東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

平成28年度 活動ブログ

平成28年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2017.05.27

第一回講義を終えて

こんばんは。県立前橋高校三年の山田桂一です。

本日は第8期生の代表として平成29年度の第一回講義で海外研修報告をして参りました。第9期生の皆さん、第一回講義はいかがでしたか?きっと刺激の多い1日を過ごしたことだろうと思います。

さて、私は一年前にも同じタイトルで記事を書いたのですが、記憶を遡ってみると1年とは短いもので、昨年のことを未だにはっきりと覚えています。

前橋高校から参加していたのは私1人で、私は第一回講義の日は周りに知り合いが1人もおらず非常に緊張していました。
ひとたび始まると、まず簡潔で非常にわかりやすく且つ堂々としていた一昨年度の受講生の方々の発表に大きな衝撃を受けました。そして、私は一昨年度の受講生の方々の姿に憧れを抱きました。その場にまさか一年後の私が立つことになるとはその時はゆめゆめ思いもせず......。
そして、渡辺先生の自家不和合性の講義。非常に勢いのある話に引き込まれました。渡辺先生が投げかける質問に果敢に回答していく周りの受講生の姿にも大きな感銘を受けました。
自分の高校内だけで完結し満足してしまっていた自分を恥じるとともに、「この一年間を最大限自分のものにしてやるぞ」と火がつきました。

それから一年、私が興味を抱いていた生物系の講義だけでなく、疎遠だった物理系の内容の講義も受けました。生物が好きで生物を選択しているからそれだけ知っていればいいや」といった気になっていましたが、どの講義も非常に興味深い内容で、興味・関心が広がりました。英語や生命倫理についての講義もありました。
ここでできた友人たちの研究活動の話も、必ずしも私の興味と一致していたわけではありませんでしたが、同期の友人たちのレベルの高い活動に刺激を受けていました。このことも視野を広げることに繋がったように感じています。
科学者の卵養成講座では素晴らしい出会いが待っています。同期の友人たちと意見を交わしたり、海外研修のレポートや活動ブログへの書き込みを読んだりした中で、自分の考えの甘さや至らなさを痛感したことが多々ありました。レポートの内容に先生方・メンターの方がつけてくださったコメントを読み、それらを痛感したことも当然ながらありました。こうしてこの一年、私の考え方は磨かれてきたように感じます。

発展コースにも選抜していただき、研究活動とは無縁の生活を日頃営んでいる私にとっては、最先端の研究をされている先生の研究室で学ばせていただき、科学者というものに近く触れる貴重な経験でした。
学校で研究活動を行なっているといった特別なキャリアがなくても選抜していただけるほど、科学者の卵養成講座は門を広く開いています。このことはこの講座の大きな魅力の一つなのではないかと私は感じています。

さらに、本日の報告会でも話したように、私は海外研修にも選抜していただきました。海外研修では、初海外渡航ということもあって挫折もあり辛かった思い出もありますが、帰国後しばらく経ってから、研修で無意識のうちに得ていたものの大きさに気付かされることがしばしばありました。また、冷静になって海外研修を振り返り、ただ選ばれて、学んで、それだけで終わりにしてはいけないと強く感じました。学んだことは活用し、発展させなければ意味がありません。

選抜していただいたことは大きな自信に繋がったのですが、その根底にあったのは一昨年度の受講生の方の発表の中にもあった、レポートにはわからなくてもとにかく書くことや、英語サロンでは文法や語彙の拙さを補うくらいの積極性をもって交流をすること、日常の中から些細な「違い」を見出すこと、などを意識していたことだと思っています。
自分の考えを文章にすることや、日々の生活の中で素朴な「なぜ」を科学的に考えることは、科学者の卵としての一年目の活動を終えた今でも続けるように心がけています。決して簡単なことではありませんが、昨年に得られたものを活用し、発展させることはきっと将来の私に有益なことであると考えています。
私はまだ一年間の科学者の卵養成講座を終えただけで、これは何の終着点でもなく、慢心してはいいはずがありません。常に上を見続け、その場で出来ること・取り組みたいことに挑戦していこうと思っています。

ここまで、備忘録的に昨年度のことを書き綴ってきました。

最後に、第9期受講生の皆さんへ。

本日の我々の発表に感銘を受けてくれた方も中にはいるのではないでしょうか。しかし、みなさんがこの1年を終える頃には、本日我々が話したことは手に取るようにわかるようになっていることでしょう。
皆さんが選抜された研究基礎コースでは学べることが非常に多くあります。研究発展コースや海外研修に選抜されることは非常に大きな自信になりますし、その結果非常に有意義な経験をできます。
しかし、そこに選ばれることに捉われすぎずに毎月の基礎コースに真摯に臨んでみてください。

・毎月のレポートには自由な発想でとにかく書き込むこと
英語サロンではたとえ英語が苦手でも文法や語彙力の拙さに萎縮せずに留学生の方々と楽しんで話してみること
始まる前や講義の合間には周囲にいる他校の人たちと科学の話をしてみること
・講義を受けて考えたことを活動ブログに書くこと

