東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

平成28年度 活動ブログ

平成28年度 活動ブログ養成講座の活動を記録しています

2017.04.02

海外研修のご報告①(1~3日目)

こんにちは。日本航空高等学校の加藤愛菜です。先のリバーサイドでの海外研修についてご報告させていただきます。同期の方やお世話になった方、また来年度参加される方の参考になればと思います。(私自身昨年度の方の記事を服装など考えるときに何度も読ませていただきました。ありがとうございました。)

まず研修先のリバーサイドですが、カリフォルニア州南部に位置する、仙台の姉妹都市(今年提携60周年を迎え全米で最も古い姉妹都市のひとつ)であり同州におけるオレンジ栽培発祥の地でもあります。ケッペンの気候区分ではステップ気候に属します。

また、このブログでたびたび登場するSTEMについても紹介いたします。正式名称はRiverside STEM Academyで、STEMというのは「Science, Technology, Engineering, and Math」の頭文字をとったものです。理系に特化した5年生から12年生(10歳から17歳)までの学生が通う学校です。年に1度行われる抽選に参加し当たったら入学できます。

リバーサイド 087.JPG

*The First Day*

家からバスで成田空港へ向かい、成田エアポートレストハウスというホテルにて集合後、事前研修(先生方の話、自己紹介、STEM worksの準備等)を行いました。自分が海外研修に行けるとは思ってもいなかったので、海外研修に選抜されたという書類が届いてから優秀なメンバーの中で悪い意味で浮いてしまうのではないかという考えが拭えませんでしたが、先生方の話を聞いて今回参加することが出来なかった人の分まで甘えたことを考えていないで自分を最大限発揮し、最大限学んでこなければと思いました。

リバーサイド 019.JPGホテルの部屋から。大韓航空など様々な航空会社のコンテナ、またタグ車が見えました。

*The Second Day*

3月19日の17時に日本を発ち、319日の10時頃にロサンゼルス国際空港に到着したため、飛行機から降りたら時間が巻き戻っているという現象が起こり日付変更線を身を持って感じました。

その後リバーサイドにバスで向かい、車内で大気汚染問題への取り組みとして高速道路にカープールレーン(車内に二人以上乗っていると入れるレーン)を設置したという話を聞き、そのような発想は思いもよらなかったので驚きました。私の地元の群馬は自動車普及台数が日本一なので、このレーンを取り入れ環境問題に取り組むことは有効なのではないかと思いました。

リバーサイド 072.JPG 黄色い線の内側がカープールレーンです。

バスで向かった先はリバーサイド市内にあるSTEM生の家で、そこで歓迎パーティーに参加し初めてホストファミリーに会うことができました。事前のメールでの交流が盛り上がり毎日メールをしていたので実際に会って話すのが楽しみでしかたがなく、やっと会えた!という感慨がありました。

私がお世話になったホストファミリーはスリランカ系で、3世帯で暮らしていました。私の年齢からみて祖父母にあたる世代の方は英語ではなくスリランカの公用語で話し、それ以外の世代は英語も話せるバイリンガルでした。家族内での会話が英語から突然理解できない言語に切り替わるということが多々あり、バイリンガルの家庭の実態を肌で感じました。

パーティーの後はホストファミリー宅に移動してからリバーサイド市内が見渡せるという山にハイキングに行きました。

リバーサイド 066.JPGハイキングに行ったRubidoux山から見たリバーサイド市。ステップ気候とは思えぬ量の緑が。

*The Third Day*

朝7時代から集合し、STEMの高校生による歓迎会(これでもかと用意されていたドーナツを食べたり、外で人間知恵の輪のような遊びをしたり)に参加して親睦を深めました。いろいろな学生と話しましたが、安定してひたすらまわり続けるこまのようなおもちゃで遊ぶ学生を発見し何事かと話を伺ったところ自分で設計して3Dプリンターで作ったというのだから驚きでした(3Dプリンターは学校にあるそうです)。資金調達ルートを確保してどこかの店で売るべきだと思いました。

