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オス・メス間ゲノムコンフリクティングと
その生物学的意味の解明

京都大学 霊長類研究所 郷 康広
国立遺伝学研究所 生物遺伝資源情報総合センター 豊田 敦


【写真】霊長類研究所飼育の親子チンパンジー(左からアキラ(父)、アイ(母)、アユム(息子))

 次世代シーケンサーの登場による塩基配列解読技術の飛躍的な進歩により、5年前では想像できない爆発的な勢いで様々な生物のゲノム配列が決定されており、ヒトではすでに2,000人以上のゲノム配列が決定されている。ヒト以外の霊長類においても2012年4月現在、11種のゲノム配列が利用可能であるが、それらはいずれも代表的な系統群から1〜数個体のゲノム配列が利用可能状態にあるのみである。
 ゲノム・遺伝子からRNA・タンパク質・細胞・組織・個体と情報が受け渡されるたびにその多様性・複雑性は増すばかりであり、一連の情報の伝達をシステムとして捉えた時に、我々はその圧倒的な複雑さ故にどのように研究を行なえばよいかその方法論を模索している最中である。次世代シーケンサーは、新たな方法論的解を示す可能性がある。それは、個人や個体ベースでの全ゲノムおよびその派生法への研究の展開を著しく容易にさせた点に集約される。個体ベースの網羅的解析を進めることで、多様性・複雑性の源である個体間・組織間・細胞間・アリル間のゆらぎを、ゲノムレベル・遺伝子発現レベル・エピゲノムレベルで捉えることが可能になる。
 本研究では、ヒトとヒトに最も近縁なチンパンジーにおいて複数の親子トリオを用いた網羅的・体系的比較発現解析および比較メチル化定量解析を行うことで、オス・メス間コンフリクトを子供アリル間の発現レベル・エピジェネティックレベルでの競合状態の動態解析を通じて明らかにすることを目的とする。

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