例えば私はこんなことを意識していました。活動ブログに毎回記事を投稿することは非常にオススメです。講義の復習に、科学的な思考力・文章力の向上に、と全て同時にできてしまいます。一年間継続することは大変かもしれませんが、続けることに大きな意味があると感じています。もうすでに投稿している方もいますが、それを根気よく最後まで続けてみてください。
まずは周りの受講生や未知の学問分野など、対面する相手に興味を持ってみてください。自然と次の行動につながるはずです。皆さんは、選ばれて科学者の卵という素晴らしい環境を与えられました。その中でいかに楽しみ、いかに学び、いかに自分に吸収できるか、全てはみなさん次第であると思います。
「楽しい」と思えることがあったなら、それはきっと、あなたたちが飛翔するための大きな原動力になります。それはこの講座のことかもしれません。そんなものを、丁寧に、大切に温めてあげてください。そうすればきっとあなたたちの未来は変わってきます。そうした先の未来のあなたたちとどこかで出会えることを楽しみにしています。
一年間、頑張ってみてください。応援しています。

投稿者:群馬県立前橋高等学校 |個別ページ

2017.05.11

海外研修で学んだこと

こんにちは。宮城県仙台二華高等学校の森夢果です。遅くなってしまいましたが、海外研修に参加して学んだことを書いていきたいと思います。

研修では現地の高校生との交流を交えながら様々な場所を訪問し、アメリカの文化や歴史について学んだり科学への理解を深めたりしました。活動を通して学んだことは大きく分けて以下の2つです。


① 発信することの大切さ

・会話

はじめは英語という異なる言語で思うように自分の考えていることを伝えることができず、戸惑ってしまい会話の中で受動的になっていました。しかし他の卵のメンバーが積極的に会話を楽しんでいる様子を見て、私も受動的なままではいけないと思い拙い英語で少しずつ話しかけるようにしました。すると私が受動的だった時に比べ、相手はとても会話を楽しんでいるように見えました。大切なことは完璧な英語を話すことではなく、相手と会話したいという気持ちなのだということを実感しました。

・研究発表

研修の中で現地の高校生に向けて発展コースの研究内容を発表させていただく機会がありました。発表準備ではたくさんの方にアドバイスをいただきながら、「いかに何も知らない人に理解してもらえるか」ということに気を付けて原稿やスライドを作成しました。なんとか発表を終え現地の高校生の一人に面白かったと言ってもらえた時は、少しでも内容を理解してもらえたことをとても嬉しく思いました。発表やその準備を通して、人に伝えようとすることで自分が何を考えているのかを明確に把握することができました。発信することは相手だけではなく自分の考えを整理する機会であるということを改めて感じることができました。

② 視野を広げることでみえること

・レポートの公開

研修中は毎日、その日の出来事と学んだことをレポートに書いて先生方やメンターさんに送っていました。研修中盤では先生方の提案により卵のメンバー内でレポートを公開することになりました。他の人のレポートには、みんなで同じことを体験していたにもかかわらず、私とは異なる様々な視点から学んだことが綴られていてとても刺激を受けました。自分が気づかなかったことに気づいていたり、気づいたことについて深く調べて考察していたりと周りのレベルの高さに圧倒されました。それと同時にどういうことに普段から目を向けているのかを学びました。それ以降は些細なことも見逃さないようにして疑問を抱き考えるようにしました。少し心がけるだけで、それまでよりもより多くのものが見えるようになりさらに自然と疑問に思うことが増えていきました。疑問に思ったことを先生や現地の高校生に聞いたり、自力で調べたりして疑問が解決するとさらに科学の面白さに触れた気がしました。

・ディスカッション

ハラダハウスの見学を通して卵のメンバーとどうすれば差別をなくすことができるか、どのようにしてハラダハウスを保存していくかということについてディスカッションをしました。メンバーそれぞれがしっかりと自分の意見を持っていて、私とは異なる意見も説得力がありなるほどと思うことが多くありました。なかなか科学と関連したディスカッションにすることはできませんでしたが、それでも差別についての考えを深めることができたと思います。またその出来事をふまえて、卵のメンバー数人と一緒に現地の高校生とも「科学を使って差別をなくすにはどうしたらよいか」というテーマでディスカッションを試みました。テーマを伝えるだけで1時間ほどかかってしまいましたが、それでも最終的には意見を聞くことができました。なにより私が驚いたのは、テーマを伝える途中でこういうこと?とたくさんの意見やアイデアがすぐにでてきたことです。その発想力の豊かさと、私にはなかった視点にとても刺激を受けました。新しい考え方を知ることはとても楽しく、さらに自分の見ている世界が少し広がる気がしました。

日本へ帰ってきてから1か月以上経った今振り返ると、この大きな2つの学びは確実に今の生活にも繋がっていると感じます。このような素晴らしい機会と仲間に出会うことができて本当に幸せでした。最後に支えてくださった先生方、事務局の方々、メンターの方々、そして一緒に学んだ皆に感謝の気持ちを伝えたいと思います。本当にありがとうございました。

投稿者:宮城県仙台二華高等学校 |個別ページ

2017.04.23

海外研修に参加して学んだこと

 栃木県立栃木高等学校1年の新井駿斗です。
 海外研修に選抜していただき、今でも感謝の気持ちで一杯です。
 長いと思っていた10日はあっという間で、とても内容の濃い10日間でした。
 海外研修の体験および感じた内容を率直にまとめました。

 

 現地到着初日、顔合わせの後、ホストファミリーにショッピングモールを案内してもらいました。そこではアメリカの日常の買い出しの様子を見ることが出来ました。最近は日本にも大型のショッピングモールが出店しています。日本に出店している店、また日本から出店している店も多く、ショッピングモールについては、日本とアメリカが似通ってきているように感じました。

 

 滞在二日目、Bourns Inc.を見学しました。本社はリバーサイドにあり、電子部品を製造しています。日本法人が埼玉県富士見市にもあることを知りました。普段使用している電気製品にもこの会社の部品が使われていることに驚きました。日本人向けに説明してもらえず(かなり早口の英語)、また知らない単語が連続で使われました。私だけでなくほとんどの参加者は理解できなかったと思います。