そのまま学生に学校を案内してもらい使われている教室や教科書、授業風景を見学しました。多くの実験ができる環境があったり、授業が先生から生徒への一方的でなく、両者がコミュニケーションを取り一緒に考えながら進めていくものがあったりと日本とは異なる部分が多かったです。

リバーサイド 079.JPG 化学の教室にて。STEM magic! ということで先生に水に入れても濡れない砂を見せていただきました。

リバーサイド 081.JPG エンジニアリングの授業の様子。写真のように生徒はそれぞれノートパソコンを持っていて、日々の連絡や宿題の提出もネット上でするそうです。

テストが多く大変と言っている生徒もいましたがこのように授業中のコミュニケーション然り、実験然りで自分の知識や考えを様々な方法で磨くことができる環境にこの年代でいられるということはとても恵まれていると思います。また、STEMの高校生はとても自立していて、自分たちでリーダーシップを取りながら学校案内も歓迎会も本当にうまく進めていくので驚くと同時にこれが私に足りないものであるとも思いました。近年多くの学校で新しい教育が模索されていますが、意欲的で自立した学生を見てこの風潮に納得しました。STEMのような教育を取り入れて行くのも一つの手ですが、現行の教育にそのまま様々な授業や活動を増やし生徒の負担が増え結果的におざなりになってしまったら本末転倒なので何でもアメリカ風にするのではなく日本人をよく見て合うようにアレンジして取り入れていくべきだと思いました。

また、宇宙生物学について学ぶアクティビティもしました。内容は宇宙にある物質のうち、地球にあるものと同じ臭いや味がするものについてそれらがどこから来たのがを実際に臭いを嗅いだり食べたりして考えるというものでした。わたしは天文系の学問に苦手意識があったのですが味覚と嗅覚を使ったゲームの授業はとてもおもしろく抵抗なく宇宙について学ぶことができました。そもそも宇宙について実際に食べたり臭いを嗅いだりして学ぶという発想が全くなかったのでこのような学習方法があるのかと驚きました。

投稿者:日本航空高等学校 |個別ページ

2017.04.02

海外研修を振り返って

 こんにちは。秋田県立秋田高等学校の東海林紬です。先日参加させていただいた海外研修についての記事を書かせていただきます。

 今回が私にとって初めての海外渡航でした。出発前は、自分の英語がどこまで伝わるのか、相手の英語をどこまで聞き取ることができるのかと言語に関しての心配が大きかったです。アメリカで、ホストファミリーやSTEMの生徒さん達とお話しするなかで、自分の英語力の課題がはっきりと見えてきました。私が最も自分の課題であると感じたのは、聞き取りでした。日頃から英語のニュースに触れるなどして、少しずつ慣れていければと思います。また、先日カリフォルニアを含めたアメリカ西側はまだゆっくりしゃべる方だということを知り、世界共通言語である英語を使って世界の人々とコミュニケーションをとるためには、様々な英語に対応していく力も必要だということに気づきました。自分がもっと英語を理解できていれば、自分がもっと英語を話せれば、この研修で学び取ることができたことはもっと多かったはずだと、少し後悔しています。今回の反省が、次に海外に行く機会に確実に活きるようにしたいと思います。

  STEMの高校生と交流する中で、アメリカの高校生は多くのことに挑戦しているのだという印象を受けました。日本から遠く離れた、アメリカという国で頑張っている仲間と出会えて、この人たちと一緒に自分たちは将来世界をつくっていくことになるのだという意識が生まれました。海外研修を通して、自分の見る世界が確実に広がったのを感じています。海外研修中に、たまご15人でディスカッションをする機会がありました。主にHarada Houseという過去に虐げられる立場にあった、日系アメリカ人の方が住んでいらしたお宅についての議論でした。その場では15人全員が自分の意見を持っていて、相手の意見を尊重し、相手の意見を踏まえて議論が広がっていきました。同年代の仲間と議論をする機会はあまりありませんが、今回はとても良い経験ができたと感じました。

