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「遺伝子が語る生命38億年の謎」出版

国立遺伝学研究所が編集した「遺伝子が語る生命38億年の謎」が悠書館から出版されました。北野は第5章の「多様性を生み出す進化の謎」を、高橋は第7章「遺伝子多型の謎」を、隅山は第8章「ヒトゲノムの暗黒部分の謎」をそれぞれ執筆しました。ゲノム遺伝子相関の基礎となる遺伝子やゲノムに関する知識を一般の方へ分かりやすく紹介することを目指した本です。


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2013年9月19日から21日に慶應義塾大学日吉キャンパスでおこなれる日本遺伝学会第85回大会にて、新学術領域「ゲノム遺伝子相関」共催 シンポジウム "ミクロ進化とマクロ進化のギャップをどう埋めるのか" が開催されます。

9月19日(木)14:45-18:30 
世話人:田中幹子(東工大)、北野潤(遺伝研)、岡田典弘(東工大)
S1-1 発生とゲノムと化石から見たカメの起源
倉谷滋(理研CDB)
S1-2 親指形成システムの起源ー鰭から四肢へと形態を進化させた発生プログラムの変化ー
田中幹子、鬼丸洸(東工大)
S1-3 SINE が関与した哺乳類のミクロ進化とマクロ進化
西原秀典1、岡田典弘1,2,3(1東工大、2成功大、3国際科学振興財団)
S1-4 脊椎動物ボディプラン進化における遺伝子重複によるシス転写調節機構新機能獲得進化の可能性
隅山健太(遺伝研)
S1-5 ベイツ型擬態を分子から解く
藤原晴彦1、西川英輝1、飯島拓郎1、堀寛2、安藤俊哉1、伊藤武彦3、梶谷嶺3(1東大、2名大、3東工大)
S1-6 シクリッドの適応放散、平行進化に関わる遺伝的基盤とそのメカニズム
二階堂雅人、近藤梓、工藤優、鈴木彦有、岡田典弘(東工大)
S1-7 トゲウオにおけるミクロレベルでの表現型多様化とマクロレベルでの種分化の遺伝機構
北野潤(遺伝研)

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遺伝研研究集会"Evolution of Junk DNAs"にて研究発表

6月22日(土)~23日(日)に国立遺伝学研究所で開催された研究集会 "Evolution of Junk DNAs(がらくたDNAの進化)"(斎藤成也教授主催)にて本領域から、長田直樹、隅山健太、高橋文が30分ずつ英語で口頭発表を行いました。領域の班員でおられる小林一三先生も出席されました。


研究集会の主旨は、ENCODE プロジェクトの論文の"ゲノムの80%に機能あり"という結論を巡って討論するということで、批判的な立場のDan Graur (Univ. Houston)氏 と著者のお一人である理研の林崎良英先生が同じ場所で意見を述べ合うという貴重な機会となりました。他にも遺伝研の五條堀孝先生や太田朋子先生をはじめとする分子進化研究者が多数集まり、充実した2日間となりました。


研究集会のホームページ

http://www.saitou-naruya-laboratory.org/meetings/junkDNA_June0013.html


(高橋記す)

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アフリカシーラカンスのゲノム解読の論文が出版されました

アフリカシーラカンス( Latimeria chalumnae )のゲノム塩基配列を解読した論文がアメリカを中心とした国際共同研究チームによってnature誌に出版されました。この論文では、シーラカンスよりハイギョの方が四足類に近いことが分子系統解析によって示され、さらにシーラカンスのタンパク質コード遺伝子の進化速度は四足類に比較して遅くなっていることが示されました。また、四足類への進化の過程でシーラカンスとの共通祖先から失われた遺伝子のレパートリーの解析、および四足類への進化で新たに生じた転写制御領域と推定される保存領域の解析から、免疫、窒素排泄、そして鰭、尾、耳、眼、脳および嗅覚の発生に関与する遺伝子が浮かび上がってきました。鰭から肢への変化や胚体外組織の出現に関与するエンハンサーの機能解析から、シーラカンスゲノムが四足類への進化解明のための重要な情報として役立つことが示されました。この論文で隅山は胚体外組織の出現に関与するHoxA遺伝子群エンハンサーの機能解析に参加し、四足類では失われている祖先Hoxa14遺伝子の制御をしていた保存配列が、四足類のHoxA遺伝子群の胚体外発現に使われるようになった可能性を示しました。