 

 その後UCR(カリフォルニア大学リバーサイド校)に行きました。日本の大学と比較し、生徒数に対して広大な敷地です。自動車の研究室では、巨大な溶接機やドリルから、ペンチ、ナットなど大きな設備から小さな部品まで揃っていました。やはり印象に残ったのはその敷地の規模です。さすがアメリカだと実感しました。
 帰宅後は、ホストファザーと一緒に自転車で周辺を散策しました。オレンジ畑や公園、自然保護区、それに丘陵など日本では見られないような独特な風景を楽しむことが出来ました。夕食時にはふりかけの話題になりました。ホストファミリーは皆、玄米茶の茶葉をふりかけだと思っていたそうです。日本茶の入れ方を簡単に説明し、実際に飲んでもらいました。苦みのあるお茶でしたが、美味しいと飲んでいたことに驚きました。

 

 滞在三日目、アクティビティとしてグループで街の中心地の散策をしました。グループ構成はSTEM生と卵とメンターでした。イラストや写真から場所を推測して写真を撮るというもので、料理専門学校、ハラダハウス、ホワイトパーク、市役所、レモンストリート、博物館、美術館、そして有名なホテルを見学しました。古い建物や歴史あるホテルが残されて、とても美しい街並みでした。ハラダハウスでは戦前にアメリカに移住した日本人の原田さん一家についての説明を聞きました。日本人だからというだけの理由でアメリカ人に敵だと思われていたのにもかかわらず、アメリカのために尽くす日本人の姿に共感と感動を覚えました。その後、同じグループでデザインチャレンジを行いました。この活動はリバーサイドと仙台を表すオブジェの製作です。STEMの生徒は鯉のぼりや折り鶴を知っていました。他のグループでは漢字を用いたり、箸を飾ったりしていました。日本文化が浸透していることに驚きました。

 

 滞在四日目、STEMワークスでは、書道を担当しました。高校生に加えて中学生も参加していました。中学生には英語の説明がうまく伝わらずかなり苦労しました。高校生は予め希望したところでの授業だったそうで、予備知識もあり理解度が高かったと思います。書道の説明を通じて、日本文化が浸透していることに感動しました。
 地学研修では、RSA高校生による生物観察とUCR生による地球の歴史の話がありました。生物観察では見たこともないトカゲや植物、日本では鑑賞用でしか見たことのないサボテンなどステップ気候ならではの動植物が自然に生息している様子を見ることができました。地球の歴史の話では、歩く道のりを地球の誕生から現在までの時間に例えて説明してくれました。説明は聞いたことのない英単語ばかりでなかなか聞き取ることができませんでした。しかし、説明のまとめの段階で詳しい説明があり、繰り返し使われた単語から大まかな意味を理解することが出来ました。
 この日は、ホストファミリーがロサンゼルス近郊の日本食レストランに連れて行ってくれました。寿司には日本米が使われていて、醤油はキッコーマンのものでした。食材は異なるものの調味料が同じせいか味は日本と同じでした。

 

 滞在五日目、シニアレセプションでは、4本指ゲームを行いました。日常5本指で行っている動作を4本指でやってみるというチャレンジです。糸で輪を作る、名前を書く、ペットボトルのキャップを開ける、靴を脱いで履く、上着を脱いで着るなどの時間を4本指と5本指の両方で計りました。当然ですが、5本指の方が、すべて早いという結果になりました。もともと生物は5本より多く指を持つものがいたそうですが、生物の環境への適合による進化の過程で5本指だけがはっきりと残ったそうです。ヒレをもつ動物は骨格で見ると指が5本の種が多く、4本や3本に見える動物も退化した指を合わせるとほとんどの種が5本指になるそうです。人間の先祖は、木登りをしていたわけで当然、握りやすくするために指の数は3本や4本よりも5本のほうが良いはずです。

 

 滞在六日目、二度目のUCRでは、重点コースの発表、半導体の研究の説明と見学、それにサイエンス教室を行いました。半導体の研究では、二硫化モリブデンという耐熱、耐荷重性に優れ、非常に薄い膜を持った材料について学びました。固形潤滑剤としてすでに製造業では使われていて、資源が豊富にあるため将来的に注目されている物質です。研究室見学では、シリコンの表面を加工して性質を調べる研究室や、危険な光を出さないようにオレンジ色のガラスで覆われた研究室、大きな電子顕微鏡のある研究室を見ました。オレンジ色のガラスがある実験室の中には入れませんでしたが、入り口には白衣があり、ポンプのある機械が見えました。日本でも同様の研究室はあるかもしれませんが、ドアを1つ通り越しただけで違う学部の研究室があることに驚きました。

 

 生物学では、いわゆるゴキブリやダンゴムシに似た虫、そしてたくさんの蛾を触りました。日本ではなかなか見られないものも多く、一生に一度しか触れないと思い、先入観を全て消し去り、触りました。タランチュラはテレビでしか見たことがありませんでした。本物を見たのはこれが初めてです。タランチュラはオオツチグモ科に属し、鳥の巣を襲うほど凶暴だそうです。世界最大のクモであるタランチュラは映画のシーンで演出されるほどの毒はないそうで、人を毒で殺す事例も少ないそうです。実際に見たタランチュラはほとんど動くことなく死んでしまっているようでした。
 実験教室では、マイクロピペットを用いて希釈をしました。マイクロピペットは高校の生物の時間に使ったことがありましたが、水だけでしか扱ったことがなく、詳しい希釈の仕方や、チップの付け方はわかりませんでした。マイクロピペット自体の使い方は英語でなんとなく理解できましたが、英語での希釈の説明はほとんど分からず同じ班の方に聞きながら進めました。