 ここで、私が興味を持った、カンガルーラットの保護について 少し書かせていただきたいと思います。

3/22に地学研修で訪れたSycamore Canyon 自然公園では、絶滅の危機に瀕しているカンガルーラットの保護をしているというお話がありました。私が疑問に思ったのは、その保護の方法についてです。私が考えられたのは、カンガルーラットの天敵を駆除するなどして個体数の減少を防ぐという方向と、カンガルーラットが繁殖しやすいように環境を整えるという、個体数の増加を促すという方向でした。環境省のホームページで日本国内の取り組みについて調べてみたところ、やはり「生存を脅かす原因を取り除く」と「生息環境を改善することで生息地で数が増えるようにする」の2つが大きな柱としてありました。具体例としては、生息地での捕獲や開発の禁止、餌となる植物が増えるようにするための草刈りなどがあるようです。自然界の食物連鎖に直接的に働きかけてある種を保存しようとする計画は、対象とする種以外への影響を熟考する必要があります。Sycamore公園に、「ガラガラヘビ注意!」の標識がありました。ガラガラヘビはカンガルーラットの天敵です。そう考えると、あの公園ではガラガラヘビの駆除が行われていたのだろうかと考えられます。Sycamore Canyon 自然公園

 また、絶滅危惧種保護の方法の一つとして、「生息域外保全」と総称される、動物園などの施設で保護するという方法もあるそうです。檻の中に閉じ込められている動物がかわいそう、と動物園に反対する意見も確かにありますが、子どもの教育のためという目的だけでなく、種の保存のためという側面も動物園は持っていたのかという気づきがありました。動物園のような生息地から離れた、完全に管理された施設で保護されるということと、今回訪問した公園のように管理された自然の中で保護をしていくことのメリット・デメリットについても考えていきたいです。

 海外研修での、たまごやアメリカの高校生との交流を通して、自分の課題、そしてこれからの自分がどうあるべきか、そんな自分を目指すにあたって自分はどうすればいいのかということが、以前よりも明確に見えたと感じます。最後になりますが、科学者の卵養成講座でご指導くださった先生方、メンターさん、ひよこの方々、たまごのみなさんにお礼を申し上げたいと思います。

 貴重な経験をさせていただきました。ありがとうございました。

投稿者:秋田県立秋田高等学校 |個別ページ

2017.04.01

海外研修を終えて その8(最終回) 総括

こんにちは。県立前橋高校二年の山田桂一です。

長く続いた海外研修の報告の記事ですが、今回で最終回です。今回は海外研修で得たものについて書いていきます。

まず、海外研修の成果ベスト3を紹介します。

3位 必要とされる英語力がぼんやりとわかったこと

当然のことながらアメリカについてからは現地の人たちとの交流はすべて英語で行います。各研修先で受けた説明もほとんど英語でした。(昆虫学の山中さんのように例外もありましたが。)初日は、聞きとれなかったことを聞き返すこと・断ること・単語を並べるだけの稚拙な英語を使うことなどに若干の抵抗がありました。しかし時間とともにこの感覚は失せていき、次第に現地の人たちとの交流が活発になりました。

何度も書いてきた通り私は英語力に全く自信がありません。英語力の点で進歩したことというと、聞きとることのできる単語の数が幾らか増えた気がすることくらいですが、これは大した成果ではなく、技術的に何かが大きく成長したということはありません。しかし、技術的に成長できていないからこの研修における収穫は無であったというわけでもありません。それが研修の成果第三位の「必要な英語力がわかったこと」です。私は今回の海外研修が初めての海外渡航でした。初めてネイティブの中に身を置くことで、国際的に生きていく身としてどの程度の英語力が必要とされるのかがわかりました。言語の壁は想像以上に厚く高いものでした。説明を聞いても疑問を抱けるほどの理解はできなく、現地の人たちとのコミュニケーションも不十分でした。この研修中、上手く英語を操れないもどかしさを何度も痛感しました。英語力が低いと海外では学べることの総量さえも減ってしまうのです。私が向こうで学べたことは他の海外研修参加生と比較すると見劣りしてしまうものであるような気がします。(前回の冒頭のネガティブな記述はこの感覚によります。)英語は言ってしまえばただのコミュニケーションツールなので、海外に出たら話せることが標準となります。そのため、今回の研修で必要な英語力の水準を知ることができたことは非常に幸運なことで、これを指標としてこれからの英語学習に臨んでいきたいと考えています。

