東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

グローバル、ビックデータ、責任(6/22)

2014年6月22日 (日)

 「グローバル」と言う単語をいろいろなところで見かけ、使う。今回採択が決まった「飛翔型科学者の卵養成講座」は、JSTからの「グローバルサイエンスキャンパス」委託事業の一環である。学生、院生、助手の頃、1990年の終わり頃までかもしれないが、海外出張というか、海外での学会参加は大変であった。あの当時は、いわゆる「科研費」の旅費の支出は国内に限られており、海外に行くことができたのは、大型プロジェクトの総括班予算などに限られていた。そのおかげで、一度、アメリカ、カナダの自家不和合性研究者の研究室を訪問し、どの様な環境で、どの様なことをトライしようとしているのかなど、たくさんの収穫があった。その時は、はじめて1人での海外出張で、今のようにnetが充実していなく、日本の新聞、国内の状況など、気になっても、知るのをあきらめるしかなかった。たまに、日本人に会って、日本語をしゃべることができると、望外にうれしかったというのを思い出す。ところが、今は、科研費で海外出張も容易になり、海外での研究状況なども吸収しやすくなった。また、海外に出ていても、netがあり、mailでやりとり、webで日本の新聞などのHPで何が起きているかもわかる。ただ、そんな時期だからこそ、海外の何がよくて、また、日本でもここは評価できるという所を見極めて、だから、海外へ行く、国内でがんばると言うことを考えないといけないのではないだろうか。

DSCN2855.JPG そんな評価、簡単ではない。たくさんの要因を1-0のどちらかで評価できればよいが、そうはいかない。アンケートでも、どちらでもないと言うような項目もあるくらいで。先の「科学者の卵養成講座」でも、アンケートを行うことがあるが、100名分のアンケートの集計さえも単純ではない。紙に書かれているものを集計は容易ではない。そんなこともあって、最近は、webでのアンケートも多くなった。たぶん、自動集計をしているのだろう。ただ、その集計したdataが何を意味しているのか、それを解析するのも一苦労である。昔であれば、主成分分析であったり、因子分析等の統計手法がとられ、アブラナ科植物の形態形質を師匠の日向先生が解析されていたのを思い出す。その当時は、大型計算機に紙に穴を開けたものでdata入力をしたといっていたような。いずれ、現在であれば、ビックデータを解析してとなるのであろう。ただ、何が意味があるのかを考えるのは、最後は人間であり、ものごとをやっているひと。計算機の能力、解析手法が改善されても、意味のある要因をどの様に抽出して、物事の本質を見いだすのは、容易ではないということは自覚してデータを扱わないと。。。そんな評価について、今朝の新聞にも記事があり、なるほどと。。

 ただ、そうしたビックデータから「これ」と言うものを見いだして、どの様な実験を展開するのがよいかなど「戦略・戦術」を見いだせば、見ている現象がより明確になるのだろう。この場面では、この方法とか、この材料とか。その意味で、もっと数学力と遺伝学を融合しないといけないと思うが、すでに「数学」というのを学習しなくなって、かなりずいぶんとなる。なのでというと怒られるかもしれないが、若い者と異分野とコラボしてと思う。ただし、最後は、この手法でやる、これでまとめるなど、決断をするという責任はこちらにあると思う。グローバル化の現代。身近な身の回りだけでなく、世界と勝負していかないといけない。何を言って、何をして、何を導き出すのかという責任を背負っているのだと思って、やらないといけないのだろう。。。。何とも難しい時代であるが、ある程度の立場である限り、しょうがなことであり、それを乗り越えたところに、何か光り輝く、すごいことが待っていることを期待して、がんばるしかないのだろう。たぶん。。。

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 わたなべしるす

 PS. 久しぶりに、3 wordsでの書き物をした。しばらく書いてないからであろうか。どうも筆が進まず、苦労した。日々の努力がどれだけ重要か、改めて、再認識。。。修行をしないと。。。


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