東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】岡山県立倉敷天城中学校・SSH特別講義「SSH課題研究を始めるに当たって」、「課題研究指導」、「中高生との交流会・ワタナベセッッション」(9/25-26)

2014年9月26日 (金)

 前日が、愛媛県今治市内で、午前(愛媛県立今治南高等学校)、午後(愛媛県立今治西高等学校)と高校に出前講義。今治はこれまでも書いたとおり、生まれ故郷。大学に入って間もない頃、今治から仙台へ行くのに飛行機を使うことはなく、船で本州へ渡る訳です。今と違って、橋がないので。。。しばらくよく使ったパターンが、予讃線で高松まで。そこから、宇高連絡船で1hrで宇野へ。そこで、寝台特急瀬戸に乗換え、東京まで。東京からは、大宮暫定開業の間は、上野に出て、そこで、リレー号で大宮へ。寝台以外は自由席だったので、その度ごとに、少し早くたって、ダッシュで自由席を確保。また、宇高連絡船の上では、海を見ながらの讃岐うどんをいっぱい。旅という感じもあって、今となっては懐かしいものがあります。今では、本州四国連絡橋ができ、岡山に直接行くことができ、便利になりましたが、そのぶん、列車の中で、うどんという具合は行かなくなり、お弁当をと言う訳です。まあ、それはそれで風情がある訳ですが。。。。

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DSCN3866.JPG 今回の出前講義最後は、金光学園での発表会で、中学生が英語でしっかりした発表をしているというので、びっくりして、プレゼンで質疑をしたのがきっかけの「岡山県立倉敷天城中学校」。学校設立当時は、私学だったようですが、いくつかの統合などもあり、現在に至り、10年ほど前から中学校も併設され、SSHも実施している学校です。学校の中には、昔を偲ぶような古い建物と同時に、サイエンス館という、科学を目指そうと言うような建物も。今回は、2日間で中学校3年生対象に3コマの課題研究等の講義(1クラスずつで、2hr x 3)と1日目の講義のあとが、高校生の課題研究の時間でしたので、課題研究の見学とコメント。課題研究はちょうど、テーマを決める時期に当たっていて。。。そのあとの夕方には、希望する中高生との交流会「ワタナベセッッション」と名付けて頂き、世界の「ナベサダ」のようにかっこよくないですが、いろいろな話を。

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DSCN3881.JPG で、中学生向けの講義は「SSH課題研究を始めるに当たって---中学校でのSSH, 課題研究が高校、大学、大学院での研究につながる。。。---」と言う内容。課題研究を始める前に、開講式のあとに講義をしたことはありますが、それはあくまで高校生対象。もちろん、1, 2年生な訳で。高校の。今回は、それよりも半年ほど若い中学生が対象。この出張前から少し体調を崩していたというか、発熱をしていたりして。。。というよりも、中学生に講義をするのは、ほぼ、はじめてという感じだったのもあって、緊張していました。というか、中学生からの目に見えないオーラがあったのでしょうか。。。おかげで、1日目の講義風景の写真と集合写真を担当の塩飽先生にお願いするのを忘れる始末というより、2日目の最初の講義では、集合写真も忘れて。。。。何事も修行が大事だと。改めて、感じました。1つの学年を対象に講義をするとき、ほとんどが学年全体で講義。多いときは、400人くらい。それだと、生徒への個別の目が届きにくいと。。。それもあって、クラスごとの講義をお願いされました。クラスごとに講義というのははじめてですが、七北田小学校では、講義が終わったあとに、クラスにもどってのクラスごとでの質問タイムはありました。

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DSCN3913.JPG 1日目の午後と、2日目の午前で、3コマでしたが、クラスごとに反応する生徒さんの具合も違っていて。それはそれで、こちらも楽しめました。ただ、ついつい、最初の、SSHとはとか、サイエンスだけでなくて、文系とも融合してほしいとかなど、本質論からかけ離れたような話も。。ただ、大学での講義を思い出すと、本質の部分は覚えてなくて、脇道の部分は、たくさん覚えていることもあって。。。なので、それはそれで、刺激になったのでは。。。英語ももちろん、大事。ただ、日本人である訳なので、その日本語できちんとした文章を書けるようにと。また、自分の中学校時代を思い出し、自由研究はしたけど、課題研究のような論理的なことはできておらず、どれくらい繰り返しをしただろうかとか。定量的な実験をしていただろうかと、反省をしながらの講義という感じでした。この倉敷天城中学校は、3年間で個別に課題研究に取り組むとか。もちろん、文理の課題に関係なく。これまでは、毎年新しいテーマで取り組んでいたとか。新しいことも大事ですが、継続してみてはと。SSHの講義のあとには、渡辺のこれまでの履歴というか、それぞれの世代で何を学んでほしいか。そういえば、何かを読んだときに、サッカーなどでは、身につけるべきことを決めているとか。科学だとそんなこともなく。。渡辺の履歴がどれくらい参考になったのか、よくわかりませんが、高校進学で受験がない分、いろいろなことをしっかり考え、観察して、進路を見つけてほしいと。。もちろん、渡辺の研究室に来てくれる生徒さんがこの中にいれば。。。そんな中で、小学校時代までは、将棋のプロを目指したという生徒さんも。ただ、自分の限界を感じて、プロでなく、今の道へという方も。これまでもいたのかもしれないですが、はじめてのことで。しっかり将来を考えているのだと。。。感動でした。いつもなら、全てのクラスで集合写真が、最後のクラスだけ。。。申し訳ありません。また、次の時には。。。と言うことで、世界に向けて、情報発信。