2位 海外研修参加生・現地の高校生たちと仲良く楽しく過ごせたこと

これは非常に価値のある成果です。科学に強い興味を抱く同志が日本人だけで15人もできました。皆それぞれが異なる専攻に進んでいくのでしょうが、ここでできた繋がりをこれからも大切にしていきたいと考えています。

現地の高校生たちとも打ち解けられました。短い期間でしたがとても仲良くなれた人もいて、帰国した今でもLINEを通じてコミュニケーションを取り合っている人もいます。遠く離れていても簡単につながることができるため、文明の利器に感謝です。日本の高校生だけでなく、海外の理系の高校生とのつながりができたことも貴重な経験です。このつながりも大切にしていきたいものです。

RSAには民族的にも性格的にも多様な人たちがいて、遺伝的多様性とでもいいますか、多くの個性があって、それもまた日本の高校とは異なっている点でした。ここならば日本の高校よりも、日常的に深い科学の話をできる友人が多くできそうです。

1位 理系の中でこれまで知らなかった分野について新しく学ぶことで視野が広がったこと

この点につきましては、何もこの海外研修だけが特別であったということではなく、基礎コースの毎月の講義や発展コースでの活動の延長線のようなものです。今回の研修では、半導体や地学のように私がこれまでほとんど触れてこなかった分野の研修もありました。そのため決して明瞭な理解ではありませんが、英語の説明の中でも新しく学べたことはありました。十分に理解できなかった内容については、さらに理解を深めるべく暇を見つけては調べているところです。自分の興味と離れた分野について主体的に何か新しく学ぼうとアプローチをかけるのはとても難しいことであると思います。何から始めてよいのかわからないのです。私は生物分野に進もうと考えていますが、特に興味の強い分野は植物とタンパク質であり、動物分野はあまり詳しくありません。生物分野に興味があると一概に言っても、それでも疎い分野はあるくらいなのです。それなのに全く異なる分野に新しく手を伸ばすのは極めて困難であるように感じています。しかし、一度その分野に触れるきっかけさえ与えていただければ、そこからアプローチをかけていき、枝葉を伸ばすように知識を広げていくことは可能であると考えています。基礎コースの講義でも広くの分野に触れることができました。少しでも疑問の残った分野から調べてみようと思っています。多様な分野にまたがる知識を持つことは、正夫先生たびたび仰っていたように、ひとつの事象について考えるときに多くの視点を持って挑むことができる思考力に繋がっていくことでしょう。

海外研修だけでなく一年間全ての科学者の卵養成講座を通じて、非常に多くのことを学ぶことができました。一年前とは比べ物にならないほどの文章力と思考力が身につきました。海外研修中の毎日のレポートのすべての文字数を数えてみたところ、16701字でした。平均すると一日当たりおよそ2000字です。(毎日読書感想文くらいの量を書いていたのです!驚きました。)実は半年くらいたったあたりだったか、この活動ブログへの投稿にも個人的に2000字ノルマを課していました。(カウントの方法はwordで下書きをするときに下に表示される文字数を見ていただけなので正確に2000字に到達していたか定かではありませんが。)これを通じて思考力や文章力をさらに伸ばすことができたのだと思っています。さらに、発展コースや海外研修に選抜していただいたことは大きな自信になりました。そこで得た経験を通してもさらに成長することができました。しかし、ここで得た成長は、今の私にとっては極めて大きなものですが未来の私にとっては単なるスタートラインにすぎないものかもしれません。要は、この一年間で学んだことを、これから先にどう生かしていくか・これから先でどれだけ成長させることができるか、こそが重要なのではないかということです。きっと、この一年間の経験だけで満足して頭でっかちになっているようでは何の意味もないことでしょう。これからも、難しいこととは思いますが、科学的に考えること・自分の考えを文章に起こすことを継続的に行い、さらなる「飛翔」をできるように努めていきたいと思っています。