 

 滞在最終日、カリフォルニア宇宙博物館では、実物のエンデバーをはじめとするスペースシャトルの見学や、植物や動物の展示、小規模な水族園、そしてシアターを見ることが出来ました。エンデバーの展示室の壁にスペースシャトルの歴史が書かれていました。年表中には二つだけ色の異なったところがありました。それは、チャレンジャー号とコロンビア号の事故です。これらの事故は、ともに機体の不備で起こりました。英語だけの説明では理解が不十分だったので、ホームステイ先の家に戻ってから詳しく調べました。スペースシャトル計画は135回中133回成功しています。これだけ成功しているとはいえ、2回の失敗は大きな犠牲であり、事故後は長い計画中止期間がありました。しかし、これらの失敗は、事故後二度と同じ過ちを起こさないように、多くの再設計があったそうです。事故は起こさないようにすることが第一ですが、事故が起きて初めて気づくことがあるのだと改めて実感しました。

 

 グリフィス天文台では、班別自由行動でした。計画を立てていなかったので、館内をできる限り回りました。月の石の展示やフーコーの振り子のモデル、ガリレオの肖像画が印象的でした。なかでも惑星のコーナーには自分の体重をその惑星に置き換えて計測したり、地形を3Dで見たりと、想像を超える規模の天体ですが、そのスケール感を感じ取ることが出来ました。

 

 海外研修に参加が決定したときは思わず『僕が』と思いました。おそらく科学者の卵の同じ参加者のほとんどの人と話したことがなく、目立たず、会話が積極的でなく、大勢の前で質問をしたことがありませんでした。それに英語は苦手で英語サロンでの留学生のメッセージは「もっと積極的に」としか書かれたことがなく、TOEIC、TOEIC Bridgeでは点数は全体の平均を下回っていました。しかし、これほど英語ができない僕でも海外研修に選抜され参加することが出来ました。

 

 これは科学者の卵に参加すれば、努力次第で誰にでも海外研修に選抜されるチャンスがあることを意味すると思います。海外研修が終わった後『この海外研修で成長したことは何ですか』と聞かれたとき、僕は、「状況把握力が向上した」、「英語を聞き取る能力が向上した」と答えました。しかし、4週間ほどたった今思い返せば、この二つの能力が向上するのは意識的なものではなく、無意識的なものであって、言い換えれば必然的なものです。本当に向上したと言えることは、「考えたことを言葉にする力」、「それと相手に伝える力」、この二つです。

 

 考えても言葉にできなかった英語サロンでは、あらかじめ準備したことしか話せず、「なぜこう考えたの」と聞かれても、「英語では説明できません」と言うことが多く、元の考えを英語に言い換えることができませんでした。完全に相手側の理解力に頼っていたのです。現地のアメリカでは当然日本語が全く分からない人がいるなかで、自分が頭の中で考えていることを英語に直すと同時に話す能力を鍛えられると思います。

 

 会話の中で伝わりやすくするには、中学校で習った文法や単語でも、組み合わせたり、何回にも分けて話したりするとよいことを実感しました。しかし、区切りすぎると、相手と同時にしゃべったり、「もう一回話してください」と言われたり、とうまくいかないこともありました。話者の話が多少分からないとき、単に「分かりません」と言うよりも、「こういう理由で分かりません」と言った方が、会話がスムーズに進みました。いろんな表現方法を試して時に成功したり、時に失敗したりしたことで沢山のことを学ぶことが出来ました。

 

 ほとんどの挑戦は、最初に失敗します。しかも、時にその失敗は恥ずかしいと思うかもしれません。ですが、その失敗が成功につながった時、その失敗は無駄ではなくなるのです。これから、数々の挑戦をし、失敗すると思います。しかし、その失敗はいつか成功につながるかもしれません。その成功につながる可能性を信じて進むこと、つまり失敗を恐れないことが必要です。このことは海外研修に参加するまで私が今まで分かっていても実践することのなかったことです。

 

 海外研修では、一人では訪れることが出来ないところや科学者の卵らしい話し合いがあり、貴重な体験となりました。ホームステイということもあってアメリカの日常生活や地域の情報を聞くことができとても面白かったです。科学者の卵でこのようなかけがえのない海外研修を催してくださり、選抜していただきありがとうございました。

 

 同じ卵のメンバー、先生方、メンターの方々、RSA高校の生徒、ホームステイを受け入れてくださったホストファミリー、現地ガイドの方々、そして運転手の方々、沢山の方々と楽しく接することができ、良かったです。いつか、海外研修でともに学んだ方々と、またともに学び、楽しく笑いあえることを楽しみにしています。この海外研修を糧に、これからも科学者になれるように日々精進して参ります。

投稿者:栃木県立栃木高等学校 |個別ページ

2017.04.16

海外研修の報告 ~5日目・6日目・7日目とまとめ~

こんにちは。宮城県仙台二華高等学校の武田一紗です。
前回の公開から約2週間ほどあいてしまったのですが、今回のブログで締めたいと思います。
(写真を挿入したかったのですが、エラーとなってしまい、挿入できませんでした。できるようになったら加えようと思います。すみません)

3/23(木)
・活動内容・
シニアレセプション
リバーサイド市長 表敬訪問
Harada House等についてディスカッション
STEMワークスⅡ 「紋切り遊び」