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DSCN3926.JPG 1日目の講義のあとは、高校SSHの課題研究活動を見学。それぞれの分野で何をやろうかと。昨今、高校生がテーマを考えることが大事と言われていますが、もちろん、そうしたこともあるかも知れないですが、以前、鹿児島でしゃべったように、それを最後まで完遂する実行力、自分の実験がどれくらいの経費がかかっているかというコスト意識、また、最初と関係あるかも知れないですが、様々な環境に適応できる忍耐力、ストレス耐性というのも重要とか。そんなことも課題研究で学んでほしいなと。生物班は水質の問題をやろうとしていて、渡辺は、変数が多くなること大変なので、変数はできるだけ小さいように考えることが大事と。というのは、師匠である、日向先生の教え。いつだったか、自家和合性の遺伝解析をしている学生さんを指導して、遺伝子座の数を多くしたら、説明できるというので、3, 4遺伝子座でやってみたらと言うことがあったのですが、実際にその遺伝子が何をしているのかわからないような仮定を多くしても、意味不明なものが増えるだけというのを日向先生にいわれて。。。いまにして思えば、できるだけシンプルなモデルの方がよいというのはわかるのですが。。。若いうちには、少し難しいのかも知れないとと思いつつ、そんな話も。と、あっという間の見学、コメントでした。

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DSCN3891.JPG 1日目の最後は「中高生との交流会・ワタナベセッッション」。ポスターも作って頂きました。最初に中学生がダニエル電池だったと思いますが、そんな実験で、なぜこうなるのかと言うことについて、コメントを求められたのですが、。。化学はすでに、。。確か、SSHのどこかの高校でやっていたので、そうしたところの生徒さんをまた、紹介したいと思いますので。そのあとは、中高生20名弱と数名の先生方も交えて、交流会。多くの質問が出るかと思ったのですが、少し遠慮がちの生徒さんだったのでしょうか。塩飽先生の方が質問をリード頂き、渡辺の人生の分岐点はと言うことで。遺伝学をやろうという決断をしたこと、共通一次試験ができず、東北大に行ったけど、そこで、日向先生・自家不和合性研究に出会ったこと、また、Natureに論文掲載をできるような研究にできたことだろうと。また、サイエンス面での質問では、なぜ、自家不和合性、和合性があるのか。自家和合性では、自殖弱勢が出ないのかと言うことを。ダーウィンの実験を紹介して、。。結局、交流会と言いつつ、渡辺がしゃべっている時間の方が多かったかも知れないですが。。。いつでもまた、質問のmailを送って下さい。さらに、高校3年生の方々、4年後に渡辺の研究室でお会いできるのを楽しみにしております。と、気がついたら、すっかり周りは真っ暗で。。。秋が深まりつつあるのだなと言うのを実感しつつという感じでした。いずれにしても、渡辺が暮らしたような田舎で、自然も豊か。そんなところで、自然の変化を学んで、それを理解することで、他の様々ことを深める力をつけてほしいなと。

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DSCN3895.JPG 最後になりましたが、岡山県立倉敷天城中学校・中塚多聞校長先生、塩飽修身先生をはじめとする関係の先生方にはたいへんお世話になりました。ありがとうございました。また、年度末に開催される発表会でのコメンテーターもお願いされました。できるだけ日程調整を行って、お邪魔できればと思います。と言うのと、是非、1人でも多くの生徒さんを東北大学に、また、大学院で渡辺と一緒に研究できる方がいれば、楽しみにしておりますので。ありがとうございました。

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DSCN3903.JPG わたなべしるす

 PS. Wikipediaによると、この高校の卒業生に、テレビでよく拝見するアナウンサーの方もいるとか。多様な人材を輩出しているというのは、教育システムがしっかりしていることの裏返しだろうと。。。ふと、そんなことを。。。

 PS.のPS. 一昨日の今治での出前講義のあと、先生方との交流会でしたが、食事をしたところのオーナーが、この岡山県立倉敷天城高等学校を卒業して、九州工大に行かれた方でした。何か、不思議なご縁を感じつつのここ数日間でした。ありがとうございました。

 PS.のPS.のPS. 今回の講義のきっかけを頂いた英語での発表の時に、発表を間違えたら、その時は、なんというのか。わたなべは以前に、「Excuse me」と。生徒さんたちは、「Sorry」と。それについての記事が、Wall Street Journalのweb pageにあると。そんなmailを頂きました。ありがとうございました。



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