この一年間私が科学者の卵として学習活動を行ううえで、東北大学の先生方・事務局の方々をはじめとして多くの方々に支えていただいてきました。そのことに多大なる感謝の意を表して「海外研修を終えてシリーズ」を締めくくりたいと思います。本当にありがとうございました。

海外研修33.JPG

連載・海外研修を終えてシリーズ 目録

その1 事前研修と出国

その2 アメリカ二日目 小さな成長?

その3 アメリカ三日目 挫折と再起

その4 アメリカ四日目 上昇傾向

その5 アメリカ五日目 Enjoy!!

その6 リバーサイド最終日

その7 アメリカ最終日

(総文字数:22300字 読了の目安:約45分)

投稿者:群馬県立前橋高等学校 |個別ページ

2017.04.01

海外研修を終えて その7 アメリカ最終日

こんにちは。県立前橋高校二年の山田桂一です。

この日で海外研修の全日程が終了です。

帰国して落ち着いてから冷静にこの海外研修を振り返って、英語力の低さからあまり多くのことを学べずに帰ってきてしまったのではと思い始めていますが、とりあえず最終日についても書いていきたいと思います。

【活動内容】

・カリフォルニアサイエンスセンター

・グリフィス天文台 の二か所を見学しました。

【成果と感想】

この日の朝はまずホストファミリーたちとお別れでした。現地に着いたばかりの段階では言語の壁からなかなか上手くコミュニケーションをとれずにいました。しかし、最後の三日間くらいになってきてようやく議論もどきをできるようになり、有益な時間を過ごすことができるようになりました。どの卵生のホストファミリーたちも最後の最後まで別れを惜しんでいたようで手を振り続けてくれていて、中には涙を流して別れを惜しんでいる人までいて、私たちがすごく大切に受け入れられていたことを改めて実感しました。温かく迎え入れてくれた現地の人たちにはいくら感謝をしてもしきれません。

海外研修32.JPG見送ってくれているホストファミリーたちの様子。

この日までには英語を使うことには慣れてきたため、現地の人にわからないことを尋ねることにもためらいがなくなっていました。そのため、カリフォルニアサイエンスセンターでは、展示してあった帰還船が本物なのかレプリカなのか、どうしても気になったので通りかかった館員の方に質問してみました。(どうやら、リバーサイド市からカリフォルニアサイエンスセンターに移動する間にガイドのジミー氏が説明をしていたらしいのですが、私は寝ていたため全く知る由もありませんでした。ジミー氏はほかにも面白い話をたくさんしていたそうです。聞いておけばよかったと後悔しています。)このとき、館員の方は説明文に書いていないことも教えてくれていたのですが、あまりよく聞きとれませんでした。展示してあった帰還船は外側全体が焼けただれており、宇宙からの機関の困難さを物語っていました。他の帰還船も、シールドが焼けただれていたり装甲の断面からは表面の層が焦げている様子を見て取ることができたりと、凄絶な様子をありありと思い浮かべられました。パラシュートがついているものもありました。パラシュートは何本もの太い針金を束ねたもので堅牢に繋がれていました。帰還船にはアストロノーツの帰還を無事に果たすためにたくさんの技術が詰まっているようで、見ていて非常に興味深い資料でした。

海外研修27.JPG私が大興奮で見ていた帰還カプセル。アポロ計画のものです。

他にも、カリフォルニアサイエンスセンターにはエンデバー号や飛行機のような工学的な展示から、水族館のようなエリアまで、理系の多様な分野にまたがった展示が催されていました。日本の博物館と決定的に異なる点は、アメリカには体験式の展示が多く、来場者の興味を引くような巧みな展示方法がとられているところです。おそらく、ここだけで一日中楽しむことができる施設です。しかし今回は午前中だけでした。そのため班ごとで見学したものが違っていて、他の人のレポートで自分たちが見なかった展示物を知ることになり、他の日よりもさらに興味深く感じられました。

