こんにちは、宮城県仙台二華高等学校の立石朱紗美です。
海外研修(3/17~26、カリフォルニア州リバーサイド市)の報告ブログです。かなり長くなりますが、お許しください。
まず最初の2日間は成田で事前研修でした。プレゼン等の練習をして、18日夕方に出国しました。時差のせいで到着は18日のお昼前。ここからは日ごとにまとめていきたいと思います。
3/18(Sun. )
アメリカに着いてから、バスでリバーサイドに移り、ウェルカムパーティーをしました。
まず気がついたのは、アメリカでは街に生えている木の種類が違うことです。ヤシの木をはじめ、全体的に樹高が高く、木の上の方でだけ枝が分かれて広がっているものが多いように感じました。これは熱帯の植物の特徴なのだそうですが、光を得るために上に伸び、その幹をつくれるくらい一年を通して盛んに光合成ができ、かつ暴風が吹かないため折れないという条件のもとに生まれた特徴のようです。
また、随分と景色が黄色いように感じました。よく見ると、道路などの舗装が黄色いせいでした。日本ではアスファルト、アメリカではコンクリートでの舗装がメジャーなようで、アメリカの重い車や交通量に耐えられる頑丈なコンクリートが選ばれたようです。
ウェルカムパーティーでホストファミリーと会い、いよいよホームステイ生活がはじまりました。
3/19(Mon. )
STEMでのウェルカムパーティーと校内見学、UCRの見学、Bourns Inc. の見学をして、STEMでアイスブレイクをしました。
STEM校内の見学では様々な教室を見てきました。一番驚いたのは演劇のクラスです。アーティスティックな活動もあるのですね。
数学の教室にレポートが貼ってあったのも印象的でした。日本では理系の学校といっても理科系のレポートが多いと思うので、「生活の中の数学」というテーマ(だと思います)で書かれているのは新鮮でした。
UCRのバス待ちの間に渡辺先生とグレープフルーツの木を見ました。残念ながら花は咲いていませんでしたが、実はたくさんなっていました。渡辺先生によると、庭木のグレープフルーツが小さいのは、摘花(摘果とも言う)をしないからだそうです。摘花は簡単にいうと間引きのことで、日本では同じ枝の花や実を取ってひとつを大きく育てるのですが、アメリカではそのようなことはしないのだそう。ちなみにリバーサイドはオレンジで有名です。日本のみかんのような感じで手で剝いて簡単に食べられる品種もあります。もちろん美味しかったです!
UCRは、すごいの一言に尽きます。説明がほぼ聞き取れず英語力のなさを痛感しましたが、環境問題(特に大気汚染)解決のために排気ガスなどの研究を行っているようでした。壁一面に電灯の並んだ大きな実験室などもあり、大学で行われる最先端の研究のスケールに圧倒されました。
Bourns Inc.はとても素敵な場所でした。社長さんも気さくな方で、たくさんのお話をゆっくり、分かりやすく話してくださったのが印象的でした。ですがなによりも創業当時のお父さんお母さんの、お客さんにとっていい製品を作ろうとし続けた姿勢に感銘を受けました。
また、創業者であるお父さんは、若いころからいろいろな機械などを自分で作っていたそうです。自分の手で何かを作っていくという経験が、クリエイティブな才能を育てたのかもしれない、と思いました。
STEMのアイスブレイクはビッグサイズのジェンガでした。
順番が進むにつれてゆらゆらするタワー、
ブロックの揺れに一喜一憂するみんな。
日本とは比べものにならないぐらいつよい日射で暑かったですが、
その暑さを忘れるぐらい熱中できるゲームとなりました。
3/20(Tue. )
市長訪問、美術館見学およびペインティング&スケッチ体験、お昼ご飯with STEM students を行いました。
まず姉妹都市交流の一環で、市長訪問にうかがいました。事前研修で突然スピーチ担当だと通告され、緊張しつつの訪問でしたが。ベイリー市長が部屋にいらっしゃった時から気持ちが上の空でした。紙を見ながらでかなりかっこ悪かったですが、何とかスピーチすることができました。市長さんが気さくな方で本当によかったです。
