varkonyi-Gasic, Kenta Shirasawa, Andrew Catanach, Isabelle M. Henry, Daniel Mertten, Paul Datson, Kanae Masuda, Naoko Fujita, Eriko Kuwada, Koichiro Ushijima, Kenji Beppu, Andrew C. Allan, Deborah Charlesworth, Ikuo Kataoka, Nature Plants, DOI: 10.1038/s41477-023-01361-9  

【レポート】学会参加報告(The Plant & Animal Genome Conference:Pag30)とUC Davisへの訪問

March 6, 2023 11:10 AM

Category:レポート

main:赤木班

2023110日から18日にかけてカリフォルニア大学デービス校にてProf. Luca ComaiDr. Isabelle M. Henryとの打ち合わせおよび、サンディエゴで開催されたThe Plant & Animal Genome Conferenceへ参加しました。

カルフォルニア大学での打ち合わせでは、性決定とゲノム進化の関係を明らかにする新規的手法展開について議論を重ねることができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。

The Plant & Animal Genome Conferenceでは、深層学習 (AI) をゲノム配列に適用することで全遺伝子のcis領域から遺伝子発現を予測し、その鍵となるcis因子およびそれと結合する転写因子群を網羅的に明らかにする技術についてポスター発表を行いました。多くの参加者と議論をすることができました。さらに、口頭発表やポスター発表、ワークショップを通じて、ゲノム解析技術・研究の最先端を学ぶことができました。今回の出張での経験を今後の研究活動に活かしていきたいです。

打ち合わせおよび学会参加に関する費用は学術変革領域研究(A)の総括班からのサポートをいただきました。誠にありがとうございました。

 

桒田恵理子

岡山大学大学院 環境生命科学研究科(赤木班)

 

ポスター発表での議論.JPGDavisでの打ち合わせ.jpg

清水班のメンバーとの会食の様子.JPG

【学会レポート】Cold Spring Harbar Asia Symposium "Integrative Epigenetics in Plants"

March 1, 2023 11:17 AM

Category:レポート

main:奥田班

2022年12月12日から15日にかけて、Cold Spring Harbar Asia Symposium "Integrative Epigenetics in Plants"が兵庫県立淡路夢舞台国際会議場にて開催されました。

植物エピジェネティクス分野の最前線で活躍されている研究者の方々のご講演や、多くの学生やポスドク研究者が参加・発表したポスターセッションを通じて、活発な議論が行われました。本会議を通じて、植物エピジェネティクス分野の最先端の研究について学ぶことができ、また、ディスカッションや交流を通じて有意義な時間を過ごすことができました。本会議での経験をぜひ今後の自身の研究展開に活かしていきたいです。

戸田絵梨香
東京大学・発生細胞生物学研究室(奥田班)

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【プレスリリース】ボルネオ熱帯多雨林の一斉開花現象を世界で初めて衛星観測により広範囲にとらえた(清水班)

February 14, 2023 3:23 PM

Category:プレスリリース, 論文発表

main:清水班

 計画研究・清水健太郎教授(チューリッヒ大学・横浜市立大学 客員教授兼任)は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と、米国ハワイ大学マノア校、宮崎大学、マレーシア国サラワク森林局、高知大学との国際共同研究チームで、光学センサーが搭載された高頻度高解像度衛星PlanetScope により観測された分光データを用いて、東南アジア熱帯域特有の開花現象「一斉開花」を広域的にとらえることに世界で初めて成功しました。

 一斉開花現象を含む熱帯域の植物季節は、光合成や蒸発散を介した気候システムや生物多様性の理解を深めるために重要な観測項目のひとつです。しかしながら、既存の衛星観測では、センサーの精度や観測頻度が不十分であったため、これまで一斉開花現象は、観測タワーやクレーンにおける目視観測やタイムラプスカメラを用いた定点撮影により限定的にとらえられてきました。このため、種ごとの開花季節の特徴や種間の同調性についての空間分布の動態を広域的に評価することができませんでした。

 本研究では、現地における長期的な地上観測データを用いた検証に基づいて、PlanetScope衛星により観測された分光データは、ボルネオのランビルヒルズ国立公園内(マレーシア国サラワク州)で2019年に広域的に生じた一斉開花現象の空間分布の特徴をほぼ個体レベルでとらえたことを明らかにしました。この成果は、既存研究において不十分であった熱帯多雨林を対象とした植物季節観測の高精度化、光合成や蒸発散など植生機能の理解の深化、さらには樹種判別の高精度化や開花季節の同調性のメカニズムの理解の深化を促進することが期待されます。

 本成果は「Ecological Research」誌に2月8日付け(日本時間)で掲載されました。

20230207shimizu0102.jpg

図 マレーシア国サラワク州に位置するランビルヒルズ国立公園の位置(左図)と公園内の様子(右図)。
樹冠の上部にアクセス可能なクレーン(約90 m)がみられる。クレーンに吊り下げたゴンドラの中から撮影した。撮影者:徳本雄史(2019年5月3日)
(出典:プレスリリース資料)

<発表論文>
Utility of Commercial High Resolution Satellite Imagery for Monitoring General Flowering in Sarawak, Borneo
Tomoaki Miura, Yuji Tokumoto, Shin Nagai, Kentaro K, Shimizu, Runi anak Sylvester Punnga and Tomoaki Ichie
Ecological Research, DOI: 10.1111/1440-1703.12382

 

◆詳細は以下をご覧ください。

横浜市立大学プレスリリース

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