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イネの同質倍数体における形質発現機構の解明

東京大学大学院 農学生命科学研究科 育種学研究室 伊藤 純一

 一般的に、染色体の倍化は個体や生殖器官の大型化をもたらす。特に農作物においては利用部の大型化を伴うため、古くから染色体の倍加による品種作成の可能性が模索され、いくつかの作物においては染色体の倍化による品種が作出されている。しかしながら、なぜ倍数化が器官の大型化を伴うのかといった単純な疑問に対して明確な答えは出されていない。
 いくつかの遺伝子において遺伝子のゲノム断片を導入すると、その導入された遺伝子はコピー数依存的に形態を変化させる。しかし倍数体を考えた時、全ての遺伝子発現量は遺伝子量依存的に増加するのであろうか?また、倍数体では細胞のサイズが変化することが知られているが、細胞サイズの変化は遺伝子量に比例するのだろうか?そして植物において遺伝子量非依存的に発現量を調節するエピジェネティックな機構は存在するのだろうか?
 ゲノムや染色体の倍加とエピジェネティックな制御との関わりについては、動物における性染色体の遺伝子量補正、植物においてはコムギなどの異質倍数体のゲノム間相互作用の解析などが行なわれている。しかしながら、染色体の単純な倍加によってゲノムに何が起こるのか、そして多数の遺伝子発現の協調性にどのような変化が生じるのかという疑問に答える為の最も有用な材料は、同質倍数体であると考えられる。本研究ではイネにおける同質倍数体シリーズを作成し、それらを用いることによって遺伝子量と形質発現、遺伝子発現との関係を明らかにすることを目的とする。

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