世の中的には、将棋の「藤井聡太四段29連勝」。テレビのニュースの中でも、勝ちの瞬間を中継。ちょうど、netを見ていて、最後の差し手を見たとき、これで有利になるなと思いましたが、そこで投了とは。。。あのあとの、きちんとしたツメを見ないと、ほっとできないのはあるのですが。。。そんな連勝で湧いている月曜が明けた火曜日。。。
今年最初の研究成果発表となったのが、アブラナ科植物の自家不和合性研究からの派生型研究について。現象を見つけたのは、渡辺がまだ、岩手大にいたころ。ある遺伝子を導入することで、こんな結果が起きるだろうと思っていたのですが、それに近い現象となり、なるほどと落ち着くかと思ったのですが、さらに詳細に調べると、その解釈は間違っていて。。。それをきちんと遺伝学の論文として発表したのが、2005年(Takada et al. 2005)。その後、現象を追いつつ、自家不和合性との関係を明らかにしたのが、2013年(Takada et al. 2013)。 それが、今回、論文として発表したアブラナ科植物における新規一側性不和合性のメカニズムの解明です。自家不和合性は、同種内での多様性を高める仕組みであり、自家不和合性を制御するS遺伝子座のS対立遺伝子が同じであれば、不和合性を示すわけです。ところが、今回の現象は、同じ種であるBrassica rapaの日本とトルコの集団間で交雑を行うと、不思議なことに、異なるS対立遺伝子であるにもかかわらず、不和合性が生じる。それも、トルコの花粉が日本の系統の雌しべ上だけで排除される。ところが、正逆交雑の場合には、日本の花粉はトルコの雌しべ上で排除されない。この原因が、自家不和合性遺伝子が両者の祖先の時代に重複して、その後、トルコ系統では雌しべ側の遺伝子が、日本の系統では、花粉側の遺伝子が機能を失い、結果として、一側性不和合性をもたらしたということを遺伝子導入、バイオアッセイなどの手法により明らかにしました。このことは、英国・科学雑誌「Nature」の植物専門オンライン姉妹誌「Nature Plants」に掲載されました(日本時間:平成29年6月27日(火) 午前0時, Takada et al. (2017) Duplicated pollen-pistil recognition loci control intraspecific unilateral incompatibility in Brassica rapa. Nature Plants 3: 17096.)。
今回の研究は、大阪教育大、東京大、奈良先端大、三重大、チューリッヒ大(スイス)、横浜市大、忠南大(韓国)との国際共同研究であり、多くの方々の協力の下、長年の懸案であった研究成果を発表することができました。これまでの研究から自家不和合性のメカニズムとのクロストークもあることから、さらに研究を発展させることができればと思っております。
わたなべしるす
PS. News and Viewsにこの論文の内容の解説記事をワシントン州立大・McCubbin教授が記してくれました。同教授は、渡辺が初めて国際学会に行ったとき、ペチュニアの自家不和合性の研究を発表していたペンシルベニア州立大・Kao教授のところで、かつて、博士研究員をされていた方。こちらの研究について、とても丁寧な解説記事を書いて頂き、ありがとうございました。感動でした。 PS.のPS. 現時点で、どこかの新聞紙上などに取り上げられたという情報は得ておりませんが、大学のtop page、研究科のtop page、あと、共同研究先である大阪教育大にプレスリリースの記事がuploadされております。あわせて、ご覧頂ければ、幸いです。新聞紙上などで取り上げられましたら、改めて、このpageから、お知らせしますので。
PS.のPS.のPS. 6/29(木), 14:00. まだ、新聞紙上での取り上げを見つけておりませんが、web上(日本の研究.com, 日経バイオテクオンライン, マイナビニュース)では、こちらがプレスリリースしたものを取り上げてくれていました。ありがとうございました。
PS.のPS.のPS.のPS. 7/6(木), 9:15. 毎日新聞・科学面に今回の研究成果を取り上げて頂き、「交配妨げる遺伝子の仕組み解明」と題した記事として、掲載されました。毎日新聞のweb上でも「サイエンス」の所に同じ記事を見ることができます。広く社会に「なるほど!」と思って頂ければと思いいます。ありがとうございました。 PS.のPS.のPS.のPS.のPS. 7/28(金), 17:15. Nature Plantsの日本語サイトの「最新Research」のコーナー、2017年7月ですが、そこに、「Letter: 重複した花粉・雌ずい認識座位がBrassica rapaの種内一側性不和合性を制御する」と題して、今回の論文を簡単に紹介してくれています。昨日の「ライフサイエンス 新着論文レビュー」と、あわせてご覧頂ければ、幸いです。
