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レトロトランスポゾンによる哺乳類母子間ゲノム・遺伝子相関と雑種強勢

国立医薬品食品衛生研究所 毒性部 小野 竜一
東京医科歯科大学 難治疾患研究所 エピジェネティクス分野 石野 史敏

 哺乳類ゲノムのおよそ40%がレトロトランスポゾンやトランスポゾンなどの転移因子で構成されている。これらはゲノム中のゴミだと考えられていたのだが、近年の研究成果により、いくつかの転移因子が内在性遺伝子として機能を獲得したという報告がされている。
 我々は新規父性発現インプリンティング遺伝子Peg10(Paternally Expressed Gene 10)が、哺乳類で高度に保存されているTy3/Gypsy型レトロトランスポゾン由来の遺伝子であり、哺乳類に特異的臓器である胎盤の形成に必須な機能を持っていることを明らかにした。これはレトロトランスポゾンが哺乳類の進化の過程で哺乳類の生存に必須な機能を獲得したことを実証した報告である。
 さらにPeg10同様に10個のTy3/Gypsy型レトロトランスポゾン由来のSirh family(Sushi-Ichi Retrotransposon Homologues)遺伝子群が真獣類において高度に保存されていることを明らかにしている。これらのレトロトランスポゾンは哺乳類ゲノムに挿入されたパラサイトであったが、哺乳類の進化の過程で内在性遺伝子として機能を獲得したと考えている。
 本研究では、Peg10のタンパク機能の詳細を明らかにすることで「レトロトランスポゾン獲得による哺乳類の進化」がどのように起こったのかを解明し、これらの遺伝子群がなぜ片親性発現制御(10個/11個)を受けるのかを解明することを目的としている。

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