東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

故きを温め、3 x 5の教え、遺伝(11/1)

2014年11月 1日 (土)

 とうとう、今日から11月。今年も残り2ヶ月。。。どうしよう。。。としか思えないというか、毎日のmailの多さに破綻していたのを、何とか改善(カイゼン???)に見込みが。。。来週からは少しはまっとうな生活になれば。。。そのためにも、まずは、体調の管理。先々週から風邪引きだったのを何とか直さないと。。。今週は出前講義もあるし。。。

 そんな中、植物のepigeneticsで教えていただいたり、共同研究もという、横浜市立大・木原生物学研究所木下先生のところへ。週末にお時間を頂き。この研究所の「木原」の名前は、言わずとしれた「ゲノム」という言葉を作られたという、木原均博士。ムギが有名ですが、博物館のような施設もあり、打合せの合間にその部屋に。博士の生い立ちから様々な業績が。生まれは東京だったような。そこは余り見てなくて。。。大学は、北海道帝国大学農学部。卒業研究は「花粉ニ及ボス低温ノ影響」。確か、イネを材料にされていたかと。1916年、ほぼ、100年前に冷害の研究。まさに、へーーー。でした。で、木原先生の業績をまとめられた冊子によると、指導教官は郡場寛教授。昔の先生なので、渡辺は存じ上げず。。。ただ、wikiによると、東北・青森県出身のお方。大学院では指導教官(宮部金吾博士)が替わり「人工培地上における花粉の発芽生理」。何の花粉かわかりませんが、この前の一関一高の研究をふと思い出しました。この古い時代(1916年)ころから、考えられていたのだなと。まだまだ、古いものを改めてめくることで、今わからないことのヒントがあるのではと。そんなことを改めて。。。

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DSCN4831.JPG そんな木原先生のことをはじめて聞いたのは、たしか、日向先生の植物育種学か、遺伝学の時間。ノートに「ゲノム」とは、。。。と言うことを書いたような。そのあと、北大の圃場にコムギゲノム(AABBDD)を意味する、モチーフが。これが2回目。助手になったあとに、自家不和合性遺伝子の進化の打合せで、三島の遺伝学研究所に行ったときに、胸像を見たのが、3回目でしょうか。その先生のことは、日向先生からは、余り聞いたことがなかったですが、この木原先生の一端を見たのが、3枚の紙に書かれたそれぞれ5つの教え。


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研究五則

1. 依頼又は任ぜられた仕事の終了後は問はれる迄もなく、自ら依頼者(又は命令者)にその報告をなすべき事

2. 研究の深さは材料及器機の良否のみが決定するものに非ざる事を記憶せよ

3. 一日一度は研究植物を見廻る事

4. 研究記録の生理はその日の中になすべき事

5. 研究の道には案内者、又は地圖なきものと心得べし

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研究班五綱領

1. 各自の材料を用ひて遺傳學、細胞學、及育種學の進歩に貢献すること

2. 研究には惜しみなく、生活にはつつましく

3. 他に魁けて人爲突然變異、特に人爲倍数性の活用に邁進すること

4. 研究植物に近縁なる野生種の分類、分布及生態を知りその利用を計る事

5. 生物學を産業の礎たらしむべく一層努力する事

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圃場勤勞諸君に

1. 植物を愛せよ

2. 灌水について常に氣をくばれ、乾いた日と濕った日とで灌水回数を調節せよ、管理を任されぬ植物と雖も必要なる灌水は行へ

3. 強き日射に對しては日覆をなせ、硝子室は夏涼しく冬暖かく

4. 病蟲害の蔓延する前に防除に努めよ

5. 變に応じ処置を施せ、一つ覺えは禁物

 日向先生はここまで書かれてなかったも知れないが、これに近いことを言われたり、書き物を残されていた。それは、もしかしたら、日向先生が大学院生時代に遺伝研でイネの研究をされていたからかも知れないと。そんなことに関連したことが、先の冊子に。1962年、ロックフェラー財団の助成によるイネの細胞遺伝学的研究を開始と。日向先生からこれに類したことを聞いたことがあった。大学院時代のこととして。また、遺伝研の時には、大きな部屋で、大学院生も教官も一緒に机を並べていたと。いつだったか、台風が来て、ガラスが割れて書類が飛んだけど、穴が開いた床下から出てきたと。。。そんなことを日向先生がお酒が入った咳などで話していたのを。。。。そんなことを覚えていたからであろう。研究室には渡辺も学生も同じ部屋に。机を並べてないのが。。。そんな昔の「遺伝」の教えが、世代を超えて伝たえようとしているのではないかと思った、不思議な時間であった。ありがとうございました。

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 わたなべしるす

 PS. 玄関先にはこんな碑も。へーーーーでした。

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