7月23日はちょうど秋田県豪雨災害から一年だった。一級河川の氾濫や土砂災害などがあったものの死者はゼロ人だった。その背景にとても早い段階で避難勧告・避難指示を出していたことがある。しかし、よく調べてみると逃げる時間が十分にあったにもかかわらず、避難している人は全体の3割だったという。これが、久利美和さんの言っていた災害に対する認知の低さだと感じる。つまり、秋田県民は災害に対する危機意識が低いことになる。
全国ではどうなのか。NHKの調査によると豪雨災害においてテレビやラジオなどによる言葉や文字の情報によって避難する人は少ない。避難する人のほとんどが身の危険を感じてからまた、実際に土砂災害が起きてから自主避難をするという。それでは避難する時間が短く、逆に危険を誘発にすることになる。全国的に見ても災害に対する意識は低いと感じる。それは、国民が身の危険を感じる災害を体験していないからだと思う。このままだと、何年たっても同じような事態を招くことになる。つまり、無理やりにでも災害への認知度を上げる必要がある。私は認知度を上げるというのは、災害に対する危機意識を高めることと同等の意味があると思う。とにかく災害を知ってもらうことが必要だ。
噴火でも同じことがいえると思う。噴火は突発的なものであるため豪雨災害とは異なった形態の災害ではあるが、認知度を上げることで被害を抑えることが出来るだろう。認知度を上げるには具体的にどのようなことをするべきなのか。私は2つの考えがある。
1つ目は、災害についてもっと深く知ってもらうために、学校教育に取り入れることが必要だと考える。実際に行われているが、それでは内容が薄い。噴火・豪雨・地震や最近話題になっている猛暑などを含めた災害を教えることが必要だ。教師の教え方や生徒の取り組み方に一工夫した方がいいだろう。従来は、内容を一通り教えてからテストをして終わりだったと思う。しかし、内容を教えた後に生徒同士で話し合う場を設けることでさらに災害について深めることが出来る。噴火や地震が起きてしまったときどのような行動をするべきか、普段からどのような防災対策が出来るかについてなど、様々なテーマで話し合いをしてほしい。理由は、最近は国や地方自治体が出しているマニュアルなどに沿って避難をしている。しかしそれでは、イレギュラーな事態が発生したとき対応するのが難しい。話し合いをすることによって、災害が起きた時でも柔軟な考えで臨機応変に対応が出来ると思うからだ。
2つ目はいい意味で災害を社会に取り入れていくことだ。災害をいいものだと思う人は誰もいないだろう。よって、災害について学ぶとき気分がよいという人も少ないと思う。それは、災害が死傷者や大きな被害を出していて悪いイメージがあるからだと思う。極論かもしれないが、こういう考え方はないだろうか。「災害について正しく学べば、死傷者を無くし、被害も最小限に抑えることが出来るから楽しく過ごせます。だから、皆で楽しい生活を送るために楽しく災害を知っていきましょう。」という考えだ。その考え方のもと災害というものをポジティブに捉えテレビなどを通して災害を広めていくことはできないだろうか。また、私はゲームなどでも災害を取り入れることが可能だと思う。ゲームの一つに日本ボードゲーム大賞を受賞した「キャット&チョコレート」がある。日常のピンチをアイテムと発想で解決するというものだ。これの災害版は作れないだろうか。災害が起きたときアイテムを使い状況を考え自分の発想で困難を解決するというルールで。そこで、考えた方法が現実的でなくとも災害を知ってもらう上で貴重な場となるのではないか。このような方法を通して国民に災害について興味を持ってもらい認知度を上げることで被害を最小限に抑えることが出来ると考える。
また、実際に噴火や地震が起こった時臨機応変な行動を促すようなメールなどを送ることも大切になると思う。「噴火が起きました。安全な家屋に避難してください。あなたの場所から安全な家屋までの経路は、、、」とメールが来たとする。近い場所にあればいいが、もし3㎞離れていたとしたら逃げているうちに噴石に巻き込まれて亡くなってしまうかもしれない。そういうときのために「安全な家屋が遠い場所にあったり、視界が悪くなったりした場合は岩陰で噴石を避けてください。岩もない場合は、頭を守りできるだけ物陰に避難してください。」などとメールで促す必要があると思う。災害には柔軟な考えが必要だ。
秋田県豪雨災害や久利美和さんの講演を通して災害に対する自分の考えが深まってきていると感じる。日本は世界でも有数の災害大国だ。だから、今日起きるかもしれない災害のために自分の危機意識を高め、臨機応変な対応をしていきたい。
秋田県立秋田南高等学校1年
前川 恵吾
投稿者:秋田県立秋田南高等学校 |個別ページ