特に印象に残ったところを、書いていきます。

シニアレセプションの後、リバーサイド市長を表敬訪問。とても気さくな市長さんのお話によると、Mt.Rubidoux の近くを流れる川のそばというのがリバーサイドの由来だということで、Mt.Rubidouxがシンボルの1つだということを再認識しました。市長さんのお話の通り、とても景色が良かったことを思い出しました。

STEM works2日目は紋切り遊びをしました。やりながら、日本のはさみの切れ味の良さを改めて感じました。日本のモノのクオリティーは本当に高いと実感できました。
気付いたことをもう1つ。STEMだからなのか、アメリカがそうなのかよく分かりませんが、授業時間がかなり不思議でした。というのも、STEMの先生に、「次の授業は何時までですか」と伺ったところ、「ちょっと待ってね...」といわれ、驚きの答えが返ってきました。「1403から1442まで」だそうです。39分授業って一体。...日本ならせいぜい時間割は5分刻みくらいのはず。これではタイムスケジュールの把握が難しいのではないかと思ってしまいました。他にも、10:30から11:21まで、など1分刻みが多発。やっぱり私は、5分刻みが良いです...。

昼食後、卵の15人でHarada House についてのディスカッションを行いました。

差別、Harada Houseのことを広めるためには等、いわゆる文系的なことはかなり考えが深まりました。当たり前ではないことが怖い。だからこそ自分を守るため、防衛本能で同じ人間とみなさない差別をしてしまう。無くすのは難しいけれど、選択肢を狭めてしまう差別をするのではなく、いいところ、個性を区別する。しっくりきている考えです。
私は早い話の展開についていくのに必死で、まともな発言はできなかったように思いますが、あ互いに意見交換が出来て良かったです。

放課後、私を含めて4人の卵でそれぞれのホストファミリーにこのことについて聞いてみました。ディスカッションをするのが理想だったのですが、話したいことを英語で説明し理解してもらうのに約1時間かかりました...。
ホストシスターたちの1つの考えとして、
タイムマシンのようなものを作ってみんながそれぞれ大昔に戻れるようにする。そうすれば、祖先がアフリカ大陸からやってきた同じホモ・サピエンスだとわかるから、差別しなくなるのではないかということでした。
科学技術を用いて人々の意識改革をするのはとてもいいアイディアだと思いました。
私は、マッチ売りの少女のマッチのように、擬似体験できる装置があればいいと考えました。いわゆるVRのようなもので、差別される側や、過去の歴史上の出来事の現場にいた気分になってみることで気持ちが変わるのではないかと思います。差別を当たり前のことには思えなくなるはずです。しかし、これだけでは「差別している人」の意識改革が主で、日本人をはじめとする多くの人々にHarada Houseを知ってもらえません。Google検索トップページの「Google」のデザインが時々変更されていることがあります。大勢の人が使うものにそういう工夫をすれば、知る人が増えると思います。

以上は、あくまで私の思いつきであり、現実的に考えるとつっこみどころしかないですが。科学と疑似科学が混ざってもいるので...。
また、ホストシスターたちはそれぞれイタリア系、スリランカ人、アメリカ人とメキシコ人のハーフです。出身国は違っても、アメリカを誇りに思っているという事でした。そういう部分で気持ちが一つになっている、団結力の強さを感じました。

4
日目にして、初めて科学的なことについて英語で意見交換ができました。伝えるということの大変さを痛感すると同時に、上記の考えは私の発想になかったので有意義な会話になりました。


3月24日(金)
・活動内容・
UCR 研究室訪問(半導体、昆虫学)
実験ワークショップ
プレゼン本番
farewell party


UCRにある、半導体の研究室を見学しました。MoS2を用いて薄く小さいマイクロチップを作製していました。調べたところ、モリブデンは、カーボンファイバーの次の世代の材料として注目されている材料だそうです。なんと、人間の体にも必要な栄養素として微量ですが、あるそうです。私は、モリブデンという名前しか聞いたことがなかったのですが、半導体分野の研究が進み、もう既に次々世代の材料があると知り、科学の日々の進歩を感じました。3次元の立体構造を薄くするために2次元構造に変えることを目指す研究をしているそうです。
ここでの話も、メンターさんからの助言があったからこそ何となく理解できたものの、専門用語が多すぎて一度聞いただけでは到底理解できませんでした。将来的には自分の専門分野を持つとはいえ、専門用語を使いこなすこと自体がハードルが高いと感じました。
それに加えて、クリーンルームも見学させていただきました。塵ひとつ持ち込まないようにする超清潔を保たなければなりません。維持費によほどの費用がかかるのか、大学に1時間の使用につき30ドル払うのだそうです...。

昆虫学のお話は日本人の山中先生から伺いました。植物に分類学があるのと同じように、昆虫学の1つとして分類学があると分かりました。
その後、日本では見られない虫を見ることができました。私は、ナナフシと俗名がブルーデビルという虫を触りました。ナナフシのようにくにゃっとして比較的柔らかい虫もいれば、標本を作る際に釘(?)を刺せず、ハンマーが必要なほど硬い虫もいます。押されるのにとても強いのだそうです。まるで死んでいるかのように動きませんでしたが、実際押しても硬くて潰れませんでした。

STEMに戻ったらいよいよプレゼン本番。(とても緊張していたので初めに渡辺先生にイントロダクションを挟んでいただきました。)20人以上に聞いてもらえたかと思います。
プレゼンの後、あるSTEM生が「so fast 」と言っていたそうなので、それが少し残念です。内容自体が日本語でやっていた私たちにとっても難しかったのだから、当たり前かもしれません。
ただ、2つだけでしたが質疑応答できたのも収穫です。このような経験はめったに出来ないので、自分の経験値を上げる貴重な機会となりました。



