研修概要は、 「レアメタルのリサイクル」携帯電話からの貴金属のリサイクル
携帯電話やパソコンなどの電子機器類には、レアメタルを含むさまざまな非鉄金属が使われており、これらの使用済み物質は貴重な資源であり、私たちの住む「都市」は膨大な有価金属が眠っている「鉱山」すなわち、「都市鉱山(urban- mine)」とみることができます。資源の乏しい日本は、これら有価金属のほとんどを海外からの輸入に依存しており、その一方で、資源を新たに採取・輸入するのではなく、身近にあるこれらの貴重な資源を繰り返し使っていこうという考え方や取り組みが、2001年の家電リサイクル法施行以降、特に活発になってきました。例えば、携帯電話1トン(携帯電話約1万台分)から回収可能とされる金は、約280グラムとも言われており、これは通常の金鉱石に含まれる金含有量(3グラム/トン)よりも遥かに多い値です。また、地球温暖化防止の観点から、再利用・再資源化を推進することでCO2の排出を抑制できると考えられます。このプログラムでは、使用済み携帯電話のプリント基板から金、銀を採り出すことの基本原理および操作を講義・実験を通して学びます。
第1回目はガイダンスと講義、それから実習開始で、携帯電話スクラップを融解させて濃縮スラグを作成しているところです。この中に金や銀がはいっていますが、どれだけはいっているかはお楽しみ。

写真1:携帯電話スクラップに薬剤を加えて高温電気炉内1000℃程度に加熱して融解反応させているところです。
写真は放射温度計と光高温計を用いて温度測定を行っている様子です。


写真2と3:携帯電話スクラップ中に含まれている金、銀などの貴金属は融解反応によって生成した金属鉛相と酸化物混合物のスラグ相の2相に分かれるわけですが、貴金属が捕集された金属鉛をハンマーを用いてたたいて整形し、不要な不純物が濃縮したスラグを分離している様子です。
この中に集まった金、銀を2回目にさらに反応させて金銀合金を作製し、次いで金と銀を分離して輝く金を得る予定です。
さて、どのくらいの金が得られるでしょうか。