エンデバー号はここの目玉の展示物だけあり大迫力でした。特にエンジン系統が濃く印象に残っています。壁にはシャトルのフライトの記録のパネルが貼られており、中にはチャレンジャー号の事故のものもありました。宇宙関連の展示はエンデバー号だけでなく、既述の帰還船もありましたし、ハッブル宇宙望遠鏡の1/5スケールの模型や火星探査機バイキングの模型、宇宙服といったものまで展示してありました。幼いころに宇宙開発に強い興味を抱いていた私としては、宇宙に関連する様々な展示を見ることができて感無量でした。

私の班では、他には主に生物系の展示を見ました。中でも衝撃的だったのが、リアルタイムで虫が湧いているネズミの死体の展示です。どこに頭があるのかわからないくらいに虫で覆われていました。私が見たことのある虫の湧いた死体というと、小学生の時に下校時に見た小鳥の死体くらいですが、それにはウジが多少ついていた程度であそこまでびっしりとは湧いていなかったように思います。また、様々な哺乳類の心臓の展示もありました。そのままの形の心臓を見ることはほとんどないため、形や大きさの違いを初めて知りました。水族館のようなエリアでは、水槽に入って作業をしている人が慣習の質問に答えるようなコーナーが催されており、日本では見ない光景に驚きました。

海外研修26.JPGエンデバー号(後ろから撮影)。

こちらから見た方がワクワクしました。

お昼は、ファーマーズマーケットというところに行きました。所狭しと多様な店々がひしめき合って並んでおり眺めているだけでも心持愉快になるようなところでした。海外についた当初私は、慣れない通貨となれない言語でお金を使うことにすら恐怖を抱いていたほどだったのですが、この頃には恐怖心はすっかり薄れていたので少しだけ成長を感じた気がしました。

海外研修31.JPGファーマーズマーケットの時計台。

そして、海外研修最後の研修先としてグリフィス天文台へ行きました。まず初めにグリフィス天文台の高台からの美しい眺めを一瞥。アメリカは高い建物が少ないためやはり眺めは良好です。素敵な景色に思わず息をのみました。グリフィス天文台には月の石や鉄隕石など、これまた幼き日の宇宙へのあこがれを掻き立たせられるような展示が数多く並んでいました。宇宙の遍歴を表す回廊は歩く距離と年代を重ね合わせた展示となっており、22日の地学研修を思い出しました。こちらでは一つひとつの事象だけでなく、それらのつながりも含めて重きを置いているようです。この回廊でもしばらく何の説明もない部分がありました。宇宙がひとたび誕生して安定してから太陽系が生まれるまでの期間は、太陽系について調べるだけでそれが十分に一つのサンプルとしての役目を果たしているために、他の例を調べるよりも、宇宙の起源について調べる方が価値のあることであるため空白であったのではと考察しました。また、見学している中で、フーコーの振り子モデルの前で、振り子の糸がなぜ球がとまっている間だけ大きく揺れ、球が動いている間はほとんど揺れていないのか、正夫先生・伊藤先生を筆頭にその場にいた人たちでしばらく頭をひねる場面がありました。物理を履修していないと理解できない事象は世の中に多く溢れており、素朴な「なぜ」を思考するためにはより広い理系の分野に触れておくことが非常に大切であることを改めて実感しました。(帰国後、物理を独学してみようと急に思い立ち、友人の勧めで「物理のエッセンス 力学・波動(河合出版)」を購入しました。)

海外研修28.JPGのサムネイル画像月の石。

海外研修30.JPGフーコーの振り子モデル。

地球の自転を証明するためのものだそうですが、どのようにして証明しているのでしょう。

グリフィス天文台のフーコーの振り子は42メモリあり、42時間で一周するそうです。たしかに、入ってすぐ見たときと出るときとでは角度が変わっていたような......。

海外研修29.JPG大きなテスラコイルも!!!

