東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

遺伝資源、評価の眼力、履歴。。。(1/5)

2013年1月 5日 (土)

 遺伝学というか、育種学では「遺伝資源」というのは欠くことができない。と言うか、どんな研究であれ、開発であれ、それぞれに対応した資源をいかに集めるか、それがどこにあるのか、どれくらいの評価に値するものかと言うことを、明確にしておくことは不可欠である。実際の品種改良の現場をみることはほとんどできない。それぞれのところで、どの系統とどの系統を両親に使っているかなど、秘伝のところがある。合金合成でも金属の配合比率は無限であろうし、作物の品種改良でも組合せは無限に近い。研究に使っているアブラナ科作物でも、ハクサイの育種にしても、今は切ったときに中が黄色いのが、主流であるが、昔は切ったら白かった。これも遺伝資源の活用から、こうしたことができるようになった。

 もちろん、こうした市場でどの様な評価を受けるかと言うことを考慮して、開発する必要がある。そのためには、この世の中にある資源をどの様に評価するのかと言うことが、これまで以上に重要になるような気がする。作物で言えば、複雑な表現型がどの様にして現れているのか、分からない現状では、表現型をきちんと評価できる眼力が重要となる。というのは簡単であるが、実際に本物を理解するためには、それなりの修行と違いを見極める違いが重要である。また、たくさんの資源をたくさん観察することで、これが良いという第6感のようなものも養われるのであろう。また、今使われている資源、過去の資源を時系列で評価し直し、将来使われるであろう資源がこれであると言うことを考えることも必要であろうが、書いているほど、簡単なことではない。

Oncidium 1-thumb-300x300-2651.jpg あとになって、あれは良かったという評価があることも良いというか、しょうがないというか、先が読めないことというか。。。ただ、できれば、先読みでることに超したことがない。そのためにも、過去の履歴を調べることは、もう少し評価しても良いのかも知れない。ちょうど書いているときのニュースで、「海底活断層」のことが取り上げられ、ボーリングなどで過去の評価をすることが未来につながるとか。。。どんな分野でも過去から現状の評価、資源の評価というのは重要なことなのであろう。


 わたなべしるす

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