【研究成果】自家不和合性遺伝子の「遺伝子重複」が、離れた地域間での生殖を妨げる仕組みを世界初で証明、英国・科学雑誌「Nature Plants」(6/27, 29, 7/6, 7/28追記)
2017年7月28日 (金)
【研究成果】Nature Plantsに掲載された論文に関連して「ライフサイエンス 新着論文レビュー」に解説記事執筆・公開(7/27)
2017年7月27日 (木)
梅雨が明けてないのは、北陸と東北地方だけでしょうか。向こう1週間の天気予報を見ても、仙台は曇り、雨模様。少し晴れ間があって、気温が30oC以下というのが、例年の仙台の夏という感じで、ほっとしているのですが。少し晴れ間が見えてくれれば、実験材料の植物だけでなく、農作物にもよい影響が出るかと。 そんな月末の木曜日。ちょうど1ヶ月前になります。アブラナ科植物を材料にして、自家不和合性遺伝子の「遺伝子重複」が、離れた地域間での生殖を妨げる仕組みを解明したと言うことを英国・科学雑誌「Nature Plants」に発表し、今月の7/6(木)には、毎日新聞の科学面でも取り上げて頂きました。そのことがきっかけとなり、この度、「新着論文レビュー」に「アブラナ科植物において自他を認識する遺伝子の遺伝子重複と相互の機能喪失により生じた新たな生殖障壁」と題した、日本語での解説記事(高田ら(2017)アブラナ科植物において自他を認識する遺伝子の遺伝子重複と相互の機能喪失により生じた新たな生殖障壁. DOI: 10.7875/first.author.2017.074)を発表しました。
「新着論文レビュー」とは、どの様なものかと言うことについては、同HPを参照にして頂きたいのですが、論文掲載をきっかけとして、取り上げて頂き、解説記事を書く機会を頂けましたことは望外の喜びでした。何よりも、母国語である日本語でわれわれの成果を発表できることはより多くの読者に広く理解をして頂けるチャンスですので、ありがたいことでした。英語ではちょっと言う方には、おすすめですし、webでの公開ですので、どこでも簡単に読めることがよいのではないかと思っております。最後になりましたが、この場を借りて、ライフサイエンス統合データベースセンター・editor 飯田啓介様には、お礼申し上げます。ありがとうございました。また、こうした機会を頂けるように、精進したいと思いますので。
わたなべしるす
【お知らせ】化学への招待~楽しいみんなの実験室~, 8月11日(金)実施(7/24)
2017年7月24日 (月)
週末から今日、明日くらいでしょうか。東北、北陸地方で大雨の予報。雨雲の雨が強いところが山形から宮城に移動中。午後にかけては、注意が必要な感じでは。
そんな週明けの月曜日。科学者の卵養成講座の昨年度末の海外研修でご一緒した宮城教育大・渡辺尚先生からのリクエスト。以下のように、「化学」系ですが、Intel ISEF(The Intel International Science and Engineering Fair)という、世界最高峰の生徒による研究の国際大会というか、たぶん、主に、高校生がおもしろい研究をした内容を発表し、競い合うもの。渡辺尚先生も前職の時代に、たぶん、2回ほど、高校生を連れて、このイベントに参加し、参加した高校生は世界的な賞を受賞したと言うことを伺ったことがあるような。。。その高校生は、科学者の卵養成講座の受講生でもありました。渡辺は小学校くらいは自由研究をした覚えがありますが、それ以降は。。。大学に入って、研究室に配属なって、研究を始めたわけで。。。よき指導者に恵まれるというのは、いつの時代も同じかと。。。ふと、そんなことを。 その渡辺尚先生から、下記のようなイベントを8月11日(金)に行うというお知らせを頂きましたので、渡辺の所からもご紹介を。今年から、8月11日(金)は、山の日という旗日に。渡辺は夏休みの宿題が終わりそうになくて、参加できそうにないのですが、国内でもトップクラスの指導者の先生方から実験、講演を聴けるチャンスは、なかなかないものです。是非、参加してみてはどうでしょうか。
わたなべしるす
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以下、http://chemeduc.miyakyo-u.ac.jp/ からの情報の転載と一部改変
化学への招待~楽しいみんなの実験室~
(ISEF(世界最高峰の学生研究の国際大会)で入賞以上の生徒研究を指導した日本最高峰の課題研究指導者の先生方による魅力あるワクワク体験実験)
日時:平成29年8月11日(金) 10:00~16:00
会場:宮城教育大学 理科学生実験棟(宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉149)
(仙台市地下鉄東西線「青葉山駅」下車 徒歩10分)【講師】
ISEF2016 グランドアワード2等 指導者 谷藤尚貴 准教授(米子工業高等専門学校)
ISEF2015 グランドアワード3等 指導者 菅原佑介 教諭(仙台第三高等学校)
【日程・内容】実験ワークショップ,招待講演,シンポジウム