私はお目にかかることはできなかったのですが、一時間に一度くらいの頻度で実演もしているそうです。

なんでも、古いものであるため常時稼働していると火事になる恐れがあるのだとか。実際に起こったこともあるようです。

これで理系の研修は終了です。この後はロサンゼルス国際空港に移動。搭乗まで時間があったので、この海外研修で、英語・科学的な視点の二面でどのような成長を実感したのか、それぞれの意見を共有しあいました。私が成長できたと感じている点については次回(海外研修を終えてシリーズ最終回)に記したいと思っています。

(搭乗の際に様々なハプニングが起こったのですがまた別のお話。テンションで体調不良を乗り切ろうとしていたのですが、ここでスペックの低下が露呈したような気がします。慌てていても心の中に一抹の余白は残しておきましょう。本当に大切なものについてはしまっておく場所を決めておきそれを変えないようにしましょう。私はこれで最後の最後に失敗しました。終わり良ければ総て良し、といいますが終わりで失敗するとまったく締まりませんね。)

投稿者:群馬県立前橋高等学校 |個別ページ

2017.04.01

海外研修の報告 ~3日目・4日目~

こんにちは。宮城県仙台二華高等学校の武田一紗です。今回は、3日目と4日目についての記事を書きたいと思います。

3/21
(火)

・活動内容・

リバーサイド メトロポリタンミュージアム訪問
Scavenger hunt
デザインチャレンジ

この日はスクールバスでメトロポリタンミュージアムに向かいました。先住民族(アメリカだからインディアン?)に関する展示物、1900年代の映画のポスターやマイケル・ジャクソン一家がモチーフのカードゲームなど、文化面での展示が多かったように思います。自然のコーナーでは魚やヘビが飼育されていましたが。
英語の解説文を読んでも理解しきれない部分が多々あったので、同じグループのSTEM生に説明してもらいました。先住民族は、よくよく見ればもちろん違うものの、土器が縄文時代、弥生時代のようで似ているように感じました。
メトロポリタンミュージアム


その後、
リバーサイド市のスポットを巡るScavenger huntSTEM生と小グループに分かれて市内を歩きました。市役所やHarada House、公園、昔のアメリカ大統領が宿泊したこともあるホテル「Mission Inn」にも行きました。途中「Sendai」と書かれている通りの標識も見つけました。姉妹都市になっているからだと思います。(Harada Houseについては、後ほど)
IMG_仙台通り

街路樹にはオレンジの木もありました。リバーサイド市はオレンジで有名だからなのでしょうか。
街路樹のオレンジの木
ここで、アメリカの信号機について少し触れます。自動車用の信号機は、縦です。秋田県のように豪雪対策ではないのですが縦方向でした。
写真が無くて申し訳ないのですが、歩行者用信号機にはちょっとした違いがあります。それは、カウントダウンをするということです。日本でもメモリが減っていって残り時間を知らせるタイプは存在しますが、具体的に秒数カウントするのはないと思います。渡り切れるかどうかを考えるにも有効だと思いました。ちなみに、赤信号のときは直立している人ではなく、手でストップという表し方でした。
IMG_信号機.JPG


デザインチャレンジでは、小グループのまま、約1.3×0.33枚の板を使って、アメリカ(リバーサイド市)、日本(仙台)、Scavenger huntで行った場所を表現するオブジェを作りました。私は、同じグループの加藤愛菜さんと仙台市側を担当することにしました。(モールと画用紙を駆使して吹き流しを作り、日本地図で仙台を示した脇に...ちゃっかり「むすび丸」を残してきた私です。)
STEM生はどんどんアイディアを出し合って作っていきます。その話し合いにのれるようになれたらよかったのですが...会話のスピードが速く、難しかったです。