追記;夜、車から降りて気づいたことがあります。ステイ先の家がある住宅街は、外灯の色が赤っぽいです。日本ではトンネル内くらいでしか見かけないと思います。少なくとも、私の家の周りは白色です。明るさが大きく違うようには感じませんが、心なしか星がよく見えました。


3/25(土)
・活動内容・

ホストファミリーとお別れ
カリフォルニア科学博物館にて研修
ファーマーズマーケットで昼食
グリフィス天文台で研修


ついにホストファミリーとお別れする日に。あっと言う間の1週間でした。寂しいですが、LINEを始めとするインターネットを使った連絡手段によって「keep in touch 」が楽に実現するのも、科学の進歩のおかげだと思いました。

博物館では、大きく分けて宇宙、生物、工学系の分野の展示を見学しました。エンデバーの迫力がとても大きい...。ロケットのエンジンは、酸素と水素が使われています。機体の9割を占めるエンジン部分の軽量化を図るためと、エンジンの冷却効率の面を考慮したためです。また、万が一落ちた時の海の汚染も考えると、石油等の化石燃料では欠点が多いと分かりました。
エンデバーがあったフロアでは、ロケットに使われたエンジンのことや、エンジンが不良で発射から72秒で燃えてしまった「チャレンジャー号」の話など渡辺先生が解説してくださって理解が深まりました。
私は、発展コースで根の重力屈性について研究しましたが、担当の高橋教授は、以前に向井千秋宇宙飛行士ら協力のもと、宇宙実験を行っていたそうです。そのときのロケット打ち上げのパネルもありました。改めて宇宙実験のスケールの大きさを感じました。

その後、クリエイティブワールドを見学して、昨日講義していただいたナノテクノロジーの半導体に関するブースにも行きました。モルフォチョウは一見羽が水色ですが、実は茶色です。羽を構成する小さい部分の重なり具合や反射の仕方によって水色に見えるというのがよくわかりました。(後日、「構造色」という仕組みが関わっていると教えていただきました)ナノレベルの世界はすごいと思いました。

ファーマーズマーケットでの昼食後、アメリカ式片付け方に疑問を感じました。ゴミ箱の中にゴミを入れて、皿とトレーはその上に重ねていました。店側からしてみれば、どこで飲食したか分からない客の皿などをいちいち探すとしたらとても手間のかかることだと思います。どうしてそのようなシステムなのか、メリットは何なのか知りたいです。日本のように、返却口があった方がスムーズな作業になると思いました。(でも、もしかしたらお皿すらも捨ててしまう...?そこまではよく分かりませんでした)

グリフィス天文台では、太陽系の惑星についての展示等を見学しました。体重計にのって重力の大きさを比較しました。惑星によって重力の影響が全然違いました。重力は惑星の質量が関係しているらしいということしかわかりませんでした。これから物理を学習すれば、少しは理解できるようになるかもしれません。
はっきり分からなかったとはいえ、今までは、積極的に考えようという気持ちがあまりなかった私にしてみれば、ここまで自分が疑問に思うことが増えたのに驚きました。


最後に...まとめです。

研修には、最初から英語力・コミュニケーション力重視で参加してしまったところが1番の反省点です。科学的観点から見てみようという姿勢が足りていませんでした。
中日に指摘されて気持ちを持ち直し、そこから意識的に科学的に物事を見てみると、身の回りのものがいつもと違ってよりおもしろく、興味深く見えました。科学の面白さを再発見できたと思っています。
また、アメリカに行って、現地の方々と接することで生活習慣の違いだけではなく、考え方の違い、今の自分とのレベルの差を実感できました。
研修後の今の自分を振り返って、そうした科学の視点を持てるようになったことや、英語でのコミュニケーション力が少しでも向上したことは収穫であり、これからの自分にとって大きな糧になると思っています。

新学期になって1週間が経ちました。この研修で身に付けたことをそこで終わりにしないように、また、刺激を受けたことを含めてこれから活かしていけるように努力していきたいと思います。
準備を始め、研修期間の10日間のサポート等、皆さん今まで本当にありがとうございました。

投稿者:宮城県仙台二華高等学校 |個別ページ

2017.04.06

海外研修を終えて

こんにちは、一関第一高校の佐々木 司温です。
海外研修を通して学んだこと、身につけたことを感想を交えながらここに記そうと思います。

文化面について

・それぞれの主張をしっかり言葉にする。また、相手の主張についても耳を傾ける。
今回の海外研修で一番印象深かったといえる体験です。
STEMでSTEM WORK(ワークショップ)を行ったとき、小学一年生にあたる子と話す機会があり、将来の夢について聞いてみると「~になりたい」だけでなくどのようにしてそのようになるのか、詳しく教えてくれた。
それだけでなく、「あなたは?」と聞かれ、いうことはできたもののそこまで詳しくは話せなかった。
ホストファミリーの祖父母の家に訪れる機会があったのだが、そこで祖父と話していて「トランプのことどう思う?」と聞かれて戸惑いつつも答えた。あまり英語は達者ではないのだが伝えようとすると、真剣に聞いてくれた。
また、STEMの生徒とデザインチャレンジをすることになり、あまりうまく英語で意見を伝えることができず少し消極的になっていた。STEMの生徒の話を聞いていて、「これがいいんじゃない」「いや、こっちのほうがいいと思うよ」などと相手の主張を受け入れつつも自分の主張も伝えていて、見習わねばと感じた。
もっと主張しなければならないと感じた。
日本の文化を伝えるときも真剣な眼差しで聞いてくれて、相手のことを理解しようとしてくれた。そして、私はできるだけいろいろな人に話しかけてみようとし、以前より少しでも積極的になれた。
だからこそアメリカの国民性として、フランクな人が多いのかな?と感じた。

