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テントウムシに関連した擬態斑紋をもたらすゲノム・遺伝子相関の解明

基礎生物学研究所 進化発生研究部門 新美 輝幸


 ナミテントウは、極めて多様性に富む斑紋多型を有する昆虫である。この多様な表現型は、単一遺伝子座の複対立遺伝子により支配されること、また対立遺伝子の組み合わせによって斑紋パターンが決定されることが古くから明らかにされてきた。この斑紋パターンを決定する遺伝子の対立遺伝子構成は極めて多様性に富み、200以上の斑紋型が存在する。しかしながら、ナミテントウの斑紋形成の分子メカニズムは全く不明である。また、テントウムシの赤色と黒色からなる目立つ斑紋は、捕食者に対し警告色として機能する。多くの昆虫は捕食を回避するため、テントウムシに擬態した斑紋をもつ。擬態現象は多くの生物種において観察されるが、系統的に遠い関係にあるにも関わらず、類似した擬態斑紋が形成されるメカニズムは依然として謎のままである。
 本研究では、上記の未解決の問題にアプローチするため、ナミテントウの極めて多様性に富む斑紋多型およびテントウムシに関連した擬態斑紋に着目する。研究材料には、各種テントウムシおよびテントウムシとは独立に擬態斑紋を獲得したヘリグロテントウノミハムシを用いる。申請者らがナミテントウにおいて同定した翅全体の斑紋パターンを決定する転写因子に焦点を絞り、材料に用いる昆虫の利点や申請者らがこれまでに確立した遺伝子機能解析法を活かし、斑紋多型をもたらすゲノム変化、テントウムシ科内の異なる斑紋パターンや独立に獲得された擬態斑紋をもたらす遺伝子発現制御領域などのゲノム変化、さらに複雑な対立遺伝子構成が生じたゲノム要因を特定し、擬態斑紋がもたらされたゲノム・遺伝子相関を解明することを目的とする。

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