Chris T. Amemiya, Jessica Alföldi, Alison P. Lee, Shaohua Fan, Hervé Philippe, Iain MacCallum, Ingo Braasch, Tereza Manousaki, Igor Schneider, Nicolas Rohner, Chris Organ, Domitille Chalopin, Jeramiah J. Smith, Mark Robinson, Rosemary A. Dorrington, Marco Gerdol, Bronwen Aken, Maria Assunta Biscotti, Marco Barucca, Denis Baurain, Aaron M. Berlin, Gregory L. Blatch, Francesco Buonocore, Thorsten Burmester, Michael S. Campbell, Adriana Canapa, John P. Cannon, Alan Christoffels, Gianluca De Moro, Adrienne L. Edkins, Lin Fan, Anna Maria Fausto, Nathalie Feiner, Mariko Forconi, Junaid Gamieldien, Sante Gnerre, Andreas Gnirke, Jared V. Goldstone, Wilfried Haerty, Mark E. Hahn, Uljana Hesse, Steve Hoffmann, Jeremy Johnson, Sibel I. Karchner, Shigehiro Kuraku, Marcia Lara, Joshua Z. Levin, Gary W. Litman, Evan Mauceli, Tsutomu Miyake, M. Gail Mueller, David R. Nelson, Anne Nitsche, Ettore Olmo, Tatsuya Ota, Alberto Pallavicini, Sumir Panji, Barbara Picone, Chris P. Ponting, Sonja J. Prohaska, Dariusz Przybylski, Nil Ratan Saha, Vydianathan Ravi, Filipe J. Ribeiro, Tatjana Sauka-Spengler, Giuseppe Scapigliati, Stephen M. J. Searle, Ted Sharpe, Oleg Simakov, Peter F. Stadler, John J. Stegeman, Kenta Sumiyama, Diana Tabbaa, Hakim Tafer, Jason Turner-Maier, Peter van Heusden, Simon White, Louise Williams, Mark Yandell, Henner Brinkmann, Jean-Nicolas Volff, Clifford J. Tabin, Neil Shubin, Manfred Schartl, David B. Jaffe, John H. Postlethwait, Byrappa Venkatesh, Federica Di Palma, Eric S. Lander, Axel Meyer and Kerstin Lindblad-Toh. 
"The African coelacanth genome provides insights into tetrapod evolution." Nature 496, 311-316 (2013) doi:10.1038/nature12027

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脊椎動物ボディプランの進化にはシス制御エレメントの進化が重要な役割を果たすと考えられていますが、その実態はほとんど不明でした。本研究では、ほ乳類の頭顔面形態形成に関わると考えられるDlx3/4遺伝子クラスターでの転写制御機能の進化を明らかにするために、12種のほ乳類配列を決定し分子進化解析を行いました。単孔類のカモノハシを外群として解析を行ったところ、有袋類と真獣類の共通祖先において鰓弓特異的シス制御エレメントに急速な進化が起きており、それ以後は極めて保存的に進化していることが明らかになりました。カモノハシの相同配列には鰓弓でのエンハンサー活性が見られないことから、有袋類と真獣類の共通祖先において鰓弓特異的なエンハンサー活性が獲得されたことが示されました。このエンハンサー活性が見られる組織は後に耳を形成する領域であり、有袋類と真獣類の共通の特徴である発達した外耳の発生・進化に関わっている可能性があります。

この他、Dlx4遺伝子のホメオドメインにも有袋類と真獣類の共通祖先において突然3アミノ酸置換が生じ、それ以後は完全に保存していることが示されました。通常ホメオドメインのアミノ酸配列は極めて保存的で複数の置換が一斉に起きることはまれで、こちらも何らかの適応進化の結果と考えられます。

Theria-specific homeodomain and cis-regulatory element evolution of the Dlx3-4 bigene cluster in 12 different mammalian species.

Kenta Sumiyama, Tsutomu Miyake, Jane Grimwood, Andrew Stuart, Mark Dickson, Jeremy Schmutz, Frank H. Ruddle, Richard M. Myers, and Chris T. Amemiya. 

Journal of Experimental Zoology Part B: Molecular and Developmental Evolution 誌
http://onlinelibrary.wiley.com/journal/10.1002/(ISSN)1552-5015
Article first published online: 5 SEP 2012 | DOI: 10.1002/jez.b.22469

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