・自由度が高い。その分責任も負う。
夜出かける機会があり、そこで目にしたのは多くの若者だった。最初は戸惑ったが次第に慣れていった。ほかにも、夜にホストブラザーがバスケットボールにいこうといってもホストマザーが「気をつけてね」というぐらいだった。
アメリカではこのようなことが結構あるのかな、と感じた。
また、16歳から車の免許が取れるということについても驚いた。
このように日本と比べて自由なことが多いように感じた。日本では制約があるが、その分安全が保障されているともいえる。アメリカでは自由を尊重されるが、責任も自分たちで負はなければならない。そのこともあって、主張することに長けているのかもしれない。

・合理的
交通面でアメリカは日本より進んでいる点が多いように感じた。場所によっては、赤信号でも安全が確保できれば発進してもよいことを今回初めて知った。というのも、オイルショックの際に、車を停止させている間もガソリンを消費しているためもったいないということからきているからなのである。その習慣が定着していまに至るわけである。
また、信号に関してもほとんどが押しボタンがついており、押すとすぐに信号が変わり便利だなと感じた。歩行者用信号機にはカウントダウンする機能がついており、これも安全に一役買っているいるのかなと感じた。
クレジットカード決済が主流であるのもアメリカの特徴といえるだろう。驚いたのが、現金で買い物をしたときに追加で料金が発生していたことだ。確かに現金をいちいち数えるのも面倒で、クレジット決済にすれば時間の短縮にもつながって合理的である。
その点日本では、いまだに現金主義であるといえる。欠点もあるのだろうが、クレジット決済をもっと取り入れてほしいと感じた。
合理的で時としては冷たく感じるところもあるけれども、今回も研修でこのようになったことの起源を知っていくうちに「ああ、なるほど。そういうわけ」と納得することが多かった。
また、今回研修で小さな気づきにも敏感になったのもこの合理的なものとかかわる機会が多く、学ぶ楽しさを実感できたからかもしれない。

・学校の教育
まず日本の学校との違いで驚いたのは、学校側のスタンスである。日本では、学校は学力のみならず礼儀、広く言えば人間性を鍛える場としての役割を果たしているが、アメリカでは学校は勉強を教えるところで、しつけは各家庭に任せるというのが一般的であるらしい。
私が日本のことについて伝えると、授業中にも関わらずスマホを取り出して調べ始めたのである。びっくりしたが、先生が指摘するわけでなくあたたかい眼差しでただ見ているだけだった。
次に驚いたのが、学校が日本と比べてかなり早く終わるのと、中途半端時間で授業が終わることだった。学校が終わると各自でそれぞれの活動をするのが一般的で、実際にホストブラザーは違う学校なのに仲がいい友達がいた。日本では部活に入ってみんなで活動し、チームワークや忍耐力を養うことも活動の一環として含まれているが、アメリカではやはり前述のとおり、しつけと学習は別で扱われるため各自で活動する様式をとっているのかなと感じた。
授業が~◯3分で終わることがあり、日本人より時間の管理が細かいように感じられた。
また、先生が教室を移動するのではなく生徒が教室を移動して先生のもとに集まる形式をとっていたことにも驚いた。そして、授業が始まる前に出席をバーコードを使って機械で管理していたことが学校で一番驚いたことかもしれない。
最後に、日本でも近年積極的に取り入れられてきているアクティブラーニングについてである。STEM校で見学したほとんどの授業がアクティブラーニングを取り入れた授業を取り入れていた。だからこそかもしれないのだが、全体を通して生徒の積極性が高かった。このことが、意見を述べる能力にもつながっているのかもしれない。日本でもよりこのような学習方法を取り入れてほしい。

・移民の受け入れの歴史
今回の研修で現在のアメリカにつながる大きなトッピクである移民の受け入れの歴史について学ぶ機会があった。日本では、海外から来た人がいると周りから特別な目で見られることが多いが、アメリカではそういうことはなく普通に接してくることのほうが多かった。
やはり、移民の国と言われるほどであってからこそなのだろう。私は今回、ハラダハウスやマーティン・ルーサー・キング牧師そしてそのほかの差別と闘った多くの人たちについて体系的に学んだ。
ハラダハウスは今回の研修を受ける前は全く知らなかった。多くの人がハラダハウスの名を聞いたことがないのではないだろうか。簡単に説明すると、アメリカで移民として初めて土地や家を所有する権利を勝ち取った人たちの家である。のちに第二次世界大戦が始まりその家族は収容所に送られるものの、何とかその家は残り、差別と歴史の変遷を今に伝えている。
知っておくべき事実であると感じた。そしてほかにもたくさんの似たような事例があるのではないかと思い、自分で掘り下げていこうと思った。