《実験》
谷藤准教授 ISEF2016で入賞した機能性膜を利用した新電池(実験1) 10:00~12:00
菅原教諭 ISEF2015で入賞した虹色に輝く銅箔の実験(実験2) 14:00~16:00
《招待講演》
谷藤准教授『2年連続のISEF参加と生徒研究』 12:30~12:45
菅原教諭『教材を活かした研究のヒント』 12:45~13:00
《シンポジウム》
『講演者を囲んで課題研究の指導に関するノウハウと生徒の心得』13:00~13:30
座長:渡辺尚 宮城教育大学 准教授(ISEF2014/2015 連続受賞指導者)
【対象】
実験:中学生、高校生
講演:中学生、高校生、大学生、大学院生、一般(教員)
定員:実験 谷藤准教授 30名, 菅原教諭 30名, 講演(シンポジウム) 50名(先着順)
【参加費】 無料
【申込方法】 以下の項目を記載し、お問合せ先に電子メール・FAXのいずれかで、7月28日(金)までに送信ください。ご参加の可否と詳細は電子メール等にてご連絡いたします。下記内容は個人情報として扱います。
1. お名前(ふりがな)と性別, 2. 一般・学生の別(中高校生は学年)
3.ご希望のプログラム(実験1・講演とシンポジウム・実験2(複数選択可)
4. 学校名または勤務先, 5. 住所と電話番号
6. メールアドレス(必須), FAX 番号(任意)
【お問合せ】
〒980-0485 仙台市青葉区荒巻字青葉149
宮城教育大学 理科教育講座 「化学への招待」事務局
担当 渡辺 尚・笠井 香代子
TEL:(022)214-3429(笠井), 3423(渡辺)
FAX:(022)214-3429, E-mail:chemeduc@ml.miyakyo-u.ac.jp
<募集要項> pdf file
<ポスター> pdf file
<参加申込書> Word file, pdf file
ここまで。
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【広報誌掲載】2016年のNature Plantsに掲載された論文の記事が、本学広報誌「まなびの杜」に掲載(7/10)
2017年7月10日 (月)
北部九州の豪雨。少し落ち着いたのかも知れないですが、激甚災害に指定され、1日でも早い復旧、復興を祈るばかりです。また、こうした局地的な豪雨の関係でしょうか。鳥取ではアワヨトウが大発生とか。。。早めの対応をしないと、さらに被害が拡大するのでは。。。何とか、もう少し日本全体に均一な雨が降ってほしいと。仙台は、きょうも30oCを超えるような気温になりそうですので。もちろん、東日本を中心に猛暑が続いているわけですが。。。 そんな中。学内の広報誌「まなびの杜」というものがあり、本学の研究、教育、学生の活動などを広報する冊子が、年に4回、発行されています。その中に「Line-up of Leading-edge Research 最新の研究ラインナップ」というセクションがあり、昨年の12月から今年の3月にかけて、大学のHPなどで広報した中から、これはという広報のセレクションに、渡辺の研究室での研究が選ばれました。12月26日にお知らせした、Nature Plants誌に発表した「対立遺伝子間での複雑な優劣性関係の解明」というものになります。HPだけでなく、こうした冊子体でも取り上げて頂けるのは、ありがたいことで。「まなびの杜」のwebsiteから読むことができますので、お時間の許す方、是非に。。これを励みに、さらに、教育研究を展開したいと思います。ありがとうございました。
わたなべしるす
【新聞掲載】Nature Plantsに掲載された論文の記事が、毎日新聞・科学面に掲載(7/6)
2017年7月 6日 (木)
先月の27日に「自家不和合性遺伝子の「遺伝子重複」が、離れた地域間での生殖を妨げる仕組みを世界初で証明」ということが「Nature Plants」に掲載されたことをお知らせしました。その後、Nature Plantsの7月号に綴られ、1つの論文でなくて、冊子体ではないですが、今年の7月号にまとまった形になりました。発見したのは、昨日でした。 で、今朝の毎日新聞・科学面に「交配妨げる遺伝子の仕組み解明」ということで、今回の論文の内容が記事として掲載されました。あわせて、毎日新聞社のweb上でも「サイエンス」のコーナーに、同一のタイトルで、記事が掲載されております。新聞の仕組みをきちんと理解してないこちらがよくないのですが、いわゆる、東京版に掲載と言うことで、全国でどれくらいの方が見て頂けるのか、気になっていたのですが、web上に掲載というのは、とてもありがたい広報となりました。
さらに研鑽して、よりよい研究成果をより分かりやすく広報したいと思います。ありがとうございました。
わたなべしるす
PS. 論文が掲載されたという記事の最後に書いておいたのですが、少し目立たないこともあり、独立した記事として。。。ということで。あれ?と思った方、お許しください。