東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

19th International Conference on Arabidopsis Research参加中

2008年7月26日 (土)

皆さんこんにちは。PD諏訪部です。
水曜日から始まった19th International Conference on Arabidopsis Research(シロイヌナズナ国際学会)への参加のために、カナダ・モントリオールに来ています。今回はM2五十川さんとPD諏訪部の2名での参加です。今回の学会はシロイヌナズナに焦点を絞ったものですが、研究分野は遺伝学・分子生物学・生化学・生態学・進化学など様々で、毎日たくさんの発表があります。

シロイヌナズナはペンペン草に似た雑草ですが、植物研究ではモデル植物として世界中で使われています。僕たちが研究に使っているアブラナとは同じ科(family)に属しており、進化分類的にとても近縁な種です。今回は、そのシロイヌナズナ研究の世界情勢を確認することと、今後の学会発表に向けての調査を主な目的に参加しています。もちろん2人ともアブラナ研究の発表もします。
さすがモデル植物だけあり、研究の進捗スピードは目を見張るものがあります。例えば、遺伝子発現を制御する小さなRNA(small RNAと呼びます)は、その存在自身が数年前に明らかになったばかりですが、それによって植物の成長ステージや病害抵抗性がコントロールされていることが分かってきました。もちろん、これらはその道のトップグループの成果です。しかし、僕たちの研究室でもD1藤岡君がイネのsmall RNA研究を行っています。彼らのスピードに負けないように頑張りたいですね。うまく研究が進めば世界のトップグループの仲間入り!?かもしれません。
もう1つ驚いたことは、新たな学問分野がどんどん生み出されていることです。シロイヌナズナのゲノム情報は2000年にすべて解読されましたが、その情報を効率的に使ったchemical genetics(化学遺伝学とでもいうのでしょうか?)やEco/Evo genomics(生態・進化ゲノム学??)なる学問が生まれてきています。これらを、いかに自分たちの研究に融合し効率的に研究を進めるかがこれからのポイントなのかもしれません。多くの発表は最後に関係した研究者を紹介しますが、どのグループも大勢で多国籍です。現在、僕たちも国内外のいろんな方達とコラボしていますが、もっと研究フィールドを拡大して、いろんな角度から研究を展開しないといけないなと思いました。

もちろん現地調査(別名:観光)も忘れていません(笑)。1月のUCサンディエゴ・アメリカアカデミズムツアーに続き、McGill大学・カナダアカデミズムツアーを開催しました。モントリオールはフランス文化を踏襲したとても美しい街ですが、McGill大学はイギリス人James McGillの遺産によって1821年に設立された大学とのことです。街の中心(City Centre)にあり、歴史を感じる建物に囲まれた素敵なキャンパスは、人々の憩いの場所にもなっているようです。その中でも、考古学や生態学のラボが維持管理しているレッドパス博物館は素晴らしく、エジプトのミイラや恐竜の骨格標本などが展示してあります。化石・骨格標本マニアの五十川さんと諏訪部にとってはたまらない場所でした。日本では日常生活からかけ離れた研究という世界が、ここモントリオールでは日常生活に溶け込んでいます。日本の大学もこういうスタイルになるといいですね。
食べ物もとてもおいしく、毎日2人で食べ歩いています。昨日は90年近い歴史をもつベーグル屋まで地下鉄に乗って行ってきました。途中で道に迷い、現地の方の暖かさにも触れました(涙)。写真は今日のランチ、フライドポテトにチーズとグレービーソースをかけたもの。これもまた最高です。

だいぶ長くなりました。まだまだ書きたいことがありますが、これから五十川さんのポスターセッションがあるので、この辺で終わりにします。五十川さんにとっては初めての国際学会発表なので、きっとドキドキしていると思います。こっそり彼女の勇姿を見てきます。

今日で学会も中間地点です。残り2日、学会・観光に飛び回って自分たちの研究へのパワーを蓄えてこようと思います。

諏訪部

ついしん:
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