・食文化
研修にあたって気になっていたこととして、アメリカの食があった。行く前は、とても高カロリーな食事が毎食出るのかなと思っていた。実際に行ってみると半分あたっていて半分間違っていた。
特に驚いたのが朝ごはんについてである。朝から重い食事が出てくるのかなと思っていたが、そういうことはなく、むしろ少なく感じることが多かった気がする。日本のように朝からしっかりとした食事を摂るわけではなく、シンプルで時間があまりかからないものが多かった。(コーヒーのみであったり、シリアルやパンなど)
昼食は、主にサンドイッチだった。でもさすがはアメリカ、夜ご飯はハンバーガーやピザそのほかいろいろな高カロリーな食べ物が出てくることが多かった。ほかには、間食が多いように感じた。甘いものに関しては、すごく甘く感じるものが多かった。ベジタリアンも多いらしく(日本と比べて)全部が全部高カロリーで脂っこい食べ物ではないそうだ。
食べる機会がなかっただけで、あるのかもしれないが、うま味を含んだ食べ物が見当たらなかった。
また、栄養バランスという面では偏っていたが、どちらかというと、総カロリーのほうを気にしているように感じた。


環境について

・公共施設・インフラ
文化の面で前述したとおり、アメリカの道路は合理的で快適でもありました。
まず道路の幅と車線が広くたくさんありました。基本的に4車線あり、前の車がのろのろとしていても追い越せないということもなくスムーズに運転できるように感じた。これは、国土が広く、また車社会ということもあってのことだからなのかもしれない。
しかし、通勤の時間帯はハイウェイ(フリーウェイ)がかなり混んでいた。また、知っての通りかもしれないが、日本と違って右車線が発進方向となっている。あまりなれなくて最初はひとりでひやひやとしていた。信号機についても前述したことに加えて、左折しようとしたときにおそらくセンサーが反応してあまり長く待たずに左折できた。
看板もあまり見かけないものがあった。リバーサイドシティーのダウンタウンの住宅街を歩いていた時、注意 近くに耳の聞こえない少年がいる と書かれた看板がありハンディキャップを持った人への配慮が感じられた。学校やほかの施設でも、ユニバーサルデザインと思しきものがたくさんあった。

・学校の設備
さすが土地が広いだけあって、縦に建物を建設するのではなく主に一階建てだった。そして外にはたくさんのバスケットコートがあった。アメリカでバスケットが人気なのは、こうした環境によるものもあるだろう。
そしてSTEM校には3Dプリンタが2台もあった。実際に3Dプリンタを見るのは初めてで、興奮した。3Dプリンタを使っていろいろなものを作っていた。近々にエンジニアリング系のコンペがあって、それに向けての部品などを自分たちで設計して作っていた。
日本では、まだ3Dプリンタが普及しておらず、もっと最新の機器に触れる機会を設けてほしいと考えている。
このように、実用的な面においての学びがたくさんあり、早い段階での才能の発掘につながっているように感じた。例としては、ビルゲイツやスティーブ・ジョブズが挙げられるだろう。

・自然災害
環太平洋造山帯に位置していることもあり、カリフォルニア特に南部では地震が多いらしい。ホストファミリーと東日本大震災について話すことがあったが意外にも知らなかった。でも話すと真剣眼差しで聞いてくれた。確かにニュージーランドやパナマや中国で大きな地震があっても他人事であるような部分があることは否めないだろう。


・歴史的意味のあるものの保存の方法
Cycamore canionで地球の歴史について学ぶことがあったが、なんとその公園の隣には大きな道路があったのである。日本であれば、めったにそのようなことはないだろう。このような歴史ある場所が近くにあると、学ぶ機会も多いのではと思った。
公園では、トカゲやいろいろな動植物を見ることができ、日本との環境の違いを肌で感じることができた。また、地面にたくさん穴があってその穴が果たす役割などを知ることができ、自然により興味を持つことができた。

ホストファミリーとの交流を経て
最初は日常生活の違いに戸惑っていたが、質問をすると丁寧に教えてくれて、何とか生活できた。
ホストファミリーにいろいろな場所に連れて行ってもらい、アメリカの文化を楽しみながらも知ることができた。アメリカでしか体験できないイベントばかりだった。文化の違いはあったものの、互いに受け入れて認め合って生活できたと感じた。また、家族と過ごす時間が多くて、いろいろな話をすることができた。アメリカの文化を知るだけではなく日本の文化をフィードバックできたのが大きな成果だと感じた。
くみ取ってくれる部分はあったが、やはり主張するところはしなければならないと感じた。
うまく言葉で伝えられない部分もあったが、言葉をこえていろいろな部分でつながりを持てた。

英語でのコミュニケーション
最初は戸惑い何を言えばいいのかすら、聞き取れなくて、わからなかった。ボディーランゲージから始まり、不安だったが、少しずつ話していることが聞き取れるようになり、簡単な受け答えならできるようになった。
全体を通して、リスニングの能力が上がったと思う。
文を理解する能力は学校の英語の授業を通じて養われてきたが、自ら文を構成して話すとなると全然うまくいかなくなるものだな、と痛感した。日本人がスピーキングを苦手とするのは、本格的に英語を話す機会が少ないからであるように感じた。
今回の研修で、どのくらいまで英語の能力を伸ばせばいいのか、一つの指標をもつことができた。


概して
今回の研修では最新の技術や機器に触れて、科学への興味がより一層高まっただけではなく、文化やたくさんの人とかかわることで人間性という点でも大きくなれたと思う。
特に、小さな発見をしている仲間から刺激を受けて、私もできるだけいろんなことに興味をもってつぶさにものを観察しようとしているうちにいろいろな発見をすることができた。
また、あまり興味がない分野のことを学んでいると深いところで自分の興味がある分野とつながっていたりして、たくさんのことを学ぼうと感じた。
何よりも、「なぜ?」と思い自ら調べる癖がついたことが大きい。
この研修をよりよいものにできるかは、今後にかかっていると考えているため、これからも努力を重ねていきたい。

今回の研修を支えてくれた皆様本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします

投稿者:岩手県立一関第一高等学校 |個別ページ

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