東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

育種、農業、グローバル(3/21, 22追記)

2014年3月21日 (金)

 今日、明日と仙台で日本育種学会。仙台開催はたぶん、1996年以来。当時は、日向教授の下で助手をしていて、プレゼンにはスライドを使っていたような。。。スライドといって、わからない世代もいるのでは。。。ポジフィルムというか。。。1997年12月に岩手大に異動になって、1998年にも開催した。それ以来の身近での開催。岩手の時は、スライドからOHPシートへの変換の年。途中でOHPの映写機のランプが切れて、慌てたり。。。それから考えると、ずいぶんと時代がたった。変わったことは、1996, 1998年はいずれも秋開催。今ほど、温暖化してなく、それなり天候のよい条件での開催だったような。雨が降ったとか、そんなことも覚えてないので、たぶん、そうしたこともなかったのだろう。。。ただ、今回は春開催。昨日、今日と積雪。足下が悪い中での、来仙というのは申し訳なかったと思う。以前は、春開催は、関東近郊だったのが、開催地の東京からの距離というか、半径を大きくしたので、仙台も入ったとか。春の開催地ではサクラの開花を見るという楽しみもあった。今回は、沿岸低気圧が爆弾低気圧になり、仙台で2cm、ただ、少し寒気が降りるのが大きければ、10cmを越えていたであろう。実際、岩手の沿岸では、かなりの積雪だったとか。。。交通も大変になるし、来る方も大変。育種をするときにも栽培適地を考えて、それぞれの品種を育成する。適地適作がよいのであろうが、できるだけ、広域で栽培するために、より適応範囲の広い育種をする。ただ、季節外れの大雪のようなものまで対応することはできない。なので、この冬の大雪による雪害は甚大なものがあった。せめて開催地くらい、温暖なというか、適地でできればと思う。もちろん、たまに雪を見るのもよいことなのかもしれないが。。。

DSCN1962.JPG 品種改良はよりよい食糧になるように。ということはもちろんであるが、時代の要請もある。昔から見たら、トマトがトマトくさいというか、青くさいというか、トマトらしさが亡くなっている感はある。それも時代の要請であれば。。。ただ、もう少し「旬」というの意識しての栽培になれば、農作物を作る方も食べる方もちがうのだと思う。旬の時期に食べる野菜、果物とそうでない時期とでは、味の濃さというか、そうしたものがちがうと感じる。せっかく食べるのだから、できるだけ旬のものを食べたい。だれとしゃべっていたときか、忘れたが、最近は、道の駅などでの作った農家が見えるような野菜、果物を食すとか。小さな農家というか、そうしたたぐいの人たちも出荷できるそういうのが、これまでの野菜の味がするとか。。。遺伝的に考えれば、品種が持つ遺伝子の力と実際に栽培する環境の複合的な作用で、味など、品種特性が出てくる。その意味では、よりおいしく作るために、遺伝子以外のものも、十分に考えないといけない、そんなことも考えさせられる。

 そうしたネコの額のような狭いところでの集約農業は、グローバルな農業展開とどう対抗するというか、どの様に対応するのか、。。。とても難しい問題である。グローバルという文字で、愛媛の今治からは、ずいぶんたくさんのタオル産業が海外に出た。一方で、最近は、「今治タオル」というブランドで、今治での生産も戻ってきたと思う。もちろん、タオル生産という工業と農業とは、先の気象の影響を考えると簡単な問題ではない。ただ、これから先に起こるであろうグローバル化に対して、何らかのことを考えないといけない。もちろん、それは、農業という栽培をする側だけでなく、品種改良をする側である種苗会社出会ったり、その基礎を考えているわれわれのような研究者サイドも。さらには、日本の細やかで、先端的な工学力との融合など、もっと幅広く考えないといけないのであろう。そうすることが、育種という総合学問が考えるべきことであり、残り20年弱となった研究者としての人生を改めて、現場から考え直してみないといけないと。そんなことを色々な方々と話をして、考えさせられた。とてもよい刺激であった。ありがとうございました。

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 わたなべしるす

 PS. 3/22(土)、今日で学会も終わり。比較的早く帰る方も。。。もちろん、ポスターの忘れ物も。14:00現在で、10枚のポスターの忘れ物も。。。。その一方で、ポスターが入った筒を、置きっ放しで、それを廃棄して下さいとのコメントもついて。。。「旅の恥は何とか。。。。。」といっても、名前と電話番号まで書いて、捨てて下さいというのは。。。。観光地に行ってもできるだけゴミは持ち帰りましょうという時代。もう少し、きちんとした対応がなされるべきでないかと。これを読んでいる高校生、大学生、大学院生の皆さん。こうしたことはしないように。。。ヒトとして。。。。だと思います。

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