その次は美術館見学とスケッチ体験でした。スケッチでは遠近法を利用しろとののとで、mission innを斜めから描きました。STEMの方々は絵も上手です...。
3/21(Wed. )
サイエンスチャレンジ、STEMワークスwith middle school students、STEM中学校(?)授業体験、シニアレセプションを行いました。
サイエンスチャレンジでは、ポップスティック(アイスの棒のようなもの)を使った橋製作に挑戦。長さと耐久性を兼ね備えなければならないらしく、私たちは三角形構造をベースに製作することに。スティックとテープではうまく三角形を作れず、悪戦苦闘しました...。
初めてのSTEMワークスは短縮版ということで、かなりばたばたしたものになってしまいました。STEMワークスとは日本文化紹介のようなもので、私たちは御朱印帳制作ワークショップをしました。中学生にうまく伝わらず反省点も多かったですが、完成した御朱印帳を手ににこにこしている姿にほっこりしたりもしました。
STEM中学校(?)の授業体験では、ラズベリーパイなるものを見学しました。そもそもなんぞや、ラズベリーパイとは。何とか聞き取った英語から読み解くに、小さなパソコンのようなもののようです。プログラムを書いて、コネクターなどを使ってラズベリーパイに送ると、ラズベリーパイ本体から音が出せたりするようです。ロボットを動かすことなどもできるそうで、彼らは完全に使いこなしていました。
シニアレセプションでは、ミニパイプを使ったビー玉リレーに挑戦。ゆっくり送らないとビー玉が落っこちてしまい、一回目のリレーでは私たちのチームが最下位...。(その反省を生かして二回目は一番乗りでした!よかった!)
途中から雨が降り出し、やむなく途中で終了してしまいました。渡辺先生が「いわゆるshowerだ」とおっしゃっていましたが、ホストシスターに聞いても「突然降ってすぐやむ、でもまたすぐ降るよ」とのことで、あまり珍しくなさそうでした。リバーサイドは寒暖差+盆地ゆえの山をのぼる上昇気流の発生、でshowerが降るのでしょうか?個人的には日本の夕立に近いのかなと感じました。雷鳴も少し聞こえたので。
3/22(Thur. )
サイエンスチャレンジ②、爬虫類体験、水彩画、シカモア展示見学、STEMワークス②を行いました。
(こちらでは珍しいらしい)雨のため、シカモアパーク見学はやむなく中止になってしまいました。その代わり、中学生とサイエンスチャレンジにリトライしました。昨日やってみて勝手が分かったので、私はいくぶんスムーズに作業を進めることができました。この日も、基本構造は三角形です。
爬虫類体験は恐らく私が1番成長したイベントではないかと思います。
基本的に虫や爬虫類は苦手なのですが、せっかくの機会と言い聞かせて抱いてみると意外と面白かったです。蛇を持ってみて、初めてうろこが丸みを帯びていることに気づきました。背骨を手で触ってみたりして、体験しながら学ぶという楽しさを知ることができました。
シカモアパーク横の建物での見学では、たくさんの鳥やハチの展示を見たほか、館員さんからお話を伺いました。カリフォルニアにはなんと1400種近くのハチがいるそうです!たくさんの種類の生物がいるのは、いろいろな気候があるので植物の種類が多いからなのだそう。何気なく見過ごしてしまいがちな植物だけれども、彼らが生態系の根本を担っているのだなとあらためて思い知らされました。
STEMワークス②は時間が長くなったこともあり、前日より多くのことをすることができました。高校生相手だったこともあるとは思いますが、昨日の反省を生かして表現を変え、実演もしっかり交えるようにしたことによって、指示が通りやすくなった気がしました。意外だったのは生徒さん方の中に日本語が大好きな方々がいたことです。「愛」や「希望」、「花」などを書いてほしいと言われました。途中、「蝶」を求められて漢字の苦手な私はギブアップ...。
3/23(Fri. )
UCRキャンパスツアー、昆虫学、研究発表、フェアウェルパーティーをしました。
