橘高校2年の横山史佳です。
夏休みの期間を利用して、酵母についての実験・観察をしました。この実験・観察をしようと思ったきっかけは、以前、天然酵母パンを作るために、天然酵母を育ててパンを作ってみたものの、ドライイーストで作ったようなふっくらとしたパンができなかったことです。その経験から、そもそも酵母とはどのような生物で、育て方をどのように改善すればふっくらとしたパンを作ることができるのか気になり、調べてみようと思いました。
まず、酵母とはどんな生物なのかについて調べたことをまとめます。酵母とは、広い意味で言うと、分類学上、球状または楕円状の単細胞真核生物のことで、より狭い意味では、芽を出すようにして細胞ができて仲間を増やすような菌類を指し、さらに狭い意味では、私たちの生活に役立っているサッカロミセス・セレビシエという菌を指すのだそうです。酵母は100分の1ミリよりも小さく、ヒトの体内にも、自然界にも存在しています。自然界での主なすみかは、樹液です。これは、酵母が固着して生活するよりも、液体の中で浮遊して生活するのに向いており、樹液には酵母の栄養分となる糖が含まれているからです。また、果実の皮にも生息しています。
そして、酵母は、酸素を使う好気呼吸と、酸素を使わない嫌気呼吸の両方を行うことができます。一般に好気呼吸は「呼吸」と呼ばれ、嫌気呼吸は「発酵」と呼ばれます。その化学反応式が下のふたつです。
呼吸 C6H12O6+6O2→CO2+6H2O+38ATP
発酵 C6H12O6→2CO2+2C2H5OH+2ATP
酵母は酸素があるときは、グルコースという糖を基質として、呼吸を行い、エネルギーを供給します。しかし、嫌気的な環境になると、呼吸から発酵に切り替え、酸素を使わずにエネルギーを供給します。このような現象は、パスツール効果といいます。
酵母が発酵を行うとき、化学反応式からもわかるように、二酸化炭素とエタノールを発生します。この二酸化炭素をパン生地の中に閉じ込めることにより、ふっくらとしたパンができ、エタノールは風味に寄与するのです。
ここからは、実験・観察を通してわかったことをまとめていきます。
以前、酵母を育てたときは、完成したパンが膨らみませんでした。行った季節が冬であったために気温が低く、酵母が増殖できなかったと考えられます。それに加えて、鼻にツンとくるような臭いがしました。今考えると、酵母を育てる過程でカビが繁殖し、腐敗していたのかもしれません。調べたことをもとに、これらの反省点を生かして、実験・観察を進めました。
[実験計画]
酵母を培養する(酵母液を作る)→酵母の発酵力を安定させる(元種を作る)→パンを作る
<一日目 8月4日>天気 晴れ
気温 28.0℃
湿度 44%
時刻 13:26
まず、酵母を培養する過程です。パンを作るには、酵母の数を増やす必要があります。酵母の栄養分が糖であるということをもとに、糖の有無によってどのような違いが見られるかを調べました。
(準備物)ビン(密閉できるものを熱湯消毒して使う)※嫌気的な環境を作る。※カビの繁殖を防ぐ。
《ビン①》
・レーズン(オイルコーティングなしを水洗いして使う) 150g
・水 450g
※レーズン:水=1:3 ※樹液と似たような環境
・ハチミツ 20g 
《ビン②》
・レーズン 150g
・水 450g
また、レーズン酵母との違いはあるのかについて調べるためにビン③も作ってみました。
《ビン③》
・りんご 150g
・水 450g
・ハチミツ 20g
翌日からの観察記録は、後日更新予定です。