東北大学・飛翔型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

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平成22年度活動ブログ

平成22年度活動ブログ養成講座の活動を記録しています。

2010年7月の記事一覧

2010.07.30

宮城第一高校の岩淵さんへ

医学系研究科の堀井です。

岩淵さん、とても良い質問をしてくれて、ありがとう。同じような疑問を持っている学生諸君も多かったのではないかと思います。

 

 遺伝子変異を積み重ねてがんになりますので、あなたの考えている通り、年齢が上がるほど、がんを発症する確率は高くなります。6月12日の授業で、ハンドアウトには入れていませんが、東北大のOBで、岐阜大学の学長もされていた黒木登志夫先生からいただいたスライドで「加齢が最大のリスク要因 (歳にはかてぬ)」と示しました。 Slide54.pdf  また、フランスのリヨンと言うところにInternational Agency for Research on CancerというWHOの研究所(略称でIARC)がありますが、そこで1987年にC. Muirさんたちがまとめたデータが発表されています。 ここで、Molecular Biology of the Cellという教科書(世界中の多くの学生が使っている)に紹介されているC. Muirさんたちの結果を示します。 figure 20-07.pdf  年齢が上がれば上がるほど、がんを発症する確率は高くなることが示されています。次に、カーブが立ち上がってくる年齢をみてください。「働き盛り」の年代です。この年代を「いわゆる がん年齢」と呼びましょう。そして、それ以外の疾患の頻度が立ち上がってくる年代より早いため、働き盛りの死亡原因として大きな比重を占めるようになると考えられます。なお、ハンドアウトに入れた図をこの後で2枚加えます。 Slide52.pdf  Slide53.pdf  3大疾患では、がんが一番小さい「a」の値をとります(傾きが小さい)。病気を発症し、亡くなる、という過程で関わっている因子の数が、脳血管障害や急性心筋梗塞よりも少ないために、年齢が若いうちにカーブが立ち上がってくるのかもしれません。このように考えると、「働き盛りにおけるがん死の頻度は高い」と言えます。しかし、ここで言う「頻度」は「相対的頻度」であって、絶対数的には、高齢の人たちよりもずっと少ない数になります。

 

 「遺伝子変異がおこる一番の要因は何であると考えられますか」という質問に正確に答えるのは難しいです。授業では、遺伝子がコピーされる時に生じる間違いの話を出しました。これも、間違いを起こしやすい配列と言うものもあります。また、授業では話していませんが、DNAは、しばしば修飾を受けます。これが遺伝子変異をおこしやすくする原因になることもあります。このほかに重要な要因として、DNAに損傷を与えるような刺激があります。放射線、紫外線、化学物質など、様々です。「発がん性物質」という言葉を聞いたことがあると思います。そして、組織によって、どんな刺激がおよびやすいかも違います。例えば、「紫外線に当たりやすいのはどこ?」とか、「焦げたものを食べると、どの組織が影響を受けやすいか?」などと考えてみてください。答えは「皮膚」とか「消化管」となるでしょう。がんが発生した臓器によって、どんな変異がどのくらいの頻度で見られるかの違いも多数報告されています。例えば、TP53というがん抑制遺伝子の異常は非常に多くの組織のがんで見られますが、食道がんと肝臓がんでは異常の起きている場所に大きな違いがあります。これらは、遺伝子変異をおこす原因が違うためと考えられます。

 

 講義では、短時間に沢山のことを話しました。私の言葉が足りず、多くの学生諸君が岩淵さんと同じような疑問を持ったことと思います。上記のような説明で納得してくれますか?もしさらに質問があれば、またどうぞ。

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2010.07.30

がんは遺伝子の病気・・・について

こんにちは。宮城第一高校2年の岩淵です。家でインターネットができなかったもので遅くなってしまったのですが、6月に行われた「がんは遺伝子の病気である」について少し質問があります。資料に、働き盛りにおけるがん死の頻度は高いとかいてあったのですが、なぜ働き盛りなのでしょうか。私は細胞分裂のミスによって、遺伝子変異が生じ、がんが発生すると思っていて、そうすると歳をとればとるほど細胞分裂がミスする確率も高くなり、そしてがんになる確率も高くなると考えられるのですがそこらへんはどうなのでしょうか。また遺伝子変異がおこる一番の要因は何であると考えられますか。

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2010.07.23

8月2日まであと約1週間

 科学者の卵のみなさんこんにちは。もう夏休みに入ったのでしょうか?

 

 暑い日が続きますね。宮城県は30℃越えの日が続いています。高校はクーラーがないところも多いでしょうから,部活とか夏休みの課外とか,汗をかきかき頑張っているのでしょうね。水分をしっかりとって,熱中症には注意してくださいね。

 

CIMG4277.JPG 

 

 ところで,8月2日(月)の「第3回 科学者の卵養成講座」まであと約1週間です。

 

 今回は,東北大学サイクロトロン・RIセンターの見学と図書館情報検索実習。

集合は青葉山キャンパスの理学部総合棟303号室です。

パンフレットはこちらからダウンロードしていただけます。

 お楽しみに!!

 

 

ちば

 

CIMG4283.JPG

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