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エピゲノム構造の位相転換が担うゲノム進化へのインパクト

理化学研究所 環境資源科学研究センター 金 鍾明

 真核生物の遺伝子発現や染色体動態変化には、エピジェネティックな制御を介したゲノム高次構造のダイナミックな調節機構が必要である。ヒストン修飾やDNAメチル化などのエピジェネティックな制御機能の欠損は、ゲノム高次構造とその調節機構の崩壊を伴い、癌化や発生異常などの致命的な影響を及ぼす。植物においても、ゲノム交雑や環境条件の急激な変動に起因した、ヘテロクロマチン領域の再編成を伴うゲノムの凝集現象やゲノムワイドな遺伝子発現変動が報告されている。それゆえ、ヘテロクロマチン構造の形成とその調節は、植物ゲノムの再編・維持・調節に重要な役割を果たすと考える。また、環境変動に呼応したクロマチン変動に基づくダイナミックなゲノム状態の変化(位相の転換)は、個体維持にポジティブに働き、適応力の強い系統を保存することにも繋がる。
 シロイヌナズナでは、ヘテロクロマチン形成に関与するヒストン脱アセチル化酵素Hda6がDNAメチル化酵素Met1と協調しながらトランスポゾン抑制に機能するだけでなく、乾燥や低温などの環境変動応答にも関与することが知られている。これらより、環境応答時の植物ゲノムの再編・維持・調節に、Hda6を介したクロマチン制御機構の関与が考えられる。本研究では、シロイヌナズナを用いて、環境変動に呼応したゲノムレベルでのクロマチン動態とゲノム構造変化を解析するとともに、脱アセチル化酵素Hda6の機能に焦点を当てることで、「環境変動による植物ゲノムの位相転換」の様態を明らかにする。

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