研究経過

「現在進行中の進化を野外で研究する」Natureダイジェストに掲載されました(清水班)

September 8, 2025 9:06 AM

Category:メディア報道

main:清水班

計画研究班の横浜市立大学木原生物学研究所 清水健太郎客員教授(チューリッヒ大学 進化生物・環境学研究所長・教授兼任)の研究がNatureダイジェストのJapanese Authorシリーズに掲載されました。ゲノム重複による進化、自殖の進化、ダーウィンの仮説の検証、そしてまた異分野間研究の面白さなどについて紹介されています。

 

くわしくはこちらをご覧ください。

Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 9DOI: 10.1038/ndigest.2025.250941

 

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Credit: Reiko Akiyama

 

イネの開花を操る遺伝子の"遠隔操作スイッチ"を発見――ゲノム編集技術で28 kb離れた制御領域を特定――(井澤班)

August 19, 2025 11:11 AM

Category:論文発表

main:井澤班

 当領域代表・東京大学大学院農学生命科学研究科の井澤毅教授らの研究グループは、農研機構の小郷裕子博士らとの共同研究により、イネの開花時期を制御する重要な遺伝子Ghd7(注1)の転写に必要となる「遠隔操作スイッチ」のDNA領域(シス制御領域;注2)を特定しました。これは、遺伝子本体から約28 kb(キロベース)も離れた位置にある、わずか228塩基対の領域です。
 本研究では、CRISPR/Cas9によるゲノム編集技術(注3)を用いて、Ghd7の上流の65 kbにわたる広いDNA領域をスキャンするように欠失させ、どの部分がGhd7の働きを制御しているかを調べました。その結果、この228塩基対の領域が朝の光に反応してGhd7のスイッチを入れ、イネの開花を遅らせる働きを持つことが明らかになりました。
 今回の発見は、植物の遺伝子発現が遠く離れた領域によってコントロールされることを遺伝学的に証明した、世界的にも稀有な成果です。この仕組みを応用して、イネの開花期のより精密な調整が可能になることが期待されるほか、植物の光応答の仕組みをより詳細に解明する手掛かりになると予想されます。

 

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図1:本研究で作出した上流欠失系統とその開花期の変化

 

◆詳細はこちらをご覧ください>東京大学のHPへ

  

<論文情報>

雑誌名:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)

題 名:A 65-kb Deletion Survey Identifies a Distal Cis-Regulatory Region for Red-Light Induction of Ghd7, a Key Rice Floral Repressor

著者名:Yuko Ogo, Takumi Kawauchi, Manaki Mimura, Ken Naito, Hironori Itoh, and Takeshi Izawa* (*Corresponding author)

DOI:10.1073/pnas.2423119122

URL:https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2423119122

【プレスリリース】アジア在来コムギの黄さび病抵抗性の遺伝的基盤を解明 〜木原博士以来収集された在来品種の育種活用へ〜(清水班)

June 9, 2025 9:21 AM

Category:プレスリリース, 論文発表

main:清水班

横浜市立大学木原生物学研究所 清水健太郎客員教授(チューリッヒ大学 進化生物・環境学研究所長・教授兼任)および京都大学農学研究科 那須田周平教授、国際農林水産業研究センター岸井正浩主任研究員らの研究グループは、高精度のゲノム情報と最新の解析手法を用いて在来品種を中心とするアジアのコムギ交配系統の黄さび病抵抗性(図1)を解析し、特にヒマラヤ山脈南側の地域の在来品種のゲノムに黄さび病抵抗性を司る領域があることを解明しました。この発見により、栽培品種にはない遺伝的多様性を持つアジアの在来品種の有用性が示されました。本研究で得られた知見を育種に応用することで、気候変動下においても病害に強いコムギの作出が可能となり、食料の安定供給に貢献できるものと期待されます。

本研究成果は、国際科学誌「Theoretical and Applied Genetics誌」に掲載されました(日本時間2025年6月5日14時)。

 

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図1 コムギ黄さび病の症状。左の写真(Katharina Jung提供):感染程度の低い系統(左)と高い系統(右)の寄せ植え。右の写真(岸井正浩提供):感染程度の異なる葉の例。下方の葉ほど感染程度が高い。

 

◆詳細はこちらをご覧ください

横浜市立大学のHPへ

日本経済新聞の記事へ

 

<論文情報>

タイトル: Unveiling yellow rust resistance in the near-Himalayan region: Insights from a nested association mapping study

著者: Katharina Jung, Reiko Akiyama, Jilu Nie, Miyuki Nitta, Naoto-Benjamin Hamaya, Naeela Qureshi, Sridhar Bhavani, Thomas Wicker, Beat Keller, Masahiro Kishii, Shuhei Nasuda, Kentaro K. Shimizu

掲載雑誌: Theoretical and Applied Genetics
DOI: 10.1007/s00122-025-04886-z

【プレスリリース】卵子は精子を食べて受精を成立させる -食作用に類似する受精様式を発見-(齋藤班)

April 24, 2025 11:33 AM

Category:プレスリリース, 論文発表

main:齋藤班

公募研究班・静岡大学農学部の齋藤貴子 助教、福島県立医科大学の井上直和 主任教授、和田郁夫 名誉教授の研究グループは、共焦点顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いた様々なイメージング技術を駆使し、さらに多数の遺伝子改変マウスや培養細胞を活用して、精子と卵子の接着の瞬間から融合までの仕組みを解き明かしました。
本研究では、精子が卵子に接着すると卵子の微絨毛が精子頭部に集合してラメリポディア様の「Oocyte tentacle」を形成することを発見しました。
さらに、複数の融合因子が協調して卵子が精子を食べるかのような「SEAL」 を惹起し、受精が成立することを示しました。
また、SEAL形成後にはJUNOが消失し、多精子受精を防いでいることも示唆されました。

なお、本研究成果は、2025年4月22日に、Cell Pressの発行する国際雑誌「Cell Reports」に掲載されました。また、本論文は掲載号の表紙に採用されました。

 

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◆詳細はこちらをご覧ください。> 静岡大学のHPへ

 

【論文情報】

掲載誌名:Cell Reports

論文タイトル:Noncanonical phagocytosis-like SEAL establishes mammalian fertilization

著者:Naokazu Inoue, Takako Saito, Ikuo Wada

DOI:10.1016/j.celrep.2025.115463

本領域のメンバーが令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「若手科学者賞」を受賞しました(元村班)

April 21, 2025 1:33 PM

Category:受賞

main:元村班

公募研究班の元村一基准教授(立命館大学)が令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「若手科学者賞」を受賞し、令和7年4月15日に授賞式が執り行われました。

おめでとうございます!

 

■くわしくは、こちらをご覧ください。

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