一昨日の運営指導委員会に続いて、2日間は今年度の研究発表会。昨日も書いたとおり、「ダイコン」が出発点だったですが、それ以外の分野への展開もすすめる2年目。そんなこともあり、全体の1/3の課題は、ダイコン以外の研究で、動物、食物、火山灰、火山雷、津波など、去年とはまた趣も異なり、相互に連携もできるのではと。。
研究計画発表を聞いていて、気になっていたことは質問しましたが、いくつか記しておきます。新しい実験をしているチームもあれば、先輩の実験・研究を引き継いでいたり。。。その時に、せっかく興味深いことを先輩が発見しているのに、それを継続して、追求しないのは、少し残念なのでは。。。もちろん、引き継ぎをする方々の興味もあると思いますが。。。また、植物、作物であれば、それが生育している環境などをしっかり考えて、やっている実験が自然環境からの何を見ているのかということ、つまり、自然界でそうしたことが起きないことを実験するとしたら、実験のための実験にならないかと。。また、実験をするためには、様々な準備が必要です。ダイコンを使うとしたら、まず、種子が必要です。市販の品種であれば、購入すればよい訳ですが、例えば、ハマダイコンのような自分で種子を増殖しないといけないものは、その労力も実験のうち。そこを計算に入れないと、実験系は機能しなくなります。時間の制限もあるかもしれないですが、グラフだけでなく、可能な限り、実際の現物の写真があること、その写真に物差しがあれば、大きさも想像できます。
遺伝学の実験もいくつかありましたが、考えなければならない要因はできるだけ少ない方が、結果を考えやすい、つまり、なるべく単純系にするということではないかと思います。そんなこともあり、特定の染色体の領域のみ置換したような系統もあります。もちろん、イネとか、シロイヌナズナとかのようなモデル植物の場合ですが。。。そうしたものを使うのは難しくても、できるだけ、比較するものの遺伝的背景をそろえるというのは、実験を組み立てる上で、考えないといけないと思います。大変かもしれないですが、ぜひ、トライしてみてください。もちろん、遺伝学だけでなくても、実験は単純系の方が比較しやすいです。統計を駆使して、複雑系を扱う方法もありますが、主成分分析のような多変量解析として。。。ただ、高校生が扱うのは、大変さがかなりあると思いますので。。。いずれ、次回の発表会で、おもしろいdataが出るのを楽しみにしておりますので。
いつも議論となるのは、繰り返し実験と統計処理。育種、遺伝学というところでは、分離比などを検定するのは、当たり前のようにたたき込まれているのですが、高校生レベルでは、受験に出題が少ないということから、統計は余り、数学で扱わなかったような。。。ただ、課題研究では、測定値の間の有意な差があるかないかは、重要な問題。ただ、それをどうやってこのコアSSHで指導するのかということで、今回は、運営指導委員もされている、鹿児島大の秦先生が「科学データの統計的取り扱い--入門編--」ということで、正規分布、分散、推定、検定、相関などについて、いろいろな例を出して、課題研究をやる高校生、指導される高校の先生方には、参考になったのではないかと思います。というか、こちらもたくさんのヒントを頂きました。ありがとうございました。
各校の交流をするために、3min speechと質疑。3minで自分の学校、県のことを宣伝できるくらいのしゃべることはSSHをやっているからには、ぜひ、身につけてほしいことだと思います。プレゼンをする上でも、しゃべることは、大事ですから。交流会の最後をしめてくれたのは、運営指導委員会の委員長をされている鹿児島大の内海先生から進路というか、人生というか、そんなことについて。自分の癖を知る、目の前のことを努力する、自分で決めて自分で覚悟を決めて実行する、ヒトとの出会いを大切にするなど、たくさんありましたが、他の運営指導委員の先生方もほとんど共通していて。。。人生とは、そんなものなのかもしれないなと。。。また、1日目の会議終了後には、各校の先生方とSSH、課題研究などを含めて、deepな議論を含めて、今後の方向性、出前講義の依頼などもいただきました。ありがとうございました。
2日目の講演会は、防災について。これもこちらに来てから毎日のように降ってくる桜島からの火山灰に苦労されている都市ならではという感じを受けました。実際には、鹿児島大の柿沼先生から「津波の数値シミュレーション」という演題で。もちろん、2011.03.11の東日本大震災のことは、忘れることはできません。実際に東日本大震災の時には、現地調査にも入られた方と。。。講演では、津波、山崩れ、土石流、火砕流等の実際のモデル実験とそのシミュレーションの比較。あのときのことを思い出すとともに、その物理的な基礎、こうしたシミュレーションを他にも応用できないかなと。。。。最後の締めとしてよい刺激を頂きました。ありがとうございました。
最後になりますが、今回の会議をorganize頂きました、鹿児島県立錦江湾高校・郡山先生をはじめとする関係の先生方にお礼申し上げます。ありがとうございました。
わたなべしるす
PS. 生徒交流会の中で、なぜ、SSHをがんばることができるのかということについて、「高校がSSH予算で潤うから。。お金が来るから。。。」というのが、。。。高校の時から、こうした意識を持っているというのは、感動でした。自分たちももっとたくさんの論文を書いて、科研費をがんばらないといけないと。。。。自分もまだまだなと。。反省しきりでした。。。とてもすごい刺激になりました。ありがとうございました。
