〈 全体を振り返って 〉
Best 3
1.「英語で科学を学べた」こと
:今回の研修の最大の目的であり、最大の成果です。見学した施設では、疑問に思ったらすぐに質問することを心がけていたのですが、継続していくうちに口が勝手に動くようになっていました。「疑問を感じてすぐ質問」はアメリカ人の良いところの1つですね。身につけることができて嬉しく思います。
しかし、最初のうちは彼らのこの性格に圧倒され、コミュニケーションをとるのに苦労しました。具体例を挙げると、ホストファザーがその典型でした。
まず、初日に将来の夢と卵の発展コースで取り組んだ研究の内容について尋ねられました。それも、これを今全部話してしまったら、これから1週間、私は何を話したらいいのだろうか、と真剣に悩みさえするほど根掘り葉掘り...。
ホームステイが初めてで、同じ家にステイする卵の仲間がいないという2つの不安から、英語でコミュニケーションなど、本当にできるのだろうかと思っていましたが、即刻「これは黙っていることを許されない環境だ」と気付き、それからは日々喋り倒しました。
具体的には、見学先で学んだことは英語でメモをとり、そのことについてホストファザー、ホストマザーと議論しました。時にはホストシスター、ホストブラザーも巻き込んで、ファミリー全体で話し合いました。
ホストファザーは常に私の考えの盲点を突いた質問をするため、答えられないこともしばしば...。しかし、サイボウズでいただいたアドバイスや、議論を受けて調べたことをもとに、再度意見を伝えてみることで、より考えを深めることができました。アメリカ人は議論好きだと聞いていましたが、本当にその通りだということを身をもって実感しました。
ホストファミリーからもらった質問(というか、アドバイス)の中のBest 3 を発表しますね。
①GeneXノックアウト細胞株樹立の研究を用いて骨粗鬆症の治療に寄与するということだったが、もし薬を用いて治療するとすれば
GeneXを直接遺伝子導入する薬を開発してはどうか。(asked by Jon,ホストファザー)
②Bournsの避雷針について、雷の電流を地面に逃がすだけでなく、電力として利用してはどうか。(asked by Nathan,ホストブラザー)
③日本のミカンについて、台湾にも似たようなものがあるのだが、皮が非常に薄い(オレンジに比べて)ため、手で割ることができる。日本のミカンもそういうことができるのか。(asked by Ching,ホストマザー)
すべての質問(orアドバイス)に正確に答えられたわけではありませんが、議論することの楽しさを存分に味わいました。日本語ですらこんなに科学について話し合った経験はないですね(汗)。 このほかにも、望遠鏡のサイズ(胴の長さ、レンズの直径、厚さ)と天体の見えかたや、俳句の「けり」はどう訳すのか、日本の「無常感」とは何か...等々、科学に限らず(すみません)、様々な話をしました。連絡先も教えてもらったので、これからも時々科学の話ができるといいな、と思います。
2.たくさんの植物を見ることができたこと
:当然ですがやはり気候が違うと植生も全く違い、ロサンゼルス空港に着いた時から本当にずっと感動しっぱなしでした。先生方からも詳しく解説していただいて、たくさんの新たな知識を得ることができました。本当にありがとうございました。
他のレポートに書きましたが、UCRのBotanical Gardenは格別でした。あそこは天国です、本当に。今はベストの時期じゃないんだよ、とSarahに言われましたが、それでも視界一杯のサボテンを見た時の感動は思い出すだけで今でも鳥肌が立ちます。皆さんもぜひ行ってみてください。私も次に行く機会があれば丸一日過ごしてみたいと密かに目論んでいます(笑)
3.STEMの生徒さん、先生方との交流
:STEMの教育システムは(STEM highは特に)大学のスタイルに近いと思いました。座学より実技実験が多く、生徒もより活動的で、話し合う場面では自分の意見を臆面なくぶつけ合い、より良いものを目指す姿勢が印象的でした。一緒にいると自然と積極的に意見を言うことができるようになったのが本当に不思議でした。私はここに来るまでは自分の意見を主張することが少なかったのですが、STEMの皆さんからもらった積極性と自信を武器に、日本でもこの姿勢を継続して行こうと決心(というと大袈裟ですが)しています。
そして、もう1つ印象的だったのがエンジニアリングクラスの存在でした。日本では普通の高校では高校生のうちから工業を学ぶシステムがないので、私の学校にもあったらな、と純粋に憧れを感じました。
STEMではほぼ全員が大学進学するそうなので、職業訓練としてではない、高校での工業の学習というのは私にはとても新鮮に映ります。この研修を通して様々な分野の研究施設を見学しましたが、どの分野にも興味が引かれ、自分の現在の選択科目以外も勉強できたらいいのに...、などと思ってしまいました。そして、STEMの生徒さんはみんな自発的に勉強しているのがとても印象的でした。私のホストシスターのSarahも、Anatomyの教科書を持っていたのですが、高校で解剖学を勉強するはずがないので、聞いてみたところ、生物のレベルまでしか学校では勉強しないので、独学で学んでいるのだそうです。STEMのカリキュラムはとてもハードですが、その上に+αを怠らない姿勢を、私も見習うべきだと強く感じました。
次に、Worst 3に入りたいと思います。
皆様、ご迷惑おかけしまして本当にすみませんでした。
Worst 3
1.空港での移動および荷物管理
:パスポートを出すべき場面、航空券を出すべき場面などで、荷物の整理が不十分だったことが原因で時間がかかってしまいました。一番皆さんに迷惑をおかけしたことと思います。本当に申し訳ありませんでした。
2.一度目のstem worksでの、発表の声が小さかったこと
:声が小さいという自覚は昔からあったのですが、母語で話している分には周囲が理解してくれるだろうと甘えてしまっている部分がありました。英語で話す上で、それは通じないこと、まして発音や文法に自信がない状況でさらに声まで小さければ、アメリカの皆さんがいくら親切であろうと「手に負えない日本人」になってしまうということを学びました。自分の英語を笑われた場面もありましたが、それは自信がなく声が小さくなってしまったことに起因しているのではないかと今では思っています。「もっと笑っていいよ」ぐらいどんと構えておこうと思います。
3.パッキング
:本当に大変でした。体積的には余裕があったのですが、本を4冊も買ってしまったため、制限の重量を2㎏もオーバーし、ロサンゼルス空港で詰め直すことに...。機内持ち込みの分がとても重くなってしまいました。人前で荷物を開くことは、海外であればもちろん危険が伴います。危機管理の面で十分でなかったこと、非常に反省しています。
この研修中、数え切れないほどたくさんのことを学びました。恐らく、人生で最も充実していた10日間だと思います。海外研修のメンバーに選抜していただき、このような貴重な経験をさせていただだいて、ありがとうございました。
最後になってしまいましたが、安藤先生、渡辺先生、伊藤先生、下山先生をはじめとする科学者の卵養成講座でご指導いただきました先生方、大友さんをはじめとする事務局の皆様、福本先生をはじめとする東北大学歯学研究科の先生方、学生さん方、古井さん、川口さんをはじめとするメンターさん方、現地でお世話になりました先生方、川村さん、優しくしてくださったホストファミリーの皆さん、STEMの生徒さん、先生方、そしてたくさん助けてくれた卵のみんな、本当にありがとうございました。
いつかまたお会いできることを心からお願い申し上げ、最後のレポートとしたいと思います。
秋田県立能代高等学校2年
佐々木円花
投稿者:事務局 |個別ページ