東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第25回生命科学セミナー「Self-incompatibility in Petunia」開催(3/17)

2015年3月17日 (火)

 前日の植物生理学会シンポジウム「植物の生殖過程における鍵分子とその機能解析」。その時も話を頂いた、Professor Kaoに仙台に来て頂き、いろいろな議論をして頂いたわけですが、その合間に、生命科学セミナーを。震災の前、渡辺の建物が改修工事をされる前にも来て頂き、セミナーをお願いしたわけですが。。。今回は、topicというよりも、ナス科ペチュニアの自家不和合性の歴史を。

DSCN6326.JPG セミナーでは、Penn. State Univ.に移って、なぜ、Petuniaを使うようになったのか、その時に、7つの個体を選んで、その前のPDの時代のCornnel Univ.からどんな気持ちで異動したのか。。そんなことも伺えました。そのあとの数枚のスライドは、渡辺にとっては、涙もの。。。。Ai et al. (1990) Sex. Plant Reprod.のS-RNaseの遺伝子がS alleleと分離が一致するdataを見たときには、ちょうど、D1くらいだったと思います。この論文を読んだのは。研究室の学生さんの年代。あのとき、論文を読んで、感動したのを、その時にもどったように、思い出したのでした。。。Lee et al. (1994) Natureの論文。これで、S-RNaseが雌しべ側S因子というのをしめされたのでしたが、この1年前、横浜での国際会議の時に、小さな会議で、Professor Kaoの同時通訳をして、。。それを思い出して。。時代を追って、説明をして頂いたので、自分はあのとき、こんなことをしていたなど、思い出して。何ともいえない気持ちになりました。Professor Kaoにとって、それまで、Chemistry, Biochemistryをベースに実験をされてきたのに、形質転換というPlant Scienceをやる事への決断の過程も。。。そうだなと。fieldを変えたり、方向性を変えるのは、大変なことなので。

DSCN6310.JPG もちろん、話の核心はS-RNaseとSLFがどの様に相互作用して、自家不和合性になるのか。アブラナ科植物の自家不和合性のようにおなじS alleleのSP11とSRKが相互作用するのではなくて、それ以外のS locusに持っているたくさんのSLFが他人を識別する。鍵をジャラジャラと持っている状態。。。理解はとても大変ですが、こんなモデルももちろん、自家不和合性の歴史を考えると、初期にはあったわけですが、まさか、こんな形で使われているとは。。。質問のところで、動物の免疫系、T-cellとの比較というか、そんなことを話されていたのが、印象的で。。より刺激的な2hrでした。ありがとうございました。Professor Kao。また、数年後に、さらに発展した話を伺えれば。。。


 わたなべしるす

 PS. Professor Kaoといつも書いていますが、元々は台湾の出身で、昔で言う台北帝国大学、現、国立台湾大学を卒業されたあと、アメリカで学位を取られて。。。もちろん、中国語をしゃべることができるわけです。昔、国際会議で、中華料理店でずいぶん、一緒に食事をするのを助けてもらいました。今回は、文理融合の科研費「アブラナ科植物の伝播・栽培・食文化史に関する領域融合的研究」の関係で大谷大・武田先生、明治大・江川先生が来られていて、研究室での来客との議論がはじめて、中国語。渡辺はもちろん、蚊帳の外でしたが、文理融合の科研費については、思わぬ情報を頂けたり。。。そうそう、忘れないうちに。Professor Kaoと書きますが、漢字で書くと、「高徳輝」。それに老師と最後につけて、高徳輝老師と書くのが、目上の方というか、偉い方に使う表現のようで。これも文理融合で学んだのでした。

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