東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【全学教育科目・展開ゼミ】農学部・進藤経過報告(93)

2015年2月20日 (金)

 こんにちは、農学部一年の進藤です。先日の最終報告会では概要のみの説明になってしまったので、改めて中間報告から収穫、試食に至るまでの過程を報告したいと思います。

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DSC00402.JPG 11月22日の写真にあるように、まだどことなく弱々しかった室内栽培の水菜ですが、肥料を与え、同時に水やりのサイクルを「水を十分に与える→表面が乾燥するくらい(だいたい3~4日)まで放置→また水をやる」という形にしたところ、水菜の調子がよくなり最終的に12月25日の写真のようになりました。右にあるものが室内で育てたもの、左側が屋外の温室で栽培したものになります。なお、化学肥料はやり過ぎによる肥料やけを恐れて一度しか与えませんでした。

DSC00413.JPG 後者には一粒しか播種していないこともあって前者と比較すると貧弱なように見えますが、葉の色は屋外育ちのもの(左)の方が室内育ちのもの(右)より濃いことが写真からわかります。おそらく日光がよく当たる環境に適応するためにクロロフィル、つまり葉緑体が多くなり、また、室内栽培のものはなるべく窓際に置いていたとはいえガラスを介したことで光量が減少した日光を浴びていたので、屋外育ちのものほど葉緑体が増えなかったのではと考えました。

 次に根の長さを比較すると、屋外育ちのものは根が長くしっかりとした印象を受けるのにたいして屋内育ちのものは根が細く短く、複数の根が絡まっています。両者の比較から、室内育ちの水菜の根が短い原因として、間引きする本数が少なかったこと、植木鉢という有限な空間で生育されたことなどが考えられます。

 実際に食べてみて感じた味の違いについてです。味覚は主観的なものであるため、収穫当日家に来ていた大学の友人3人(A,B,C)と両親に、①屋内生育水菜、②地植え想定水菜、③市販の水菜、の3種を味付けせずに試食してもらい、それぞれの味についてアンケートをとりました。結果は次の表の通りです。

A:①苦い、②とても苦い、③苦くない
B:①苦い、②とても苦い、③苦くない
C:①苦い、②とても苦い、③苦くない
父:①えぐい、②えぐみが強い、③えぐさがない
母:①苦い、②苦い、③苦くない

 このデータから、市販品が食べやすいように改良されていることがわかります。また、屋外で育てたものは屋内で育てたものよりも苦いことから、日光がより強く照射されたことで、所謂「えぐみ」の元となる成分が増えたのではないかと考えられます。また、栽培した水菜は両者とも収穫時期がかなり遅かったので、生育しすぎてしまったこともえぐみ発生の原因に関係があるのかもしれません。なお、この水菜は試食後に味噌汁の具としておいしくいただきました。

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渡辺コメント

 農学部・進藤さん、4回目の投稿ですね。というか、展開ゼミが終わってから、投稿してくれたのは、進藤さんが初めてです。ありがとうございました。講義ではプレゼンできなかった、食味について、5名の方にお願いして調べたのは、niceですね。市販品が食べやすいところの考察で、品種改良とありましたが、そうではなくて、同じ品種改良した種子を使っていますので、簡単に言うと、申し訳ないのですが、農家の方々と進藤さんの栽培力というか、経験と間の違いです。というか、しっかり育てすぎたので、苦みが出てしまった。たぶん、市販のものは、もっと色が薄くて、ひ弱になるように育てて、出荷しているのだと思います。

 実験をする上では、しっかり育てる方がよいわけですが、食すときには、そうはいかないと言うことがわかったのではないでしょうか。4月からの専門の講義等で、これに類した講義もあると思います。そんなところで、学んで下さい。

 この展開ゼミの種子は、自分で試行錯誤をして、それを記録に残して、文章化して、みんなと意見交換をする。という意味では、しっかりと身についたのではないでしょうか。これからもがんばって下さい。


 わたなべしるす
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