研究計画発表を聞いていて、気になっていたことは質問しましたが、いくつか記しておきます。新しい実験をしているチームもあれば、先輩の実験・研究を引き継いでいたり。。。その時に、せっかく興味深いことを先輩が発見しているのに、それを継続して、追求しないのは、少し残念なのでは。。。もちろん、引き継ぎをする方々の興味もあると思いますが。。。また、植物、作物であれば、それが生育している環境などをしっかり考えて、やっている実験が自然環境からの何を見ているのかということ、つまり、自然界でそうしたことが起きないことを実験するとしたら、実験のための実験にならないかと。。また、実験をするためには、様々な準備が必要です。ダイコンを使うとしたら、まず、種子が必要です。市販の品種であれば、購入すればよい訳ですが、例えば、ハマダイコンのような自分で種子を増殖しないといけないものは、その労力も実験のうち。そこを計算に入れないと、実験系は機能しなくなります。時間の制限もあるかもしれないですが、グラフだけでなく、可能な限り、実際の現物の写真があること、その写真に物差しがあれば、大きさも想像できます。
遺伝学の実験もいくつかありましたが、考えなければならない要因はできるだけ少ない方が、結果を考えやすい、つまり、なるべく単純系にするということではないかと思います。そんなこともあり、特定の染色体の領域のみ置換したような系統もあります。もちろん、イネとか、シロイヌナズナとかのようなモデル植物の場合ですが。。。そうしたものを使うのは難しくても、できるだけ、比較するものの遺伝的背景をそろえるというのは、実験を組み立てる上で、考えないといけないと思います。大変かもしれないですが、ぜひ、トライしてみてください。もちろん、遺伝学だけでなくても、実験は単純系の方が比較しやすいです。統計を駆使して、複雑系を扱う方法もありますが、主成分分析のような多変量解析として。。。ただ、高校生が扱うのは、大変さがかなりあると思いますので。。。いずれ、次回の発表会で、おもしろいdataが出るのを楽しみにしておりますので。
いつも議論となるのは、繰り返し実験と統計処理。育種、遺伝学というところでは、分離比などを検定するのは、当たり前のようにたたき込まれているのですが、高校生レベルでは、受験に出題が少ないということから、統計は余り、数学で扱わなかったような。。。ただ、課題研究では、測定値の間の有意な差があるかないかは、重要な問題。ただ、それをどうやってこのコアSSHで指導するのかということで、今回は、運営指導委員もされている、鹿児島大の秦先生が「科学データの統計的取り扱い--入門編--」ということで、正規分布、分散、推定、検定、相関などについて、いろいろな例を出して、課題研究をやる高校生、指導される高校の先生方には、参考になったのではないかと思います。というか、こちらもたくさんのヒントを頂きました。ありがとうございました。
各校の交流をするために、3min speechと質疑。3minで自分の学校、県のことを宣伝できるくらいのしゃべることはSSHをやっているからには、ぜひ、身につけてほしいことだと思います。プレゼンをする上でも、しゃべることは、大事ですから。交流会の最後をしめてくれたのは、運営指導委員会の委員長をされている鹿児島大の内海先生から進路というか、人生というか、そんなことについて。自分の癖を知る、目の前のことを努力する、自分で決めて自分で覚悟を決めて実行する、ヒトとの出会いを大切にするなど、たくさんありましたが、他の運営指導委員の先生方もほとんど共通していて。。。人生とは、そんなものなのかもしれないなと。。。また、1日目の会議終了後には、各校の先生方とSSH、課題研究などを含めて、deepな議論を含めて、今後の方向性、出前講義の依頼などもいただきました。ありがとうございました。
2日目の講演会は、防災について。これもこちらに来てから毎日のように降ってくる桜島からの火山灰に苦労されている都市ならではという感じを受けました。実際には、鹿児島大の柿沼先生から「津波の数値シミュレーション」という演題で。もちろん、2011.03.11の東日本大震災のことは、忘れることはできません。実際に東日本大震災の時には、現地調査にも入られた方と。。。講演では、津波、山崩れ、土石流、火砕流等の実際のモデル実験とそのシミュレーションの比較。あのときのことを思い出すとともに、その物理的な基礎、こうしたシミュレーションを他にも応用できないかなと。。。。最後の締めとしてよい刺激を頂きました。ありがとうございました。
最後になりますが、今回の会議をorganize頂きました、鹿児島県立錦江湾高校・郡山先生をはじめとする関係の先生方にお礼申し上げます。ありがとうございました。
わたなべしるす
PS. 生徒交流会の中で、なぜ、SSHをがんばることができるのかということについて、「高校がSSH予算で潤うから。。お金が来るから。。。」というのが、。。。高校の時から、こうした意識を持っているというのは、感動でした。自分たちももっとたくさんの論文を書いて、科研費をがんばらないといけないと。。。。自分もまだまだなと。。反省しきりでした。。。とてもすごい刺激になりました。ありがとうございました。