ここで、日中の活動は終わり、放課後はホストファミリーとボウリングに行きました。靴のサイズを聞かれ、24㎝と答えるとちょっと問題発生。アメリカはインチで表すためです。6とか7とかの表示なので、すぐには分かりませんでした。気温のセ氏、華氏の違いも同様、単位の違いで少し困ることもありました。
下の写真は注文したチップスです。日本では考えられない量ですよね...。
IMG_チップス.JPG


この日は、比較的STEM生と話す時間が多く取れました。部活や、趣味など簡単な会話でしたが...。
部活と言えば、私が質問したSTEM生のほとんどがボランティアクラブに所属していました。中学生にあたる下級生の手伝いをするそうです。日本でもこういう部活があれば、他学年とのつながりがより深まるのではないかと思いました。

3/22
(水)
・活動内容・
STEMワークス 「花の解剖」
地学研修 Sycamore Canyon 自然公園にて


1つの関門としてSTEM Worksがありました。私は、「花の解剖」を担当しました。説明する用語を一通り調べていったものの、全てには対応しきれず...。ただ、始めこそぐだぐだになってしまいましたが、そのうち簡単なフレーズを使ったり、STEMの先生や生徒が使った言葉をそのままこちらが使ったりしてワークショップを楽しんでもらえたようです。解剖し終わった子に、雌しべや雄しべを見つけたか、花弁は何枚あったかを聞いてみると、どの子も一生懸命答えてくれました。
IMG_花の解剖の様子.JPG

ちなみに花弁の最高記録は約380枚。菊を解剖した、下の写真右奥の水色のパーカーの女の子です。
反省点は、「花の解剖」の授業の落としどころである、「花の基本構造にはそれぞれ特徴がある」ことにたどり着けなかったことです。科学的な考えまで深める難しさを改めて感じました。
IMG_解剖終了!.JPG


午後はSycamore Canyon 自然公園で地学研修を行いました。ガイドの方のお話に真剣に耳を傾けましたが、単語が聞き取れる程度でした。私は、英語の速さについていけません。確かに、学校の勉強で使うようなリスニングのCDよりももちろん速いので当たり前かもしれませんが...。
帰りの車の送迎を待つ間に、職員の方にもう一度質問して丁寧に答えてもらったり、植物名を聞いたりしました。少しは積極性が上がったということかと...。

保護されているSycamore Canyon現在は丘ですが大昔は海。ただ、500万年前から40億年前、と古すぎて化石燃料は採れないそうです。燃料が採れるとしたら真っ先に開発されていると思うので、ありのままを保つこの場所は貴重だと感じました。(丘でもあり、谷もあるので。)
本来この時期なら茶色い砂漠のようだそうですが、降雨の影響で緑の野原のような景色でした。虫が多いからこそ、その死骸をエサとして簡単に得られるアリが多くいました。植物が多いので日光を獲得するべく上へ上へと伸びていた気がします。高さの無いものは地面でくたっとなっていました。
IMG_シカモアパーク.JPG

このような場所ならではのトカゲ、乾燥帯ならではのサボテンも発見しました。アメリカのトカゲは日本の細長いイメージのものとは違い、小柄で横幅がありました。
IMG_サボテン.JPG
IMG_トカゲ.JPG手のひらの上にのっているのがトカゲです。Western fence lizardという名前だそうです。


語学面での収穫。
ホストファミリーやSTEM生と過ごす時間が増えるうちに会話中に相槌をうつことや、こちらから質問することができるようになりました。生徒同士が笑っている会話の意味も少しですが、完ぺきにではありませんが、分かるようになり...。日常会話における自分の成長かと思っています。


追記:
リバーサイドは、日本より日の出と日没が遅いです。具体的に言うと、日の出が7時前後、日の入は午後7時ごろでした。研修1日目のブログに載せたMt.Rubidouxの写真、あれで18:40頃です。まだ夕方って感じでしたよね。改めて緯度と経度の差を実感しました。

5日目以降は、また次回ということにしたいと思います。


投稿者:宮城県仙台二華高等学校 |個別ページ

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