まずはUCRキャンパスツアー。広くて開放感に満ちあふれていました。
面白かったのが大学構内の道端になっているオレンジの木の話。実は自由に採ってもいいそうですが、酸っぱくて苦くてあまり美味しくないのだそう。
ちなみにキューティーズというオレンジはUCRが開発したのだそうですが、こちらはちゃんと美味しいです。(前述の日本のみかんに似ているのはこれのことです。)
一番衝撃的だったのは昆虫学体験です。昆虫の変態の理由について。消化吸収に特化して成長し、その後で性成熟をして形態を変えるというのは、言われてみるととても合理的です。
個人的には、昆虫の話ももちろんですが、フェロモンの話にとても心引かれました。ごく微量の化学物質で行動が変わるというのはとても興味深いです。人間が鋤鼻器官(じょびきかん、フェロモンの受容器官)を失ったのはなぜなのでしょう。もしかしたら人間がフェロモンのようなものを放出しているかも知れないのに、どうして進化の過程で受容体だけがなくなったのでしょう。受容だけできなくなったというのは何だか不思議です。どうしてでしょう......。
研究発表は、原稿をついぞ暗記できず紙をもちながらの発表になってしまいました...。残念。
しかしメンターの古井さんには、ちゃんと伝わっていたよと声をかけていただいたのでうれしかったです。質問してくれたSTEMの生徒さんもいて、私たちの研究をしっかり伝えられたのはよかったです。
フェアウェルパーティーでは、なんともアメリカンなバケツアイスが登場...。
3/24(Sat. )
カリフォルニアサイエンスセンター、ナチュラルヒストリーミュージアム見学をしました。
まずはカリフォルニアサイエンスセンター。大迫力のエンデバー見学から始まりました。そもそもエンデバーとは何かを知らなかった私は、里桜先輩から「スペースシャトルで、何度も離発着が可能で、基本的な任務は輸送」だということを教えていただきました。発射するもの=ロケット=一回きり、と思い込んでいたので、何度も離発着できるというのが衝撃的でした。
エンデバーのガレージ収容シーンや実物を見て、宇宙やスペースシャトルには無知な私ではありますが、とてもわくわくして興奮しました。傷だらけの機体から宇宙飛行の厳しさを感じました。あの小さな無数の傷は大気圏を抜けるときや突入するときのものなのでしょうか。
他には海草の展示、生物の展示を見ました。海草の水槽の中に白くて小さな動く粒があったので、これは何かと聞いたところウニの赤ちゃんだそうです。
生物の展示ではかわいいヒヨコたちを眺めたりしていました。癒やしです。ヒヨコの親認識について『嘴によって親について知る』と、少々私たちの認識と違う記述があり、下山先生にうかがったところ「生まれて最初に見たものを親と認識する(刷り込み)が激しいのは鴨類などで、ヒヨコはそれほど視力がよくないので嘴を使って外界認識をして、親が何か学ぶのではないか」とのことでした。
次に見たのはナチュラルヒストリーミュージアムです。私たちが見たのは恐竜と石と鳥の展示です。恐竜の化石たちもまたまた大迫力でした。展示のなかに子ども恐竜と小型恐竜の成体をどう見分けるか、というものがありました。かねてからの疑問だったので読んでみると、子供と大人で骨の形が変化したりするのだとか。ある種では眼窩(?)の骨の形が変わるようです。眼窩の骨の形が変わると視野なども変わるのでしょうか。
その後25日にロサンゼルス空港から出国し、日本に戻ってきました。
かなり長くなりましたが、研修はこのような内容でした。これでもかなりコンテンツを減らしたので、もし伝わりにくい点等があれば申し訳ないです。
本当に充実した研修でした。ここには書ききれないほど、たくさんの気づきや貴重な経験を得て、なにより科学の楽しさを見つけられた10日間でした。
引率してくださった先生方、参加者の皆さん、本当にありがとうございました。
そして、一年間「科学者の卵養成講座」でお世話になった皆様にも、心より御礼申し上げます。大きく成長できた一年間でした。受講生の皆さんと、また再会できるとうれしいです。
皆様、本当にありがとうございました。