東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

1-2-3、育種と栽培、決め球(7/15)

2013年7月15日 (月)

 1-2-3と書いて、Lotus 1-2-3をイメージできる方は、かなり昔からパソコンを使っている方ではないだろうか。まだ、NEC PC-9801シリーズが出ていたときに、1MBのフロッピーにソフトが入り、表計算ができるもの。学生だった当時、育種ではあまり使ってなかったが、周りの研究室では、集計作業などに使っていたような。。。遺伝学が基盤なので、表計算というか、大量のdataが必要だったかもしれないが、実験を始めた頃から、タンパク質、遺伝子を扱うことで、数字を測ったりすることが少なかったからもしれない。ところが、その1-2-3の表計算ソフトも、MS-Excelにいつの間にか、置き換わっていた。さらには、ソフトの提供も終わるらしい。。。時代の流れと言えば、それまでかもしれないが。。。

DSCN6902.JPG そんな育種も、時代の流れがある。トマトと言えば、何とかという品種が主流で。ハクサイを切ったら、中は黄色が主流。子供の頃には、そんなことはなかった、中はしろかった。また、野菜は青臭いというか、野菜くさかった。トマトの味ももっと、濃いというか、。。いまのように薄味ではなかった。もちろん、育種というか、遺伝的背景でなく、環境というか、栽培技術によっても、味は異なる。つまり、品種改良をする育種家と栽培する農家というそれぞれのプロがそれぞれの最高の技を出せば、最高の味がする野菜が出荷できるのであろう。

 その最高の技。それは、簡単に見せられないことがある。プロ野球のエースピッチャー。彼らの決め球はその年のドラフト上位の選手に教えるとは聞いたことがない。同じように、品種改良の時、市販されている種子の両親はまず公開されない。ただ、プロの育種家にはその両親はたぶんこうしたものが素材であろうということは想像できるらしい。というか、そうしたことがわかったことで、一人前なのかもしれない。一方で、決め球という先端技術を公開すれば、誰でもできるようになり、その技術は一般化する。どちらがよいと言うことではないが、。。すごいプロの農家のテレビを見ながら、こんなことをふと思った。

DSCN6903.JPG
 わたなべしるす

 PS. テレビを見ていて、ずいぶんと多くのアブラナ科野菜と、その花が出ていた。というより、野菜は収穫して花を見ないものもあるが、そうでなくて、花を咲かせたままの畑というのも、よいものである。

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